裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

8日

金曜日

アナフィラキシー、ホメオパシー、たたかひかちぬ

ええ、苦労したシャレですがそれが何か?

朝8時半起床。急いで入浴、9時朝食。アスパラガススープ、梨、スイカ。弁当もらって自室に帰り、日記つけ、原稿書き、で地味に過ごす。K子にイラスト用の雑誌渡したりなんだり。

K子の方針で自宅には出来るだけモノを置かない。昨日、たまった本などを段ボール詰めにして、たまたま届けにきた佐川急便に託す(いつもはヤマトを使うんだけど、と言ったらまけてくれた)。それだけで7箱になった。たまりすぎ。

昼は弁当。焼き肉でうまい。カニ味噌汁に薬味でニラを刻む。
DVDデラックスKくんから電話、さんなみ旅行のため(私が、だが)〆切早まる。泣くに泣けぬ。

4時、事務所行き。昨日送った本が玄関を占領し、ドアが閉まらない。オノとスケジュール打ち合わせ。あそこに入るのを一日早めて、あるいはそっちの時間をちょっと繰り上げてもらって、またはそこへ戻るのを早くして、などとアクロバットの如き調整になる。政治家とかはどうしているのだろう? 影武者が必要ではないか。

フェスティバルのためのサイン本注文が早川書房Aさんから来る。それと、いつぞや話したままになっている企画についての問合せも。これはすっかり失念していた。動き出すと大きい。すぐ再開させねば!

80年代レトロ原稿で松田ちゆりの復刻AVを見ていたら、本編が終ったあと、エンディングに、製作スタッフの、AV雑誌における作品の批評に対する反論が文字で流れているのがあった。評論した人に名指しで
「はっきり言って、私はあなたの批評が嫌いです」
とか、“一皮剥けていない”という批評に、
「(そんな)問題の立て方が通用すると思う時代認識こそがアマい!」
とか。1995年の時点のことである。ネット時代にはもうなっていた時期だと思うが、ブログ時代ではまだなかった頃の、製作者側の反論法としてもダイレクトで、なかなか興味深い。

私などはまだ、“作者がファンだの評論家だのの悪口に怒ってはいけない。その悪口への返答は作品によってすべき”という教育を受けてきた世代だが、そこらが完全に廃されたのがこのあたりだった、ということだろう。そのタブーの消失により、妙に作者や作品が小粒になってきた気がするが、これも時代の流れなのかもしれぬ。

私の『こだわり人物伝』への評価も、幸いまだ好評がほとんどだが、中には辛辣な批判もいくつかある。
「ゴジラの歩き方だけで小一時間話すのはいかがなものか」
という批評もあった。……25分しかない番組なのだが。まあ、倍の充実感を感じさせる内容だった、ととることにしよう。

体力気力ともに夕方以降充実せず。資料本の検索のみして、早めに帰宅。半身浴1時間ほど。スーパーの安売りで買った伊勢エビのペーストとでんたるさんからのカムイししゃもで酒。このししゃも(軽い燻製)うますぎ。

DVDで『フランケンシュタイン復活』また見る。後半が確かにクダクダになる欠点はある。ラストのとってつけたようなハッピーエンドも、むしろシュールっぽい。要するに、ストーリィは平々凡々だが
シチュエーションとキャラクターで保っている作品なのである。
これはシリーズものとしてヒットする要因でもある。

主役のバジル・ラスボーンはシャーロック・ホームズ役者としても有名。そう言えばイギリスのハマー・プロ製作の映画ででフランケンシュタイン男爵を当たり役にしていたピーター・カッシングもホームズ協会公認のホームズ役者として有名。さらにはラスボーンの、日本における最も著名な演技はエロール・フリンの『ロビン・フッドの冒険』におけるロビンの宿敵、ギズボーン卿だが、カッシングもハマー・プロのロビンフッドもの『シャーウッドの森』で悪貴族を演じてロビンとチャンバラをしている。似た役は似た役者に来る、ということか。
あと、あのモンスターの服装は鉄人28号の“モンスター”が毛皮を着ている元ネタ、と指摘していたサイトがあった。なるほど、と膝をうつ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa