裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

16日

月曜日

赤い車のシューマッハ

♪さらばと告げて 手を振る君は
 赤い車のシューマッハ
(簡単にできすぎて達成感のないダジャレ)

※ミリオン出版原稿(まえがき・あとがき)

三本の夢。一本目は忘れる。
二本目は、駅で狙った人物を追う殺し屋(若き日の
大月ウルフ・演)の話。すんでのところで獲物は汽車に
乗って逃げてしまうのだが、それを走って追いかける。
可笑しいのは、夢であっても
「いかになんでも汽車を走っては追いかけられまい」
と思ったのか、ナレーションのようなものが入って
「明治の汽車は遅かった」
と、いきなり明治時代の話に設定変更してしまったところ。
あとの一本はよく見る夢で、古い大劇場で、役者として
舞台に出なければならないのだが、まだ台詞も入って
おらず、最終日のお遊びで役をみんな入れ替えるとのことで
何の役をやるかもわからないでいるというもの。
そう言えば、役者になった夢、歌手になった夢はよく見るが
本業の物書きの夢というのはついぞ見ないな。

朝9時起き、急いで入浴して9時半、朝食。
“朝、生フルーツだけでダイエット”なのでスープもヨーグルト
もなし。ネクタリンにスイカ、まずいリンゴ。
談笑さんが特ダネ特番で何だか中国人に交じってダンスしていた。
台風一過で暑くなりそう。

自室でトイレに入る。朝はもう、下し症なので6〜7回
トイレに行くのだが、そこで座って本を読んでいたら、
いきなり、頭がぐらぐら、と揺れて、落ち着かない感覚に
なった。最初に思ったのは
「まずい、脳震盪か?」
であった。そしたら、玄関でバシャッと音がして、
立て掛けてあった傘とキャリーが倒れた。
地震だったと知る。

テレビをつけると、新潟で大地震らしい。
Yくん、引っ越しの準備などあるのに、これで報道に
縛りつけられるだろうな、と思う。
最後まで新潟の災害に縁のある人だ。
彼と、長野のヒコク氏にメール。

いろいろやりたいことはあれど休日にて動きがとれず。
DVDで瀬々敬久『雷魚』を見る。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000084TMH/karasawashyun-22
国映/新東宝の、いわゆる成人映画で、当然セックスシーンも
あるのだが、それをテーマにしているわけではなく、
行き場がなくなった登場人物たちの、人生のすれ違いと
からみあいを、思いきりアンニュイで索漠としたムードで
描いた作品。なんでこのDVDを買ったかというと、
次に出る本で、この作品と同じ実在の事件をモチーフにして
いるからだったのだが、私の本の方が、登場人物の、思い込み
の激しさから殺人に至るその短絡をスラップスティック調で
描いているのに対し、この映画の方はその行為を、
周囲から切り離された(と、思い込む)その徹底した孤独感
ゆえ、として描いており、同じ事件であっても視点の差が
これだけあるのだなあ、と驚く。
まあ、この作品は事件を元にしたフィクションだからなのだが。
主役の女性を演じる佐倉萌の持つ存在感に圧倒される。
裸になると、その肉体自体が、何かを物語ろうとしている。

昼はイカそうめんを買ってきて、イカ丼にして。
冷蔵庫に残っていたひしゃげた茄子で味噌汁。

NHKはもう、全ての番組を中止して(相撲はやった)地震報道。
原稿仕事、ミリオン出版書き下ろし本のまえがきとあとがきで
2000文字。
台風一過の好天が夕方近くから急に雲ってきて、梅雨空に
なる。気圧の変化で気分がどーんと落ち込む。
昨日に引き続き、タイのCMをYouTubeで見て
なんとか精神的ケア。
http://www.youtube.com/watch?v=u5EjqdZO9aE&mode=related&search=
↑ヤモリは南国ではごく身近な動物なんでしょうね。

http://www.youtube.com/watch?v=eEzO6X4KPwg&mode=related&search=
↑缶コーヒーCM。これ、キムタクと渡哲也バージョンで
見てみたかった。

http://www.youtube.com/watch?v=jutQL0DNstM&mode=related&search=
↑チューインガム。アホの極み。

http://mediasabor.jp/2007/04/no_style_part1.html
↑ここなどの記事を読むと、タイというのはCM先進国だった
らしい。

http://www.youtube.com/watch?v=Fe1TX7uW7rw&mode=related&search=
↑こっちは台湾のペプシコーラCM。無意味に壮大。

こてっちゃんとかで酒飲みながら、『刑事コロンボ』DVD。
『ホリスター将軍のコレクション』と『二枚のドガの絵』の
入っているやつ。『ホリスター将軍の……』は三十年前に
見てあまり面白い話でなかった記憶があったので、
見返すのは初めて。記憶通り、あまり面白い話ではなかった。
ただ、犯行を目撃する女性のスザンナ・プレシェットの
口うるさい母親役でケイト・リードが出ていたことを発見。
『アンドロメダ……』のルース・レビット博士を演じた女優。
あの映画(この作品と同年の71年製作)では女性的魅力のまったく
ない中年の女性科学者役で、よくこんな女優を連れてきたもの
だと思っていたが、あれはブスメイクをしていたのだった。

『二枚の……』の方はもう、四、五回は見返している。
とはいえ、ラストシーンのあまりのあざやかさに、他の
シチュエーションは忘れがち。ロス・マーティンの殺人に
協力して後で殺される女子美大生を演じたロザンナ・ハフマン、
別にとりわけて美人でもないし、なんでキャスティングされたのか
と思っていたら、何と制作者のリチャード・レビンソンの
若い奥さんだったのだった。
http://en.wikipedia.org/wiki/Richard_Levinson
どうりで、『エラリー・クイーンズ・ミステリー』とか、
『ジェシカおばさんの事件簿』とか、亭主の関係している
ミステリ番組にちょいちょい顔を出していたわけである。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa