裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

17日

木曜日

「ジャックはなぜ死なないのか」「バウアーだからさ」

説明不要。

※書き下ろし原稿 ルナ稽古

朝7時半起床。
そのまま顔洗って着替えて、病院へ。
心電図取る。
予約入っていることのありがたさ、30分で終る。
9時帰宅、また1時間ほど寝る。

10時再起床。
日記つけ、原稿書きなど。
読売新聞の“編集手帳”は最近、朝日の天声人語よりずっと
視点の質が高く、前にも言ったが引用の妙に膝を打つことも
多いが、今日のはちょっと、エ? と首をひねってしまった。
「おさんというよく出来た女房がありながら、遊女小春と恋仲になった
大坂の紙問屋、治兵衛がしみじみ語る。〈親のばち、天のばち、仏神の
ばちは当たらずとも、女房のばちが恐ろしい〉◆近松門左衛門の浄瑠璃
「心中天網島」のせりふを、ゴルフ界に君臨するスーパースターは
ほろ苦く噛みしめているかも知れない」
いや、さすがにタイガー・ウッズが浄瑠璃の文句を噛みしめたりは
しないだろ、と思う。セリフそのものではなく、そういう類似の言葉を、
という意味で書いたのだろうが、字数制限から言葉たらずに
なったものだろう。ああ、わかるわかると思いつつ気の毒になる。

昼11時45分。
ホウレンソウおひたし、紙カツ、豆腐とホウレンソウのおつゆ、
茄子とキュウリ漬物。ご飯一膳。おつゆ大変に旨し。
思わず”旨いなあ“と口に出る。

書き下ろし原稿書けるところまで書いて荻窪へ。
ギリギリだったのでタクシー。運転手さん、一ヶ月前に大阪から
出てきたとかで濃い大阪弁。向うはもう、職探しもままならない
不景気だとか。

荻窪から歩いて本天沼の会議室。
隣の部屋で小学生たちがクリスマス会のお稽古。
バレエ衣装に身を包んだ女の子たちがたくさんいて、ハッシー、
「談之助師匠には天国ですよ」
と。

稽古、やっとセリフ入ったが、まだ”どこでそのセリフを言うか“が
あやふや。シヴさん、ほとんど入っておらず。この人にしては珍しい。
松下あゆみが、まっ黒い小猫を連れてきた(すぐ、連れて
帰ったが)。友達から、しばらく預かったものだとか。
まだ3〜4ヶ月のオス猫で、歯が延びかけなのかお腹が空いて
いるのか、あやす人の指をかぶる。
みんな、稽古放り出してキャーキャー。

客演の豊くん、ストレス(?)のせいか胃炎になり今日休み。
鳥越夕幾子ちゃんもストレスで(これは医者にホントウに言われたとか)
ニキビが出来てしまい、抗生物質のんでいるとか。
とはいえ夕幾子ちゃん、そのストレスを楽しんでいるようでさすが。

今日からハッシーが演出を離れ芝居の中に入る。
これまた時間がかかりそう。
私の長ゼリフ、とうとうとしゃべれたと思ったら、全然セリフにない
言葉を頭の中に作って話していた。いくら役になりきっていたとはいえ。

療養中のNC赤英の面倒をみているOさんが稽古場を訪ねてくる。
何か容体について悪いニュースか、と思って覚悟もしていたら、
体調は大変いいらしい。ほう、と思う。カラーパンクチャー、
効いているか?

5時、メシ休。モアに行きカレー。
ニュースで、民主もダメだが自民もダメ、という分析。
そらあそうだろう。野党としても元与党としても、まったく
存在を示せていない。

稽古場に帰って残りの部分。
みんな、かなり体力使い果たしてヘバっている。
公演中、倒れる人間がいやしないかと不安である。
終って、今日はハッシーが用事なので、
シヴさん、克己さん、夕幾子ちゃん、由美子ちゃん、それに
Oさんのメンバーで飲みに。
客家亭に行こうと思ったが場所をド忘れし、仕方なく蔵の木へ。
また蕎麦、になるがOさんが日本酒頼んだので、私もそれにする。
話題もはずみ、料理もうまく、蕎麦Oさんにも大好評。
1〜9で神経ハリつめさせていたご褒美みたいな解放感で極めて
楽しく飲んだ。Oさんに11月の芝居のセリフ割当が適切だった、と
言われて、わが意を得たりになる。
夕幾子ちゃんが、あ、今日は空気がクリーンだと思ったら誰も
タバコ吸わない! と。そう言えば一哉と岡っちは練馬で二人で
焼肉食っていたそうである。

ハッシーいないとみんなてきぱきで、珍しく12時前に帰れた。
もう一回、書き下ろし原稿に目を通して1時半、就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa