裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

日曜日

NOTO・北日本海条約機構

世界情勢安定のため能登旅行での食自慢のしすぎを監視する機構。

能登旅行三日目。ゆうべの食いすぎ飲みすぎのせいか、あるいは波の音と海岸通りを突っ走る車の音を一晩中聞いていたせいか、奇怪な夢を見る。NHKで“皇室バラエティ番組”というのを帯番組で放送し、私がそのメイン司会者を務めるが、いつもの帽子黒づくめでなく、昭和天皇のメイクアップをして行い、カルト的な人気を誇る。そのうち、その人気を利用して私の親戚(実際にはいない)が有栖川宮事件みたいな、自分たちが皇室の血筋と言い張ったパーティを開き、私も出席させられる。自分が真の皇太子である、と演説する従兄弟を呆れながら見ていたが、そこで宮中由来のヨーロッパ名画の販売を行っているのを見て、これは関係していると自分まで詐欺罪に問われると青くなるというもの。これらの夢を、昨夜と同じく三十分おきくらいに目を覚ましながら、断続的に見ていた。

6時半、朝日のまぶしい海岸通りを散歩。ポケットに文庫本を忍ばせておいて、ブロックに腰をかけてしばし読書。いい感じではあるが、空からの陽光と、海からの照り返しでまぶしい。8時、朝食。サンマ塩焼き、冷奴、スズキのあら汁と、例により純和風。オーストラリアから来て、よくこれだけ薄味の純和風の食事を作れるものだ。

食後荷造りし、しばし休息。パイデザはベンにHPの作り方をレクチャーしている。エミリーはまたみんなと遊んでいる。顔はトモの方がどちらかというと整っているのだが、仕草はエミリーの方がダントツに可愛い。こうでんさんが迎えに来てくれたので、しら〜、あやさんと乗合で買い出しに。ここの素材をチャイナハウスに持ち込んで、今夜料理してもらうため。このあいだ行ったかみこ水産が休みなので、かくだストアというスーパーマーケットに行く。スーパーと行っても、あのさんなみがここで買い出しをするほどのところだとか。魚売り場で、宇出津産のふくらぎ、ノドグロ、アオリイカ、ボタンエビ、サザエなどを買い込む。ここのご主人夫妻に紹介される。色紙を持ってきて、サインを依頼される。後で開田さんもこうでんさんの車でやってきてあやさんとサインし、赤ん坊をはさんで写真を撮る。遠巻きにしておばさんたちが見ていた。フラットに帰って、あやさんがさんなみで野菜を掘っている間に荷造り。ベンもNHK見たというので、キングコング談義。ベンもピーター・ジャクソン版のコングはちょっとジュラシック・パーク風すぎてダメとか。

その後喫茶店に場を移し、でしばしみんなとダベる。3月4月の金沢での講演をどうするか。思った以上に予算が厳しいようなので、少し方針を転換。昼はまたここのタイカレー。パンを買い、恋路観光のバスで空港へ。空港のロビーでO内さん夫妻に出会う。われわれと入れ替わりにフラット入りするのである。

今回もこうでんさんの御厚意には本当に感謝。空港で、われわれが搭乗ロビーに移ってもなお、最後にガラス越しに挨拶するまで待っていてくれ、さらに飛行機の窓からK子が送迎デッキを見て、
「あれってこうでんさん?」
と言ったのを見ると、それらしき人が手を振っている。こっちは絶対に見えないだろうが、手を振り返した。能登の厚い人情よ。

台風の影響が心配されたがむしろ暑いくらいの快晴だったようで、何事もなく1時間で羽田着。岡さんはここで乗り換えで広島へ。残りのメンバーで海産物と野菜の箱をかついで幡ヶ谷まで(パイデザ夫妻とFKJさんは帰る)。幡ヶ谷に乗り込んで、マスターに調理してもらう。ボタンエビはボイルして辛子ソースでむさぼり食い、ふくらぎはチリソースで、アオリイカは生姜と千切りにして炒め、サザエはアスパラガスと、そしてノドグロは中華風煮付けにして。最後にもうひと感動あり。9時くらいに辞去、スパム除去とかメールチェックとかいろいろしなければいけないのだが、とにかく食い疲れたのでベッドにすぐ潜り込み、前後も知らず眠る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa