裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

月曜日

三鷹・立川、ダイヤが荒れる

♪イライライライライラ、ダイヤの乱れ〜、中野・武蔵野、ダイヤが荒れる〜(よほどのオタクでないとわからんかも知れませんが元ネタは『ダイヤモンド・アイ』主題歌です)。朝、実相寺昭雄監督と一緒にアニメ番組を見ている夢を見る。監督は花柄の寝間着の上にレインコートを羽織っている姿で、K子がそれを見てとめどなく笑っていた。朝食、貝柱粥。果物はブドウ。K子にはきのうのあのつくんからのコマツナ を炒めて。

 メールチェックしていたら、『◆重要【勧告】』という題名のものが来ていた。何かと思って見てみると、S興業というところから、インターネットの利用料を支払えという催促状であった。以下、その文面を引用する。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−◆ご入金のお願い
貴殿が利用した、インターネット・コンテンツ利用料が未だに確認できません。
 現在までに何度かお願いの連絡をしましたが、入金の確認が取れません。 これ以上入金をお待ちする訳にはいきませんので、6/5(金)午後2時までにお支払い下さい。

 尚、上記期限までに入金がない場合、断固たる態度で臨む所存です。メールアドレス(フリーメール含む)から、プロバイダ・ISP業者に情報開示を依頼し、貴殿がお使いのプロバイダを突き止め、住所、氏名、勤務先等を開示してもらいます。
 その上で、改めてご自宅・お勤め先に料金回収に直接弊社提携会社の担当者が行くことになりますので、宜しくお願い致します。
 その際には利用代金・延滞利息・督促費用、さらに回収に行った場合には交通費・宿泊費を追加請求させていただきます。
 また、最悪裁判・強制執行による差押さえ(給与差押え等)を含めた、あらゆる回 収手段を講じます。

 このような事態にならぬよう、くれぐれも期限までに入金して頂きたく、お願い申し上げます。
 尚、これは最終的な督促であり、また、個々のお客様に対応する事は物理的に不可能であるため、メール・お電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
 下記要領にてお支払い頂ければ、迅速に延滞リストから削除しますので、重ねてご 入金お願い致します。
【振込先】三井住友銀行東京中央支店
     普通口座  3455895
【入金額】 ¥2万9500円
     (利用料¥10,000円+延滞料金19,000円+手数料500円)
【入金期限】  平成15年6月5日(金)午後2時までに電信扱いでお願いします。

 S興業・請求部 担当:田中
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 私はそもそも有料コンテンツには入らない主義なので、未払いもへったくれもないのだが、そもそも宛名に“貴殿”、とあるだけで個人名の記載がないこと、インターネット・コンテンツとあるだけで何のコンテンツかまったく記載がないこと、これが最終督促だとあるが、これまでそんな督促を受けたことが一度もないことなどで、これが債権回収詐欺メールであることは一目瞭然、すぐにこういうメールを扱っている『インターネットのゴミ箱』http://www1.linkclub.or.jp/~konomi/trash.html
に行ってみたら、S興業の名前が堂々とあり、上記文面も掲載されていた。早速、そこのサイトにリンクされていた『警察庁生活安全局生活環境課生活経済対策室』(長 いね)にメールで報告のみしておく。

 海拓舎から電話、1時にゲラを取りに来るというので、せっせと赤を入れる。うるさいヤツがいそうなネタのところは、ちょっと念入りに字句を修正して、誤魔化す。10分後れでH社長来。オビに“『トリビアの泉』スーパーバイザー”の文句、無理しても入れるとのこと。カラサワさんの口座はどこなんですか、と訊かれるが、私の口座だった三菱銀行の新宿西口支店は統合で無くなり、それ以降の振込は(株)東文研にお願いしているので、現在、個人の口座は持ってない状況、すでにカードすら持たせてもらえていない状態である、と言うと、Hさん、大変面白がっていた。

 昼は外出し、バスがちょうど来たので参宮橋へ。いつもの道楽では面白くないので高速脇のラーメン屋で特製つけ麺を食べる。まあまあ。渋谷に引き返して、東京大会のタイムテーブル作り。会長の製作した候補作紹介ビデオを時間測りながら見る。そこから全体の時間割り振りを計算。だいたい、無理なく6時までに総片付け完了して打ち上げにかかれる予定、ではある。時間と一緒に頭を悩ましたのは、舞台上での人の配置である。構成台本作ったときは、ビデオ上映が必要な企画の際には人は舞台脇の方にいるように椅子を設置する、という形にして、上映する画面をあまり高い位置にしないでもいいように(人の頭の影が出ないよう上映すると、プロジェクターの角度を上げねばならず、画面がアオる形になってしまい、調整が面倒になる)構成し、我ながらうまくいったとほくそ笑んでいたのだが、その後で、基礎講座の際にビデオを上映したいと出演者からの希望が出て、じゃあどうするか、多少ぎこちない形になるが上映の際は出演者に脇にどいてもらうか、それとも、最初から脇の方に椅子を設 置するか、と、頭を悩ます。

 タイムテーブルのみ、植木不等式氏にメールしてチェックしてもらい、大体OKが出たのでMLにアップ。と学会と言えば、扶桑社『愛のトンデモ本』用の書籍もきちんと読まねばならん。これが法律用語の本なので読むのが荷なのである。河出の原稿格が体力が非常に要る原稿なので(なにせ怪獣の中にエロを見る、という力業のテーマだ)台風アタマにはキツく、途中でダウン。しばらく横になる。デビッド・チャップマン『RETRO STUD』(コレクターズ・プレス)をパラパラと眺める。スティーブ・リーブス、ゴードン・スコット、アラン・スティール、マーク・フォレスト、リチャード・ハリソン、ダン・バディス、レッグ・パーク、ビクター・マチュアなどの超・肉体派スターたちによって演じられたサムソン、ヘラクレスなどの英雄や剣闘士たちの筋肉映画のポスターを世界中から集めて論評した本。著者のB級映画への愛情と、“映画は見世物”という信念が伝わってきていい感じの本である。この手のポスター・アーティスト中、もっともビザールでマンガ的な絵を描いたクロード・ ベリンスキーを徹底してリスペクトしているのがよろしい。

 9時、新宿でK子と食事。三笠会館で待ち合わせる。あっさり目に、ジャガイモのビシソワーズ、伊勢エビのポワレ、ニンニクと唐辛子のパスタに鴨のロースト。ビシソワーズは少し塩辛かった。店のお勧めのワインがさわやかで夏向き。食事終えてもワインが余ったので、チーズを追加。リンケージチーズがちょうど熟成していて、これが抜群。向かいの席に座った年輩のアベックが、前菜がパスタ、メインがリゾットという炭水化物過多の注文をしていた。10時半、帰宅。読売新聞夕刊、以前にもイラク戦突入寸前のブッシュ大統領の頭が後光に包まれたように見える印象的な写真を掲載していたが、今度はサミットで、ブッシュとシラクの顔がちょうど対照的に重なりあってマークのように見える写真を掲載。百万言の記事より雄弁な図だが、いささかやりすぎの感もあり。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa