裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

金曜日

赤いプーチン

あの子はどこの子 こんな大国 しっかり握りしめた赤い権力よ

※打ち合わせ収め 原稿書き収め 書庫整理

今朝の夢。
三人組の超能力戦隊。
とはいえ、一人々々の超能力は、サイコロの目を変えること
くらいしか出来ず、三人揃ってやっと、車のキーを入れるくらい。
これで何とか世界を救う職務を遂行する。
案外面白いアイデアだと夢を見ながら感心した。

9時半、窓の外で風が轟々と音を立てている。
起きたとたんに足腰にずしーんとくる痛み。
なんだ? と一瞬パニックしたが、要は昨日の棚の組み立て
のせいだと思い至った。運動不足、覿面たり。

痛た、痛た、とわめきながら母の室に向かい朝食、
バナナリンゴジュースとコーンスープ。
今年は本当に、私の行きつけの店や場所が無くなった年であった。
人生が本当にやるせなく感じる。

マイミクのはれつ氏から、新橋のインドネシア・ラヤが無くなる
との報せ。新橋のは行ったことがないが、新宿の歌舞伎町にあった
インドネシア・ラヤは、今から31年前、受験で上京したときに
中田の伯父に連れていかれた店だった。今のようにエスニック料理が
どこでも食べられるという時代ではなく、かなり印象的だったのを
覚えている。ナシゴレンとバナナのフライが記憶に強く残った。

店も無くなる、人も亡くなる。
歌手のアーサ・キット死去、81歳。
20年くらい前、アサヒビールの“生とっくり”というボトルの
CMで、彼女が歌う“ショー・ジョー・ジ”が流れていた。
http://jp.youtube.com/watch?v=-OXgvJKPrEA
聞いてナンダコレハとびっくりして、画面に“唄:アーサ・キット”という
文字が出たのをたよりにレコード屋を探し、見つけ出して
買い、高名な歌手だと知った。
歌詞も覚えた。今でもソラで歌えるが、歌って聞かせる
場所がないのが残念である。

http://jp.youtube.com/watch?v=9jpIMfQGCC8
↑全曲はこちらで。
ちなみにそのとき買ったレコードのB面はトルコ民謡の
『ウシュクダラ』で、エキゾチックな東洋の歌というのが、
彼女の得意分野のひとつだったようだ。

あ、ところで彼女を“元祖キャットウーマン”と書いてた記事もあるが、
実写テレビ版『バットマン』でキャットウーマンことミス・キャットを
演じていたのはジェリー・ニューマーで、アーサ・キットは三話だけ、
ゲストでキャットウーマンを演じただけである。
この番組はよくそういうことをやって、ナゾラー(リドラー)は
フランク・ゴーシンが持ち役だったが、なぜか二話だけ
ジョン・アスティン(『アダムスのお化け一家』のゴメス役)が
演じたりしている。

昼はパックご飯を温め、賞味期限が一月までの生シャケ茶漬けの
もとでかき込む。
それから今年の仕事納め(原稿関係では)になる三才ブックスの
原稿を書き出す。書いているうちにしまった、事務所に資料が
あったのを昨日持ってき忘れていた、と思いだし、半分くらい書いて
残りは夜にする。

事務所へ3時に。郵便受けの荷物などを確認して、15分ころ、
仕事場に入ったとたんに電話、“本日3時から打ち合わせという
お話でしたが……”とTさんから。全く聞いてなかったのであせる。
幸いベラミだったので直行できてホッと。
政府某組織がクライアントというお堅い仕事であるが、内容は
それほどお堅くない。と、いうか柔らかすぎかもしれない。
本日は制作プロダクションの人と、いろいろスケジュールのことなど
打ち合わせる。
Tさん、昨日の私の日記を読んで“鹿鍋が気になって”とのこと。

部屋に戻り、書庫整理。
整理するんだかもっと乱雑にするんだかわからないが、しかし
長いこと行方不明だった本がやっと見つかったり。
かがむたびに痛たたたた。
階段のところに本を積み上げ、オノに運んでもらう。
途中でバーバラも来る。忘年会に参加人数追加あり。

6時半ころまで整理して、何とか段ボール箱10箱分くらい。
この寒空に暖房を一切いれなかったのだが、運動して暑くなる。
さらにこれを3倍くらいにせねばならぬのだが、何とか整理本を
選ぶコツが身についた気がする。なべかつさんから電話、
来年5月の仕事、7月に延びる。こちらはむしろありがたし。
しかし、6月までかなりもうスケジュール埋まってきたが、
ついに7月のが入ったか。

例の資料、持って帰宅。
サントクに寄り、鶏手羽を買おう(足の痛み緩和にコンドロイチン
分を取ろうと思って)としたが無く、代わりに手羽元を。
サントクはもうお正月色ひといろに。

原稿書き、編集部から催促電話受けながら書き、10時ちょっと
前に完成、メール。これでとりあえず、本年の原稿仕事は
書き収めた。ふう。

仕事中煮込んでいた手羽元(ネギ、酒、醤油、ニンニク、ショウガ、八角)
と、明太イカ、それにミョウガとジャコおかかで酒。
DVDでアウターリミッツ、『人間電池』。
ドナルド・プレザンスが、気が弱く、女房の尻にしかれ、しかし
善意の人間で、人類のための宇宙開発(彗星や小惑星などを引き寄せて
そこから資源を調達しようという凄いもの)に貢献したくてしたくて
たまらない、というキャラクターを演じている。トレードマークの
ハゲ頭も、改造手術の傷跡を常に呈示するという演出にぴったり。
彼の転職願いを許可しない大学の学長役に『それいけ! スマート』
のチーフ役、エド・プラット。宇宙研究所の心理学者に
『ゴッドファーザー』で馬の首に悲鳴をあげる映画監督役の
ジョン・マーレー。今回はラストのカタストロフに、悲鳴もあげられ
ないで固まっていた。

脳に特殊機械を埋め込むことで、主人公のプレザンスは、
物体を自由にあやつる力を手に入れる。
冒頭、会議室内で重そうな隕鉄を宙に浮かべてみせるシーンは
吊っている糸がモロ見えなのが微笑ましいが、インパクト充分。
これはウルトラQの『ガラモンの逆襲』の隕石浮遊シーンに
絶対、影響を与えていると思う。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa