裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

16日

水曜日

カンパリオレンジほととぎす

大晦日の夜に便所でカンパリオレンジを飲むと妖怪に会わないという言い伝え。

※原稿書き ヘアカット

明け方目を覚すが、猛烈な朝鬱に犯され、七転八倒。
すぐにでも首をくくりたくなるほどのつらさに襲われる。
うーんうーんとうなりつつ、8時ころ、ふとウトウトしたとき
に夢を見た。知りあいの女性と話しあっている夢。
そんなに親しい間柄でもない(仕事は何回かした)女性と、
なぜかベッドの中で(ちょっとエロチック)ひたすら話しあって
いる。その話しあった内容というのがまた、夢らしいところの
全くない、ウルトラリアルな内容で、私が自分の心境やら友人知人観
やらを吐露し、それに相手が妙に厳しく、また適確な感想を述べる。
真剣に語り合っていたところで、電話で目が覚めた。
時計を見たら8時半だったので、三十分ほどウトついたときに
見た夢だったとわかるが、夢の中の感覚では一時間くらいも
話していた感じだった。そして、目が覚めた段階で、鬱はほとんど
払われていた。あまりの鬱に、脳がエマージェンシー機能を働かせて、
その女性を(このチョイスにもちょっと個人的に理由は想像つくが)
選んで夢に登場させ、カウンセリング療法を行ったのだろうか。

猛烈な寒気。昨日、5時くらいで体が動かなくなったと記したが、
マイミクで気圧に弱い仲間も、やはりそうなったと報告があった。
強い寒冷前線が入って、気圧の乱れが尋常でなかったのだろう。
鬱もそのせいと思われる。

そんなこんなで朝は抜き。日記つけと雑用、入浴のみで過ぎる。
昼食、12時。母の室で。サバ味噌煮、ナメコ味噌汁、茄子漬物。
ご飯一膳。テレビで“1ヶ月ルール問題”。森田実が、鳩山由紀夫の
「政治家としての能力の低さが露呈した」
と凄いことを言っていた。この人は徹底した親中派評論家と
思っていたが、その彼にしてこういう意見か。

『ヤマト復活編』のせいで昔のヤマトの話題があちこちマイミク
さんの日記や、ボイス機能(これ、出せなくできないのかあ)で。
普段であればホイホイとコメントを書き込むのだが、忙しくてそれも
出来ず。

森雪が最後に生き返るシーンは放映当初から賛否両論だったが
私は賛成派であった。生き返る理屈がない、という反対派の
意見に対して、あの前のシーンで沖田が死んでいる、
つまり、再生した地球の未来は沖田たち老人世代から古代や森の
若者世代へとその運命を託し繋げた、という、この作品の
テーマをあの森雪の再生は表しているので、ここは何としても
生き返らなければダメなのだ、というのが私の主張であり、
フレイザーの『金枝篇』まで持ち出して擁護したなあ。
リアルでない、というならそもそも宇宙空間を戦艦大和が飛ぶって
ところに文句つけるべきだろう、とケンカ腰になったり。
あの当時は熱かったものである。

とはいえ、その頃からいっぱいいた設定派、考証派、リアル派に対して
私は徹頭徹尾、“ウソ派”であった。
「リアルなものが面白いわけがない、面白いのは“リアルぽい”
ものなのだ」
というのが当時の持論だった。後で“アレ?”と首をひねられようと、
ツッコミを入れられようと、見ているその時にハラハラドキドキ
させさえすればいい。
これは、“雑学はアヤシゲなものほど面白い”という、後の文筆業
の際のモットーにもつながってくる。

そう言えば、どういうことだったか忘れたが、コン・バトラーV
の中の一話で政府が介入してきてどうしたこうした、という設定が
出てきた回があって、リアルでいい、と評判になったとき、一人だけ
「コンバトラーのムチャクチャな世界観のなかに、こんな
リアルな設定を入れちゃ台無しだろ」
と反対して、また論争になったりしたものである。
論争自体が楽しい時期というのはあるものだ。

書き下ろし原稿、進める。
残念ながら不捗ではあったが、形は決まった。
今日の稽古はパスし、明日からの1〜9にかけることとする。
3時半、急いで家を出て、代官山。
エドエドにてヘアカット。
S先生、もうかなりお腹が大きくなっている。
女の子だそうだ。予定は来年3月。今年一杯で産休、
来年一年は育児に専念するとやら。カット後に、その間の代行の
O先生(男性)を紹介される。

代官山ピーコックで買い物し、電車乗り継いで帰宅。
原稿カリカリ。やはり不捗。
来年の仕事につき、編集の人複数にメール。
飲みましょう飲みましょうと。
10時、放棄して夜食。
ラムとベストもやしの蒸し物、機能の煮物残り、
それと塩らっきょう。塩らっきょうはもうこの時期、漬かりすぎて
しまっていてダメ。
八海山、マッコリソーダ割。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa