裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

木曜日

手ブラ、手ブラ、手ブラ、手ブラ、ボールペン

「見える、見える(なにが?)」

※事務所整理

引っ越しのための大掃除の夢。
久しぶりにこういうリアルな夢を見たが、手伝いが何故か
爆笑問題の二人。本棚の脇にとりつけた小型空気清浄機を分解したら
よごれが尋常でないくらいゴソッと溜まっていてゾッとする。

6時半ころ目が覚め、瀧澤馬琴・他『兎園小説』など拾い読み。
南畝の『半日閑話』もそうだったが、こういう随筆書は、
内容が非常によくわかるものと、何のことやら要領を得ぬものとが
入り交じっており、暇つぶしには最適。

朝9時半起床、それもすぐには飛び起きること出来ずモソモソ。
体調不良というわけではないが絶好調でもない状態がずっと
続いている。

朝食、バナナジュースとニンジンスープ。ミルクティー。
雨もよいで寒々しい。
溶けてしまいそうな気分になる。

昼は弁当、もそもそと食う。
書き下ろし原稿書き一本。
ある程度やって、バスで渋谷。

引っ越しの整理に没頭。
とにかく、あと数日でこれだけの部屋数(5LDK)にあるものを
全部ヨソに移さねばならないのである。
棚の類を開けて、中を整理。
「こんなものがなんでこんなところに」
と言うようなものが出てきたり、見つからないと思っていたものが
出てきて、思わず“あった!”と叫んだり。
ビデオ類、再整理で、どんどん処分していく。
東急ハンズで年末に買った梱包用結束器が大活躍。
これを使うのが面白くて片づけしているようなもの。
50になってもオトコノコはこういう器具が好きなのである。

D社から原稿催促電話あり。
ううむ、今日は下北沢へ行く予定であったがこれは帰って
仕事せねばならぬな。
氷雨の中、オノとバス、相乗りで。
この路線を利用するのもあと十日間。
初台で、シニヨン(髪を引っ詰めてお団子にした髪形)の
小学生の女の子が傘を忘れて降りようとしたのにオノが声をかけた。
バレエをやっているのだろう。NHKに出演するのか、
オペラシティで公演でもあるのか、この路線バスではよく、
シニヨンの女の子を見かけたものである。

家へ持って行く本やビデオの詰まった重い袋を下げたまま、
サントクで買い物し、家で原稿書き。
面白いものにはなると思う。
10時過ぎ、夜食。
牛もつを水煮してニンニク味噌で食べるのと、
赤イカの明太和え。
赤イカはねっとりしていて意外に美味。
シソ入りのおむすびを噛る。

黒ホッピー飲みながら、DVDで『私を愛したスパイ』の
ロジャー・ムーアのオーディオ・コメンタリー。
声がかなりヨボヨボしていたので心配だったが、
俳優の名前などの記憶は確かで、監督のルイス・ギルバートの
コメンタリーよりずっと面白い。
ギルバート監督が“レスラーだろう”と片づけていた
サンドア役のミルトン・リードについても、面白いエピソードを
語っている。

ところでこの映画は、1977年12月の公開。私が上京したのが
1978年の3月で、上京する前の正月に、札幌の映画館で観た
最後の映画であった。
当時のガールフレンドたちと一回ずつ日を変えて観に行ったので、
計5〜6回は観た勘定になる(まあ、はるか昔のことで、
そのような世迷言を発するほどもう、自分も老耄しておりますので)。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa