裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

木曜日

仰山党宣言

妖怪が欧州を騒がせてるて、そないな仰山な。

※棚組み立て 社会派くん対談 忘年会〜カラオケ

ゆうべベッドに入ったのが12時ちょうどくらい。
で、ぐっすり眠って、いや、よく寝たという満足で目が覚めて
時計を見たら12時半。30分しか眠ってない。
人間、睡眠の仕方では30分しか寝なくても充分なのか、
それとも、よく寝たという記憶そのものが寝惚けの産物なのか。
ともかく、また寝直して、数回目が覚めたが、結局9時半まで
眠ってしまった。寝られるものである。

その長い眠りの中、いろいろと見た夢の中のひとつ。
知人(実在)とNHKの番組収録に行く。
終ったあとに食事が出され、酒を勧めるが知人は断わる。
そんなこと言わずに飲めよ、と言うと、
「実はガンにかかっていて、あと一ヶ月持つかどうかもわからない」
と告白され、ショックを受ける。
その夜、ホテルの一緒の部屋で寝る。
「奥さんと一緒の部屋じゃなくていいのか」
と言うと、
「もう最後かもしれないからじっくり話しておきたい」
という。私はちょっと感動するが、興奮した彼が
身を乗り出そうとしてベッドとベッドの間に落っこちてしまい、
助け出すのに大ドタバタとなって、感動も何もなくなってしまう。

起きて朝食、バナナリンゴジュースとコーンスープ。
飯島愛、発見されたときすでに死後一週間であったという話。
これくらい業界の中と外での評価が食い違う人もいなかった
気がする。AV業界人に知人も多いが、彼女のことを
よく言う人は皆無だったと思う。さるAV男優に、
「印象に残る女優さんて誰ですか」
と訊いたことがあるが、
「いろいろいるけど、とりあえず態度最悪だったのが飯島愛」
と即答されたことがあった。
テレビでブレイクした後も、知人の編集者たちで、インタビュー時に
怒鳴りつけられたとかふてくされられたとかいう思い出を語る
者は数多い。

ところが、これがいったんテレビ画面の中へと目を転じると、
頭の回転が早く、気が回り、即座に場を読み、自分の立ち位置を把握し、
かつ、ワールドカップの韓国−イタリア戦のときのように、男の
コメンテーターでも言えない審判疑惑をズバリ言うという、
バラエティー番組における最高のキャラクターに変貌する。
一時期、彼女の存在はまさに“女性たちの教祖”という
イメージだった。
死亡記事につけられた1万件近いコメントのほぼ全てが、
彼女への好意で埋め尽くされているのがその証拠だろう。

あの評価の差(もちろん、業界にも彼女を擁護する声はあるが)は
外に対して100%サービスをしていた分、たまったストレスを
スタッフたちにエグゾーストしてバランスをとっていたのだろう。
これはプロの鑑みたいなものだが、しかし、よほど自分を律して
いなければ、それはそれで別のストレスがたまる行為である。
状況から、自殺ではないと思う(ハルシオンのようなマイナー・
トランキライザーは大量摂取しても死ねない)が、しかし
常用していると意識が朦朧となり、アクシデントは起きやすくなる
のは確かだ(特にアルコールとの併用だと)。

バラエティ番組というのは、自分で出演してみてしみじみ感じたが、
あれは究極の自虐商売。ストレスもそれはたまる。
ある番組に出たとき、たまたま、雛壇の上から斜め下に座っていた
人気バラエティーアイドルの左腕が見えたが、そこにまるでメジャーの
目盛りのようにずらりと自傷のカッター跡がついているのを見て
ショックを受けたことがある。
飯島愛のような悲劇はこれからも起るだろうし、また、起きても
起きても、その座をねらって多くの者が、自らストレスを得に
這い上がってくるのだろう。凄い世界だ。

昼飯は冷蔵庫にあった鴨肉がそろそろ限界なので、ごま油と
だし醤油で煎り付け、葱と合わせて、溶き卵の中に混ぜ込み、
ご飯にぶっかけて食べる。赤穂浪士が討ち入り前に食べた食事は
これ、と池波正太郎のエッセイで読んだもの。

食べ終った頃、チャイムが鳴り、組み立て式の書棚が届く。
棚作りは年末の恒例行事みたいになっている。
要するに、一年間で増えた本やDVD類をどこにどのように整理
すべえか、いろいろ考えて、最後に
「やはり新しい棚が必要だな」
になるわけである。

夕方まで、その組み立てに費やして汗だくになる。
例により、天と底の板を間違えて取り付けてしまったり、
板が倒れてきて足に当たり、血が出たり、いろいろ苦労したり
キーッ、とわめいたりしながら組み立てるが、そのドタバタも
またいい気分転換。
途中、NTTから電話移転の確認電話があったりするが、
夕方までに何とか完成。

そうこうするうち5時。
急いで家を出て、新宿。
らんぶるで社会派くん対談。
「この対談、だんだんシビアになるな」
と村崎さん言ったが、確かに、初期の、猟奇事件を鬼畜なスタンス
で語る、というコンセプトからかなり変化している。
それでもまあ、何とか無責任放談のコンセプトを保てるよう
飯島愛コンクリ殺人事件関与ネタなども話題に取り上げて。

終って村崎さんと別れ、K田くんと吉祥寺へ。
吉祥寺駅公園口からちょっと(だいぶ)歩いて、居酒屋『こまちゅう』
(駒忠の関連店らしいが、ずいぶんおしゃれ)。
関係者内輪忘年会で、K田くん、元S社のT田くん、それにTK社の
Kさん、オノ・マドに私。

ここは樽生ホッピーが飲めるという店なのでオノとマドの推挙で
決めた店であるが、メニューに“鹿鍋”というのがある。
こういうものはぜひ、食べてみなくては、と注文。
鹿の切り身が出てくると思いきや、意外にもつみれであった。
これを濃いめのダシに入れて食べてみると、濃厚で甘味がつよく、
何ともおいしい。鹿肉にこういう食べ方があったとは。
みんな旨い旨いと食べまくり、おかわりまでした。
聞いてみたら、このチェーン店の社長が猟が趣味で、この季節に
なると捕ってくる鹿の肉を使っているそうである。

その他、駒忠チェーンらしく目玉焼から地鶏刺しまでバラエティ
に富んだメニューで、話題もワイワイといろんなところに飛んで、
いや、楽しい忘年会となる。来年の私の企画をちょっとみんなが
取りあいしたり。酒は樽生と、どぶサワー(どぶろくのサワー割り)
がぶがぶ。

忘年会と言ったらカラオケだろう、と、全員でカラオケボックスで
二次会、なぜかアニメ・特撮縛りになり、ヤッターマンから死ね死ね
団のテーマまで。私はキャシャーン、スカイキッドブラック魔王、
ザ・モンスターなどなど。結局2時過ぎになってしまい、
タクシー相乗りで帰宅。

*写真は組み立てたばかりの棚、鹿鍋。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa