裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

木曜日

非難のウッズが巻き起る

いいじゃねえか他人のことだし。

※原稿 映画鑑賞 ルナ自主稽古

朝9時半起床。
寄稿する同人誌原稿を書くが、何故かなんべん
送ってもデリバリーできませんでしたと言うメッセージと
共に帰ってきてしまう。

昨日買い物をしたときに、
「センセイのところはもう忘年会シーズンは終わった?」
と言われて愕然とした。公演があるせいで、年末のやるべきこと
(年末進行は別として)をほとんどやっておらず、
年末らしい雰囲気まるでなし。
考えてみれば、忘年会の案内も封をあけずに取り捨てているもの
多々。

昼食、母の室で、けんちん汁、冷し茶碗蒸しでご飯。
テレビで美人女子アナが堂々と“へのこ(辺野古)”と言っているのを
聞くと、現在の日本にとって重要かつ喫緊の問題であるにも
関わらず、ニヤついてしまう。
江戸小話の読み過ぎか。

あと、こないだの高円寺の火事、調理場で焼いていたぼんじり
の脂が火元だったそうな。あの脂っこさを想えばさもありなんと
いう感じであるが、これも人死にが出ている事件で不謹慎とは思うが
その出火原因の意外さに一瞬、笑ってしまう。鶏の復讐。

5時半、渋谷へ。久しぶりの渋谷の雑踏、懐し。
なんだかんだ言ってやはりさまざまな情報はこの街に集まっている
感じあり。シネマヴェーラで山城新伍特集、『怪猫トルコ風呂』
を観る。助監督が澤井(沢井名義)信一郎だったな。
山城新伍はカメオ的特出出演だが、トルコの帝王らしい
いかにも縄張うちの世界の演技といった勝手自在な芝居であった。

主人公(化け猫)役は日活ロマンポルノの谷ナオミだが、
東映ぽさはいかにも薄幸な顔の大原美佐の方に多くを負っている。
豊満な谷ナオミにくらべるといかにも薄い胸のヌードも
いとど哀れ。一方で後に東映ポルノのトップをはる東てる美が、
まだ初々しいお嬢様役の裸身を見せている。
日活ロマンポルノはSMを描いてもファンタジックであって、
意識して現実感を薄くしている感があったが、東映ポルノ路線は、
どうも生々しい現実感が吹き出してきている。
この作品など、題材が化け猫というファンタジックの極みでは
あるが、それでもなお、室田日出夫に大原美佐が犯されるシーン、
犯されたあと、最愛の姉に“出てって”と、女としての独占欲を
あらわにするシーンなど、妙なナマナマしさがあって、そっちの
方にドキリとする。

学生時代に浅草の名画座で観たときはチープ感をバリバリに
感じたものだが、今観ると、セットもきちんと作り込んであり、
逆に感心してしまった。前出の山城はじめ、室田日出雄、殿山泰司、
大泉滉といったキャストが現代ではやたら豪華に感じるからでもある
だろう。室田の存在感はこのあいだ観た『東京ディープスロート夫人』
と並んで、いや凄まじい。

快楽亭らしい背中を見かけたが、声をかけそびれる。
出て、ちりめん亭で中華そば食べて(ここの昔ながらの中華そばの
味がお気に入り)、京王線乗り換えて桜上水。下高井戸区民館
(だったか)でルナ稽古。初めてのところだったので
歩きながらちとたどりつけるか不安になる。
集まるもの、私、一哉さん、夕幾子ちゃん、琴ちゃん、菊ちゃん、
エリック、由美子ちゃん、じゅんじゅん。

今日はハッシーがおらず、本来稽古はなかったのだが、
セリフとかが長いこともあり、自主稽古なのである。
動きはまだ決定していない部分多いので、私主導で、セリフの
読み合わせを中心に。後半の、ほとんど稽古していない部分を。

終ったあと、一哉、夕幾子、由美子、私の客演陣4人で庄や。
何かいろいろプライベート関係の話も出て、一体感を強める飲み会
にはなった。長ゼリフ覚えに四苦八苦仲間というか。

京王線で新宿。新宿から車で。
自宅で脚本もう一度読みつつ寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa