裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

木曜日

馬鹿ばなし豪

「いやー、『Gメン’75』の撮影待ちの間に盛り上がっちゃってさ」

※単行本打ち合わせ アニドウ上映会

朝8時起床。
朝食を自分で作る方が早起きになる。
料理しなきゃ、というのが起床のモチベーションに
なるのやも知れぬ。

オレンジジュース、ロールパン一個、ミニトマト、
焼きコンビーフ。洋がらしつけて。たまにはこういうのも美味。
それにブラックコーヒー。

電話あり。知人のことでちょっとショッキングな報告。
そりゃないよ、あまりに残酷すぎる。
しかも、彼の関係していた話の内容がシンクロニシティ。
人生というものを考えざるを得ず。
とはいえ、次の電話で、イベントのこと、対談のことなど
雑事多々降りかかってくる。
静かに思いを馳せることも出来ず。

S社向けの企画、資料届いたので企画書として正式にまとめて
メールする。名刺にあったメールアドレス、どこかに不備があったのか
送れず、仕方なくFAX。

昼はカレーライス。メール連絡いくつか。
3時、新宿へ出て打ち合わせ。
B社単行本の件、らんぶる。
編集お二人と話はずみ、Kさん、
「分厚い本になってもいいですよ」
とおっしゃってくださる。ただし今の私のスケジュールでそんな
分厚い本を書き下ろすと一年以上かかるので、まずメモを元に
語りおろし、それに手を加える方式でお願いする。
『博覧強記の仕事術』で、そのやり方の便利さ、やり安さの基本を
つかんだ気がしている。

打ち合わせ終り、帰宅。
日差しは強いが、表での打ち合わせ終っても汗にならない。
やはりもう秋か。今年は9月10月も暑さが続くということだが。

1時間ほど休む。
それからチラシ作りせっせと。
6時15分、家を出てなかの芸能小劇場まで。
アニドウ上映会。ぎじんさんがこっちの上映会のチラシを
つくってくれていた。どうつなげて依頼したか、上映技師を
やってもらうことになっているそうだ。

植木不等式さんと並んで。少し遅れてまるさん、離れたところに
++ungoodさん。さざんかQさんの姿は見えず。残念。
常連のNさんから、これもショッキングな話聞く。
やがてなみきたかしセンセイ壇上に立って挨拶。
『三大監督中野最大の決戦!』と称して、チャック・ジョーンズ、
ジョージ・パル、テックス・アヴェリーの三人の大物アニメ作家特集
ということであるが、30日に金田伊功追悼イベントがあるので
マイナーな監督のフィルムを探し出す暇がなかったから、というだけの
選定だという。

「とにかく、マニアが面白がるような作品を混ぜる余裕がなかった。
今日は唐沢俊一くん、来なくていいですから!」
とやられて苦笑。それでもさすがにメジャーは強い。ほぼ芸能小劇場
満席である。

確かにどの作品も既見のものばかりだが、しかしジョーンズのものは
ほとんど前回見たときから10年以上たっているし、
パルのパペトゥーンは若い頃は“つまらねえな”としか思えなかった
ものが最近はしみじみ楽しくなっているし、アヴェリーはもう、
何百回見てもちゃんと笑わせられてしまうのが見事。

中でもジョーンズの『Duck Amuck』(狂えるアヒル)は、
チャック・ジョーンズの評伝のタイトルが『Chuck Amuck』と、
このタイトルをもじったものであるくらいだが、アニメの中の
登場人物のアイデンティティを根本から問うた問題作(?)であり、
メタフィクション・アニメであり、エリスンの『おれには口がない、
それでもおれは叫ぶ』を思わせるような内容である。
http://www.youtube.com/watch?v=-Os_sDDDXro

上映会の後はいつもは金龍門なのだが、植木さんがさすがに飽きた
というので、そのすぐ先の中野B級酒場へ。
満席の状況だったがすぐ席を空けてもらい、無事入店。
鶏手羽のチューリップ焼き、もつ煮込み(ビーフシチューのような
作りでよし)、ゼリーフライ(オカラのコロッケ。小判形なので
“銭フライ”と呼ばれていたのがなまってゼリーフライになった)、
鉄鍋ギョーザなど。話題いろいろ、バカばなしばかり。
12時、お開きになってタクシーで帰宅。

*写真は中野で見かけたヘンなもの。

・不要入れ歯回収ボックス。入れ歯リサイクル運動の一環だそうだが、
他人の入れ歯を貰って使う人がいるか? と一瞬ギョッと。
よく読むと、入れ歯の金属部分などの再利用なんだそうだが……。

・「ネコにエサをやりにビルに侵入しないでください」
「少しは他人の迷惑も考えてください」
手書きポスターでならこの手のはよく見かけるがわざわざカンバンを
作ってまでかかげるとは……と思っていたら、真っ白な可愛い猫が。
よく見るとその奥にさらにそっくりな(親子か)猫がもう一匹。
うん、これだけ可愛ければ侵入してまでエサやりたがる奴、いるかも。

・『身の毛もよだつ妖怪お化け映画大会』
“妖怪お化け”ってナンだ?
“B級酒場”(そういう店名)に貼ってあったポスター。
店長が骨董市で見つけて買ってきたものだとか。
10年若ければ絶対買った骨董屋を訊いて他にないか問い合わせたろう。
20年若ければ店長に談判して譲ってくれとわめいたであろう。
今は……見たくなったらまた来よう、と思う。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa