裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

水曜日

ギターを持った笹みどり

『下町しぐれ』弾き語り。

朝8時半起床。入浴、洗顔、朝食(コーンマヨパンにコーヒー)。
雨は降っていないがどんより。気圧で気鬱。シャレじゃあないが。

午前中、のんべんだらりと過ごしてしまう。いかんいかん。やはり麻黄附子細辛湯が切れているせいか? 
渋谷に出る。昼は兆楽でギョーザと半チャーハン。肉の味のほとんどしない、麩で作っているのかと思えるギョーザである。懐かしい味だが。

仕事場でスケジュール確認。
今夜は朝日カルチャーセンターでの笹公人さんの講義に出席の予定。鬱で頭が働かないので悪いなあ、と思う。
『こだわり人物伝』、ネットで検索すると悪口とかいちゃもんをかなりつけられている。わかる。私も、他の人間が円谷英二をえらそう語れば絶対に何かかにか文句をつけるであろう。おとなしめに語れば新味がないと言われ、独自の説を語れば好き勝手をやっているとクサされる。C'est la vie。

朝日ソノラマのソノシート主題歌集CDボックスをずいぶん前に買ったきり聞いてなかったので聞く。川原たけし版の『戦え! オスパー』(テレビ版での山田太郎よりずっと声が澄んでいていい)や、2番に“♪ピテカン妖怪ヘーラヘラ……”が入っているバージョンの『どろろ』など、昔テープにとって繰り返し聞いていたものが多く、しばし鬱を忘れて聞き込む。

オノが風邪っぴきだというので早退させる。私の体調不良も風邪か?
6時半、タクシーで新宿住友ビル7階、朝日カルチャーセンター『トンデモ短歌の世界』。以前朝日カルチャーでは岡田さんと一緒にやったことがあるが、それももう五、六年以上前だったと思う。植木さん、しら〜さん、IPPANさん、桐生佑狩さんなどの顔あり、さらにきだてたくさんも。トーク、頭がボーッとしてまとまったことしゃべれず。とにかく笑いとること主体にする。

紹介されたトンデモ短歌の中、『警世短歌』と題された前田進氏の
「日米欧 〇八年に太陽が爆発する報ひた隠しおり」
「現状は悪の遺伝子設定の結果だという異星人あり」
というやつや、生沼義朗という歌人の『コミックマーケット』という連作の
「“代表以外すべて平等”と言いつつも発動される〈権力〉がある」などというもの、小学六年生で祖父の代からの学会員のK・M君の『日蓮正宗批判短歌』、
「学会が寺院建立してきたのに破門するとは邪宗教なり」
「いつまでもばか宗門と戦うぞ学会員には鉄の団結」
なんというひどいものなど、他いろいろ。
気に入ったのは大滝和子という歌人の『人類のヴァイオリン』という歌集の中の
「急行を待つ行列の後ろでは“オランウータン食べられますか”」
「粘土子という名の女この国にふたりくらいはいないだろうか」
これは傑作。後でアンケートでこれが一位になった。

静岡から来てくれたというお客さんもいる。名古屋でこないだゆめすけさんの『楽』に行ったそうな。私のシアターグリーンでの舞台も観ているという。へえ。

その後、植木さん、桐生さん、しら〜さんと連れ立って笹さんの知り合いのマンションに。ここはかの出口王仁三郎のひ孫という出口汪(でぐち・ひろし)氏のサロンなどだという。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%BA%E5%8F%A3%E6%B1%AA

恵比寿の瀟洒なマンションの一室であるロフト形式の白を基調とした部屋に、出口氏と、ホステスの女の子たち5名くらいがいる。そこへお邪魔して、いろいろと話。以前は宮台真司氏なども顔を出したという。女の子たちはいずれも女優や歌手志望の子たちだそうで、何かハレムを連想した。出口氏、私の本などを女の子たちに進めている。また、偶然ながら氏は桐生さんのファンだそうで、本を全部揃えている
そうだ。

寿司をとってくれて、いろいろと話をする。こういう場はちょっと体験不足なので口もあまりはずまず、桐生さんの歌壇闘争録的な話や、植木氏のさすがの博識に助けられる。出口氏は今度講談社から小説を出すそうである。そう言えば『文サバ塾』の二回目でテキストに使った、オカルト系の小説の出版記も、最後のオチは講談社での出版決定、であった。

2時間ほどいて辞去。腹もメートルも中途半端だったので近くの韓国家庭料理店に入り、雑談しながら豚足、レバ刺し、豚三段バラ肉など。マッコリと真露。SFマガジンのS澤編集長の話など。欠けた歯を何年ぶりかで補填したそうだが、いきなりいい男になって笹さん驚いたそうだ。1時半、タクシー分乗で。しら〜さんといろいろ話しつつ。タクシー代もっていただく。かたじけなし。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa