裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

12日

水曜日

オレたち放禁ジョーク!

気違いちゃんマン、助けてー!(さすがに苦しい)

※『創』対談

夢。奇妙なアンニュイな音楽がずっと流れている大病院。
そこで舞台公演があって、その一座に私も参加しているのだが
私には別にヒミツの使命があって、某入院患者に
ある情報メモを渡すこと。
公演のあと、みんなが控室に当てられている
待合室で着替えなどをしている(ニューハーフの美女などが
いる)隙に、医者の格好をしてそっと抜け出し、
なんとか使命に成功してまた帰る。
アンニュイな音楽はずっと流れ続け、夕暮の中、外(お堀端近辺)
を通る自動車のライトを窓から眺めつつ、
「まるで死者の魂が行き交っているようだね」
などと会話しつつ、怪しまれないよう衣装を脱いで、
サテ、使命も無事果たしたし、今日はどこか酒のうまい
店で飲みだな、と思う。
夢の中でも飲むことを考えている。

8時半起床、寝やすい気温なのに間違えて冷房つけっぱなし
で寝てしまい、寒い々々。
梨噛って朝食。

午前中は雑用でつぶれる。
連絡事項、ライブのお誘い、旅行の問い合わせ等々。
安倍首相辞任のニュース、ミクシィのニュース欄で
知り、あわててNHKを見てみる。
表情が乏しく、これは朝青龍と同じ状態なんじゃないか、
と思う。伯父が鬱になったときもそうだったが、
鬱ってのは最初はワザとが半分入っている場合が多い。
だから、“オレがこんなに落ち込んでいるのに世間の連中は
わかってくれない”“じゃ、あえて非常識な行動をとれば
わかってくれる(心配してくれる)だろう”という考えで
周囲を騒がせる。
で、そのうち自分でワザと入った鬱の穴から出られなくなる
のである。

伯父はメモ魔で、自分の考えをノートに克明にメモして
いた。無頓着でよくそのノートを放ったらかしてあったので
こっそり読んだことがあったが、躁のときは
「俺の芸は世界を征す」
とか書いてあり、それが鬱になると
「絶望」
とかと一ページ大に大書してあり、あまりにわかりやすくて
笑ってしまったことであった。
昼は母の室で。
サンマ塩焼きと茄子。旬のものは美味い。

http://jp.youtube.com/watch?v=ktBdKZcv0EQ&NR=1
↑ハンナ・バーベラスタジオ見学記。ちょっと貴重かも。
1994年のものなので、撮影現場風景などはもう
だいぶ変わってしまっているだろう。

http://jp.youtube.com/watch?v=Z1ZFwndITv8&mode=related&search=
↑ハンナ・バーベラはいくつもの傑作を生みだしているが、
同時に珍作も生みだしており、その最たるものがこのアニメ版
『ゴジラ』だろう。昔、この作品のニュースが入ってきた
とき、アニドウの連絡紙『film1/18』でなみきが“ケッ!”と
評していた。ゴジラの鳴き声は巨漢俳優のテッド・キャシディ
がアテて(!)いる。

http://jp.youtube.com/watch?v=jZKW8FylTIA&mode=related&search=
↑と、思ったら(ハンナ・バーベラではないが)こっちの
ゴジラもアニメになってたのね。日本でも放映されてた模様。
映画から引き続いた設定で、倒されたゴジラの卵が発見されて、
そこから生れた子供ゴジラは、育ててくれた人間の味方で、
地球を襲う怪獣たちと戦う。
結局、ゴジラはこうなる運命なのか。

3時、出勤。『創』オタク清談収録、いつもの時間割に
行くが誰もおらず、確認したらカフェ・ミヤマだというので
急いで飛んでいく。岡田さん、痩せた上にメガネまで
着用してアッと驚くイメージチェンジ。
昨日、バーバラが
「明日の岡田さんはきっと伊達メガネでくると思う」
と予想していたのが大当たり。ただし、伊達メガネではなく、
乱視が発見されて、それ用だということ。

K保さんからバーバラに担当が変わっての第一回だったが
話はいつも通り盛り上がる。幻冬舎から次に出す予定でいる
本のタイトル、岡田さんからいいアイデアをもらう。
写真撮影し、対談のあと少し雑談。

事務所に行くが気圧乱れで仕事出来ず。
やれやれである。
メール連絡のみ。
なんと、アニメーターで小田部羊一さんの奥様の
奥山玲子さんが亡くなっていたことをなみき氏の日記で知る。
なみきも今日届いた小田部氏の手紙で知って、驚いていた。
しかも5月6日に亡くなっていたとのこと。
愕然。安倍首相の辞任よりも、円谷プロの買収よりも
本日のニュースで大きなショック。
6月の7日にアニメ夜話の収録で小田部氏にお会いした
ときには、私にもなみきにも、そんなそぶりは露も見せず
奥様と作画監督をした作品(『母をたずねて三千里』)
の話をされていたわけか。

形影相伴う、という感じの小田部氏と奥山さんのコンビを
私などは勝手に“日本のヤン・シュヴァンクマイエル&
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァ”と思って見ていた。
奥山さんは最近では絵本作家として活躍されていたが、
そこでもエヴァと相似だった。夫に先立つところまで
相似でなくとも。

小学校のとき映像授業で見た『わんぱく王子の大蛇退治』
で、スサノオの兄・ツクヨミが支配するヨルノオスクニの
描写が大変に印象的だった。
このシーンの作画・キャラ設定を担当したのが奥山さんである。
あのツクヨミのキャラクターは後の『ホルスの大冒険』の
グルンワルドに影響を与えていると思うが、そのグルンワルド
のキャラクターも、奥山さんは宮崎駿、林静一と共に手がけている。

また『ホルス』と言えば、まずほとんどの人が最初に
思い浮かべるのが、ルサンとピリアの結婚式だろうが、
結婚式の歌を歌う少女マウニと、花嫁ピリアのキャラも奥山さん。
その後の日本のアニメのキャラは、悪役なら見ただけで悪役、
美少女なら描かれた段階でもう美少女、とわかりやすさを
前面に押し出していくのだが、当時の東映長編アニメでは、
描かれた設定の段階ではごく普通のキャラなのに、彼ら彼女らが
“演技”することで、たまらない可愛さや清純さ、さらに邪悪さ
がそこに付加されてくるのであった。グルンワルドの多面性などは
確実に奥山玲子の設定したものだろう。
その特性は後に東映から日本アニメーションに移って以降、
さらに開花する。

東映時代、長編映画担当だった彼女もときどき駆り出されて
『魔法使いサリー』『マジンガーZ』『デビルマン』などに
参加することがあったが、そうすると子供の目にも如実なほど、
絵と動きの質が上がるのであった。あとから、あれも、あれも
奥山玲子参加作品なのか、と知って、ひそかに舌を巻いたものだ。
私という人間の一部を確実に“作っていた”人であった。
ご冥福をお祈りする以外にないが、悲しすぎるよ。

7時、高円寺のモツ屋『四文屋』。
ハッシーと飲み会。オノ、マドと先に店に行って待つ。
バーバラも来ることになっているのだが、
ここ、地上1階のくせに携帯がつながらない。
なんとか、交代で外に出てメールしたり電話したりして
二人とも無事に着く。

ハッシー、かなり海で日焼けしている。
劇場での全裸キャッチャーにあきれたが、海の家での
余興ではさらに凄まじいことになった模様。
そうか、某君が“地獄旅行”と言っていたのはコレか。
マドの報告で高円寺文庫センターが無くなっていたことを
知ったのもショック。
ああ、どんどん自分の知っている昭和が。

気圧で体調不良、かなり早くに酔っぱらってしまい、
あまり記憶なし。しかし、帰ってから酔いが急速に醒めて、
河井克夫氏にかなり激越な励ましメール送ったり
奥山さん追悼で『ホルスの大冒険』DVD見たり、いろいろした。

・写真は、本日話題になった方々。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa