裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

月曜日

キャミソール後藤田

 フケ専。朝4時に起き、週刊読書人原稿一本。今週とりあげるマンガは鴨居まさね『雲の上のキスケさん』(集英社ヤングユーコミックス)。ありがちな、努力系女子が癒しタイプの自由人に惹かれて・・・・・・というストーリィだが、饒舌が魅力。主要登場人物がみな、象徴的な欠損性を与えられており(主人公の眉子は大女で低血圧、キスケは日光アレルギー、眉子の同級生の岡ちゃんはゲイ)深読みも可能にしているあたり、この作者タダモノでない。

 書き上げて、まだ眠くないので書庫の整理少しする。最近はすでに魔窟化していて足もロクに踏み入れられず、その一角をなんとか片付けたのみだが、自分でも買ったこと忘れていて、“なんだ、この面白そうな本は!”と驚くようなものがちょいちょい出てくる。自宅に古書店を持っているようなものだ、とも思うし、またみすみす宝の山を持っていながら空しうしているようなものだ、とも思う。やっと眠くなり、6時ころ、またフトンにもぐりこんで寝る。

 7時起床、朝食・タラコペーストとトースト。ブドウとバナナ。原稿、薬局新聞一本。鶴岡から電話。彼の知り合いが斎藤環氏の患者であることが判明。世の中は狭いねえ。その人経由の、いろいろと人の悪い話で笑う。買い物と資料集めに六本木へ出て、冷やしタヌキ食べる。私の中毒のひとつに、立食いソバ屋での冷やしタヌキがある。どう考えてもゲテな味の食べ物なのだが、夏じゅう、ソバ屋にこれがある期間は食べ続けずにはおれない。食べ終わるとああ、もっといいものを食えばよかった、と後悔するが、それでも食べてしまう。今年はあと何回、食べられるか。

 ABCで昭和60年代〜70年代の写真集を三冊、買い込む。かなり重い。帰りの車中で太宰治の短編を読む。『おしゃれ童子』『畜犬談』など、やはり文章が達人的にうまい。私の今の文体は実は『畜犬談』がベースになっているのである。帰宅、原稿、電話連絡数本。週刊ポストからFAX。『ギャラクシー・クエスト』、取り上げOKの許可。もっとも公開がまだ先なので、その前にまだ一本、書かねばならない。何にするか・・・・・・。

 仕事しようと思うが体動かず。今日、井上デザインに行くので、うちのサイトのリニューアル案くらい作っていこうと思うが頭も動かず。お他人さまのところをいろいろのぞく。眠田直さんのところの掲示板に、以前オタアミで話題にした、シンプソンズの日本旅行の話(天皇陛下を相撲で放り投げてしまう)のことを書き込んでいた人がいた。この話が大変面白かったので先輩に話したら、その先輩が異常に怒り出し、“そんなものは壊せ”という、わけのわからん表現をしたそうである。“壊せ”が、いかにも怒りのあまり言葉の選択を間違ったという感じが出ていてよろしい。

 ここ数日、体力は順調に回復傾向にあるのだが、気圧が変動甚だしく、動くことがタイギである。今日も雲ゆきがアヤシかったが、六本木から帰った途端、ポツポツと来だす。予定していた原稿執筆、全て投げ出してベッドに退避。ネコを抱いたまま、ひたすらオソレ入って固まっている。電話にも出ず。

 7時45分ころ、やっと起き出す。心臓がバクバクして、血液を送れないでいるような感覚である。アリナミンと救心感応丸気のんで家を出る。タクシー拾って、曙橋の新・井上デザイン事務所。K子がパソコンの使い方を平塚くんに習っている。睦月さんのHPにのっけるイラストの着色をしているのだが、遊んでいるようにしか見えない。髪を銀色(?)に染めた井上くんと、仕事の話いろいろ。荒木町通りの焼鳥屋に行く。前にも行ったところだが、まだフジテレビが曙橋にあったころの、タモリの色紙などが飾ってある。ハナモゲラ語の(すでにこのコトバを知らない若いのがいるんだよな)であった。生二杯のみにして、酒類はいかず。もちべい焼き(モチをベーコンで巻いて焼いたの)がおいしかった。11時まで、いろいろ話す。まさ吉の話とか、オタクな話とか。久しぶりに井上くんの奥さんに会う。

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