裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

7日

月曜日

小豆洗いのアルバイト

※理科の先生が学生時代バイトをしたと言ってました。「小豆洗おか、
人とって喰おうか」と言うだけで一晩20000円だそうです。

朝8時半起床。
朝起動時のパソコンがどうにも反応鈍い。
コイツ低血圧かと思うくらい。

入浴、洗顔、服薬・サプリ等如例。
朝食、惣菜用に買ったクリームコロッケをパンにはさんで。
調整豆乳と。

日記つけ、同人誌原稿(依頼物)チェック。
押尾容疑者逮捕より、国会図書館パンク寸前のニュースの
方に興味がいく。

昼食、母の室にてサバ干物焼き、キュウリ漬物等で
ご飯一膳。支度して外出、タクシーで汐留日テレタワー。
ロビー前でディレクターK氏と落ちあい、
30階に直行、即、収録に。
ちょうど西日が差し出す頃で、話している間にカメラマンさんが
汗をかきだした。

話が盛り上がる感じで、20分ほどの予定が倍。
向うが“あー、そうじゃなくてえ”と言い出さないか心配でも
あったが、聞いて笑みを浮かべてくれたので(バックのCDも)
まあ、成功だった、と思っておこう。
他の番組の出演予定のことなども話しつつ、表に出る。

新中野に一旦帰宅。
原稿書こうと思ったがクタビレて、本読んだりに終始。
艶笑喜劇、という単語にいま、非常に興味がある。
今回の舞台にも意識して下の笑いは入れてみたが、案外現代でも
艶笑ギャグは効果があることがわかって楽しかった。
次回作ははっきりと艶笑喜劇を謳おうと思う。

5時、家を出て荻窪。寒気身に染む。
収録のときの格好そのままで稽古に入る。
前にも書いたが私の役はインチキ心霊研究家の中大岡百太郎。
中岡俊哉がモデルの(原作本で古屋兎丸氏のイラストも中岡風)
キャラクターで、かなり辛辣な描き方をされている。
タラコ唇が特長で、最初、つけ唇を特殊メイクでしてみようか
という話があったが、結局はまったく私の素で演じ、
「メガネとか、もう少し中岡俊哉風にしようか?」
という提案にも、演出のハッシーから
「いや、唐沢俊一風のままでいい」
と言われている。

私も中大岡の役は演じていてオモシロイ。
と、いうか、小説家をトップに置く文壇ヒエラルキーの中で、
アヤシゲな心霊コラムなんぞを書いている人間というのは、
いや、雑文書きなどという存在は所詮イロモノであり、
とはいえイロモノであっても時には作家以上に売れてしまう
場合があり、ましてやそれなりにブームなど一度起こして
業界の中で認知されると、例えば若手の小説家と並んだ場合、
業界の位置関係のどこにそういう人物を嵌め込むか、
出版関係の人間は非常に苦労する。
私など、まさに今やそういう地位というか範疇というか枠付け
というか、その手の扱いのモノカキの代表の一人であり、
作中の中大岡とぴったり重ね合わせられる人間である
(書いてるものがアヤシゲな分野であることもパラレルで
であり、それが本人のイメージに重ね合わされるところ
も相似形である)。

以前、NHKの大河ドラマで伊丹十三が吉良上野介を演じる
ことになったとき、インタビューに答えて
「よくぞ私にこの役をキャスティングした。まさに私というのは
吉良的なキャラクターであり、演技する必要がないくらいだ」
と言っていたが、私の中大岡というのも、たぶんどんなに
演技がうまい役者がキャスティングされても、私以上の
存在感はこの役においては出せまいと思われる。
自己パロディは演じていて楽しいものなのである。

今日は古舘プロジェクトの藤田由美子ちゃんも加わり、
立ち稽古9時半まで。鳥越夕幾子ちゃん、風邪気味で8時過ぎると
エネルギー切れになる。それがあまりにも顕著なのが面白い。
稽古終って、いつぞやの狩猟肉居酒屋の『恋物語』に
彼女たちと客演陣数名で入り、鹿肉焼き、マガモの鍋などで
酒と飯。バカ話の連発だがさすがは役者蓮、最後はちゃんと
演技論(みたいなもの)になる。

12時半、帰宅。暮の仕事のスケジュール合わせでメール
やりとりなどして寝る。東京中低域からは忘年会ライブへの
お誘い、タイミングはピッタリ!

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