裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

日曜日

♪内匠頭が〜刀を抜いて〜

♪松の廊下で〜刃傷したら〜
 約定通り〜四十七士で〜討ち入りしようよ〜mmm……。
 古い太鼓をドドンと鳴らそう〜泉岳寺が見えたら
 首を供えて〜お祈りしよう〜討ち入りしようよ〜mmm……。

※集団as if観劇 原稿書き 『南極(人)』稽古

朝ねむくて10時近くまで。
夢に何故かよく、ゲーム遊具がずらりとおいてある
遊園地のゲームセンターのような場所(まず、いかない
ところなのに)が出てくる。
今朝もこういった場所が出てきて、その、カプセルのように
中に入り込めるゲーム機の中にもやしがいて、
独り芝居をやっていた。

朝食、カットフルーツ(パイン、グレープフルーツ二種、
イチゴ、キウイ。キウイは熟しすぎて崩れかけていたので食べず)。
年末の予定をいろいろ算段する。なんとか稽古と本番の舞台の
間を縫って、片づけられるものは片づけられる見通し。
コミケは申し込みに不備があったというので今冬は落選。
不参加は十年ぶりか。しかし今年は公演の稽古しながら
同人誌づくりはまあ無理だし、公演あとも予定ぎっしりだし、
スタッフは産休だし、むしろラッキーだったかもしれぬ。

今年いっぱいどころではなく今日一日の予定もいろいろ
動かして何とかクリアできるようにする。
日記つけ、書き下ろし原稿用の資料をまとめる。
こないだ手に入れた三冊のうち、一冊は役に立たない
ことがわかる。一冊はまあ、使えて、もう一冊はまだ海のものとも
山のものとも。

昼食、母の室で。オムライス。
トマトソースをかけた、至極あっさりめの味で、私のような
歳のものにもすっきり食べられる。

大塚・萬劇場にて集団as if公演『生の瑕疵』観劇。
高校生たちの友情物語。身体に障碍を持つ一起、
優等生であることを親に押し付けられている雄介、
不良っぽい圭の三人は、クラスの人気者の由華も加えて
夏休みに自主映画を撮ることを計画する。
だが、彼らがそれぞれに映像に収めようとした将来の夢は、
現実の前に次々に押しつぶされていって……という内容。

“トラジカル・コメディ”がこの劇団のウリであるが、前に
ルナティック演劇祭に参加した『幸せの刻』はまだ、
コメディの要素がトラジディではないという証明分程度に
きちんと含まれていたが、今回は徹底的に暗い。もちろん、
インプロ部分含めてギャグは豊富に入っているが、見終わった
あとは全く印象に残らない。ひょっとして、ここまで暗くする
(登場人物のほぼ、全員が不幸な結末を迎える)こと自体を
コメディととらえているのか、と驚いたほど暗い。救いがない。

その暗さのインパクトたるや凄まじいものがあり、“徹底”という
行為のパワーを感じた。
暗い話は好きじゃないが、ここまで暗くするとそこに主張が
生れる気もする。何をみても感動をしない今の若者の
心をスクラッチするには、ここまで徹底しないといけないのかもしれない。
神父役の山田亮さんのトボケたキャラクターがしかし、本当に救い
だったなあ。

見終わってしばらくその余韻にひたっていたら、後ろの席に
座ったおばちゃん一行(出演者のどなたかの親戚か)が、
「こういうのも嫌いじゃないわ、“覚せい剤やっちゃダメ”って
テーマがよく伝わってきたわよねえ」
と話していたのが耳に入って、席からズリ落ちそうになった。
まあ、一般人とはこういうもので、いろいろ考えてしまうこっちの
方が頭デッカチなんだろうけどねえ。

あと、インプロシーンで、私の書いたセリフが読まれた。
以前の楽園でのときも読まれた。満席の会場で、2回も偶然
読まれるというのはかなりの確率ではあるまいか。

藤丸さんたち旧知のメンバーに挨拶、いったん家に帰って
原稿にまた向うが何だか書く気がせず寝てしまう。
起き出してまた原稿。結局書き上げられず、稽古に遅れて
天沼へ。ちょうど着いたら、私の中大岡出演シーン。
すぐに立って稽古。as ifとは対極のバカ芝居。
これもまた演劇。

今日は狭い天沼会議室3階の稽古場が満席(これでもまだ二人ほど
欠席あり)、それにグレート義太夫さんと映像製作の山口A二郎さんが
いるので、窓ガラスが曇る(寒い日だったので)くらいの人いきれ。
何か、稽古しているぞ、という気になった。

エリックがハリウッドの大スターという役ながらまるで立ち姿
なっておらず、オスカーのモデルである夕幾子ちゃんがいろいろ
レクチャー、とはいえアガってしまって(稽古なのに)まるで
ダメ。そのアガるところが面白く、義太夫さんが
「ウチ(たけし軍団)に欲しいですね」
と笑っていた。

10時近くまで稽古し、寒々とした中、かっこで酒と飯。
ハッシー、シヴさん、克己さん、A二郎さん、早さん、それに夕幾子
ちゃん。シヴさん、アーバンの芝居に出ると口内炎が出来るという。
居酒屋での飲みが主体になるからで、ルナはきっちり食べるので
栄養不足にならないそうだ。
克己さんやたらハシャぐ。かなりクタビレてみんなの会話についていけず。
ハッシー、A二郎さんと三人になったところでやっと回復。
ちょっと意見ぶつけあう。タクシー相乗りで1時半、帰宅。

*エリックに立ち方を指導する克己、夕幾子。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa