裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

金曜日

戦えぼくらの梅安キング

 仕掛けろ大江戸の果てまでも。朝7時半までぐっすり。こっそり不倫したのを母親に注意される夢を見る。何で今さらこんな。朝食、カラマリサラダとイチゴ。今日は空模様、すっかり晴れ。寒いという予報ははずれたが、ちょっと涼しい感じ。

 昨日の日記の書き落とし。結局、新文芸座N氏とは会場で会えて、いろいろと話し合った。夏か秋あたりに、ちょっと大きな企画をプロデュースすることになりそうである。元・映画少年としてワクワクする。そういう先々の予定を楽しみに、午前中はずっと講談社Web現代。スラスラと行くことは行くのだが、なにしろ9枚半あり。 午後2時になってやっと書き上げる。最新版は今日、アップされた模様。
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 鶴岡から電話。この師弟で、なんと総裁選の話題など。
「橋本がまた出てくるってのは絶対いけないよ。『仮面ライダー』見てりゃわかるだろ。再生怪人がメチャ弱いってのは常識なんだからさ」
 人生で大事なことはみんな仮面ライダーで学べるのである。

 安達Oさんのネット日記を読んだら、昨日、吉野家でやはり牛丼食って、お新香がないと言われてキレかかったそうである。さすが官能倶楽部のメンバー同士、行動パターンまで同じですか。3時、表参道で銀行に寄る。空気は澄み、空は高く、風は涼しい。春先というより初秋の気候である。青山あたりだからモデルなんだと思うけども、ナレーチャンみたいな体型の(若い人にはおわかりがないが、『ネコジャラ市の11人』のナレーターの人形)金髪の外人女性が、タンクトップのシャツをノーブラの上にひっかけた格好で、ファッションショーのステージの上みたいに歩いていた。それがくやしいことに、ムチャクチャにイタについてる。この近辺は、日本人もかなりおしゃれに決めている連中が多いのだが、もう、どうしたって、その決まり様には日本人はかなわない。アタリマエで、洋服というのはそもそも彼らのために作られた服なのだから。われわれがどう工夫して着ようがサルマネなのだ。外国もののブランド服を、争って買うのはもう、やめようよ。奴ら、笑っているよ。差が歴然とするだけだよ。日本のデザイナーはここらでその全智を結集して、日本人が一番、カッコよく見える、日本人のための服装をデザインしてくれないものだろうか。

 ナチュラルハウスなどで買い物。レジに、黒人の、体重200キロはあるだろうという、巨大な黒人のおばさんがいた。派手なサングラスにスカーフ、イヤリングや指輪の大きいのをコテコテつけていたのだが、これがまた、見事にカッコいい。白人であってもデブはやはり見苦しいのだが、黒人は、最初から体のデザインが太ることを想定して出来ているかのように、その体型がピッタリしている。ここまで太ってカッコいいのは黒人女性だけなのではないか。だいぶ人種的劣等感を抱いた日であった。

 かなり遅めの昼飯を、青山で買ったサンドイッチですます。仕事を続けていたら、夕方あたり、急激な鬱に襲われる。脳内にセロトニンでもたまったか。身動きがとれなくなり、しばし固まったまま。こういうときに電話かかってくるんじゃないぞ、と念じたまま、部屋が薄暗くなるまでじーっとしている。私はこの状態が半年に一度くらいだが、岡田さんは毎月くるんだろうな。大変だなあ、と同情。

 8時近くになり、やっと体が動くようになり、少し遅れて夕食作り始める。つみれの鍋風煮物と、鯛ごはん。鯛ごはんは精神的に味つけの具合を細かく調整する気にならず、大雑把にダシやしょうゆをブチ込むが、アラ不思議、大変にいい味に仕上がって、K子に大評判。ビデオで新東宝のゲテもの映画『花嫁吸血魔』。鬱状態のときはこういう、心底アホらしいものを見るのが一番いい。池内淳子は、毛むくじゃらの吸血鬼姿もスゴいが、レオタード姿のバレエ練習シーンも、体型が純日本人であることが露呈してなかなか恥ずかしい。後に和服オンリーになったのもうなづける。見ながら梅干し入り焼酎(“魔王”)四ハイ、通常の倍である。

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