裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

日曜日

お若えの、イルミナティ

 待てとおとどめなされしは、啓明会でござるよな。朝、7時半起床。朝食作りながら『ハリケンジャー』見る。もっといろいろ話を詰め込んでもいい。構成がうまいことが、逆にスッキリさせすぎている感じ。いわばこの番組、『龍騎』の前座なのだから、メチャクチャであっても視聴者をとにかく興奮させるのが役割と思うのだ。8時朝食。豆とコーンの茹でサラダ。モンキーバナナ。

 9時、母に電話。明日成田で、明後日にはニューヨークの住人となる訳だが、“何にも緊張感とか高揚感とかがないので変な感じ”だそうだ。春先には初孫が生まれるのですぐ帰国、ということがあるからだろう。6月くらいにはこちらもどんな暮らし か見に行きたいものだが。

 今日は日曜とはいえ1時半に神田なので、朝からバタバタ。持っていく資料を探すが、ついこないだまでそこにあったはず、というものが見つからずイラつく(まあ、いつものことだが)。また大整理が必要かもしれない。12時半、まずタクシーで青山まで出て、紀ノ国屋で明日の朝食のパンなどが切れていたので買い物。それをカバン(帰省も海外旅行も古書展通いも全部これひとつで済ませている二十年来使っているズダ袋風黒バッグ)に詰め込んで、立ち食いソバで冷やしタヌキ啜り込み、半蔵門線で神保町まで。使ったことのないA9出口から出て学士会館の前を通り、神田錦町三丁目の錦三ビル(きんさんビルという名称はなんとかならんか)。表戸が休日で閉まっているが、K田くんが迎えに来てくれて、3階のアスペクト編集部へ。同じ階に新人物往来社などが入っている出版社ビルである。

 ここでカメラマンの坂本さんに表紙用の写真を撮影してもらう。村崎さんは黒装束をニューバージョンにして、スター・ウォーズかロード・オブ・リングスのキャラクターみたいである。その後、対談。北朝鮮の力道山本など見せる。単行本の〆用対談だが、盛り上がって面白いものになったと思う。村崎さんは日本のあらゆるものが劣化している、と説き、私は貧乏学提唱論、日本経済折り返し地点論などを。あと、もうダメと思われる人々の話、“学生時代の貧乏なセックスって楽しかったよなあ”というような話を。4時まで、なんだかんだ語る。全部は入れられないだろうが、ちともったいない。

 4時15分家を出て、半のロフトプラスワン(明日の朗読会打ち合わせ)には間に合いそうもなかったので斎藤さんとベギちゃんに携帯で連絡するが、斎藤さんも遅れているし、ベギちゃんは“今日、バックレちゃうことになるかも”ということで、どうなることか、とりあえず都営線で新宿まで。5時着。昼に性同一性障害者の集いがあったらしく、女装の人たちがたむろする中を事務所へ。バックレるはずだったベギラマも来て、無事、打ち合わせ。いろいろ話して、めんどくさいことはやめ、新生活研究会の復刻版『秘本大系』の中から二本、読みやすいものを彼女たちに朗読させ、私はもう少し高度な、擬古文調のものなどを読むことにする。いくつか取材が入る模様。ベギちゃん・まろんちゃん用のものをコピーしてもらっている間、事務所で三人で雑談。ここでも貧乏セックス論。しまった、ご休息時間あと20分だ、とか言ってあせって済ますのが青春のセックス。“まあいいや、泊まりにしとこう”などという余裕が出来たところから人間はダラクしていく。

 ロフトはいろいろ発展企画を抱えているらしく、いくつか頼まれごと。富久町の店時代から、いまだにここでライブ続けている人間も、もう私くらいになってしまったようである。プラスワンを卒業して(斎藤さんの言い方を借りると“アガッて”)、大きな会場へと飛躍していった人も多いだろうが、私はSF大会もそうだったが、ひとつの場所には十年、こだわりたいタイプ。プラスワンは1995年開店だから、今年で9年目。あとちょっとはここに居座ろう。今年、来年は朗読中心に、自分のライブを完成させていくことにしたい。

 コピー終わって、店を出ると大雨。驚く。以前、好美のぼるナイトのときもこんな具合で、そのときもベギちゃんと一緒だった。雨女かな。コンビニで傘を買い、新宿駅まで彼女を送って、紀伊國屋で少し買い物。K子に電話して、下北沢で落ち合うことにする。小田急線内で秘本大系読む。ぶつぶつと口に出して朗読の下準備。まさか周囲は艶本読んでいるとは思うまい。

 8時、虎の子。お客もこの雨では入ってこない模様。ほとんど貸し切り状態で、キミさんと、店員のタケシさんと飲む。バイトのタケシさんは何と本業は社長。食事作るのが趣味で、ここに惚れ込み、毎日、社長業が終わったあと、バイトに来ているんだそうである。いろんな人がいるなあ。白菜と豚肉の重ね煮、目鯛のガーリックバタ焼き、鶏つくね鍋。K子から、カワイソウな知人の話を聞いて、カワイソウとは思えども笑ってしまう。10時ころ、一組客が入ったのと入れ違いに帰宅。

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