裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

火曜日

でぶ、でぶ、若干でぶ

 身長172センチで73キロか、若干太り過ぎだな。朝5時に目が覚めてしまい、布団の中で輾転反側。7時15分に這いずり出る。7時ころウトウトするが、その短い時間にやたら長い夢を見た。ハードボイルドの探偵モドキの役で私が、団地のようなマンションのような建物を探る。それがいつの間にか自分の住むマンションになっているのだが(造りはまったく別)、隣室の住人の女が奇形で、それが乳母車を押して散歩に出かけるのを尾行する。ヘンなのはこの夢にはテーマソングがあることで、演歌みたいなフシ回しで“ハマの香りが嗅ぎたくて、帰ってきたぜおっ母さん”というフレーズを繰り返す。別に舞台は横浜でもなんでもないのだが。朝食、ソーセージと胚芽パン。金沢から送られたゆずマーマレードをつけて食す。芳香芬々。

 朝っぱらから、クレジット会社からこちらの手続き不備に関してかなり失礼な調子の電話。不快になるが、こちらのミス故仕方ないと思い聞いていたが、そのうち、向こうの方にもミスがあることに気がつき、指摘すると、この電話の主はお客さま苦情係(お客さまの苦情を受け付けるのでなく、お客さまに苦情を言う係)ででもあるらしく、自分の会社のシステムをほとんど把握していないことが判明。逆に叱りつけて電話を切る。まったく、どういう社員教育をしているやら。

 鶴岡から電話。『とっとこハム太郎』ばなし。巨大画面で“へけ?”はいかがなものか、という論議。40男と28のいい若いモンの話題ではないね、どうも。昼は新宿に出て雑用いくつか。遅れていた太田出版と学会本のゲラを宅急便で出す。西口の通路のところに出ている書店で、私の『すごいけど』と『社会派くん』、並べられているのは一冊づつだったが、似顔絵入りのポップを作ってくれていた。顔入りと言えば、『ハム太郎』の映画ポスターはやたらに貼られまくっているが、同時上映のゴジラのことは小さい字で表記があるだけ。カコミ写真くらい入れろよ、東宝! デパートでウナギ弁当買って帰り、お茶入れて食べる。

 2時、東武ホテルロビーにてちくま書房M氏。時間割に場所を移して打ち合わせ。『トンデモ一行知識の世界』文庫化の件。私の住所は『創』の篠田さんにたずねたとか。“一年も待ってるんだよ、早く新連載しろって言っておいてよ”との伝言。イヤハヤ、そうでした。三田佳子の次男の本の出版で、今朝ワイドショーで篠田さんの顔を見たばかり。ちくま文庫では『カルトな本棚』も文庫にしたいと言っている。版元の同文書院がなくなってしまって、写真図版など、どこにあるかがわかればいいのだが。『一行知識』は来年5月の刊行予定。ただし、原稿は一月中にチェックして渡さねばいけない。

 帰宅、原稿書き。北海道新聞書評。5冊の本のイッキ紹介は大変であるが、今回はうまい具合に5冊の紹介に関連を持たすことが出来た。それからさらに、就職情報誌『クルー』のコラム書き上げる。これで年内の雑誌関係仕事は、Web現代一回と、年明け草々のフィギュア王。まだ先は遠い、という感じ。おまけにその後に書き下ろし本が数冊……。

 8時家を出て新宿へ。南口前の陸橋の上が信じられないくらい空いていて、タクシーの運転手さんが“なんかコワいですね”と言っていた。伊勢丹会館でK子と待ち合わせて、三笠会館で食事。ボーイさんたちがやたら親しげに話しかけてくる。ここの店がこんなに家庭的とは知らなかったな。白身魚のボイル、ドライトマトのパスタなど、例により取り分けて食べる。珍しくビーフシチューを頼んだがこれは成功。ワインとの相性が大変よかった。空腹だったのであっという間に食べ終わってしまい、カルバドスを頼んで、食後にチーズを。マスカルポーネにラズベリーソースをちょっとかけたものがウマかった。いろんなこと雑談しながら、結局最後の一組の客となる。

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