裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

月曜日

ジャスラック・パーク

「恐竜遺伝子複製は著作権違反です!」

※風呂本佳苗氏ピアノリサイタル ゆめすけさん迎撃食事会

今朝の夢。
だだっ広く何もない阿佐ケ谷駅。
鼻紙を捨てるクズカゴが角々に三つも設置されているが、
たまたまかんだのが設置されていない角。古い伝言板が
いくつも廃棄されている中にこっそり捨てる。
小学校時代の友人だった藤田くんと話して、さあ出かけようかと
思ったところで財布がないのに気がつく。
あわててさっき鼻紙を捨てたところを見ると、財布はあり、
紙幣類は無事だったが、カードがクレジットもスイカも全部抜き取られて
おり、さあ、えらいことになった、これは面倒だと思い、
「ええ、いっそ目を覚ましてしまおう」
と思ってごろりと寝返りを打って目が覚めた。
それまでこれが夢だという感覚などまるでなかったのに、なぜ
そのような応急手段をいきなりとったか、まったく謎。

9時半、母の室で朝食。
ジュース、スープ、コーヒーと水気のものばかり。
この頃、朝は大抵食欲がないのでこれがありがたい。

年賀メールがマイミクの女性から。
彼女は私の古い知りあいの娘さんで、一時上京していたときに
母が世話していたこともあったのだが、その後いろいろあって田舎に帰り、
いま、ある著名ミュージシャンの地方ライブのプロデュースをしている
らしい、というような風の噂を聞いていた。
そしたらメールで、そのミュージシャンのマネージャーになった
と報せてきて、しかもそのミュージシャンさんは私の知っている人だった。
世界は狭い! と、いうか、知りあいの娘がもう、そんな仕事を
するようにまでなるのだから、私も歳をとった!

まだ正月気分抜けず。
それでも各編集部から連絡ぼつぼつ。
B社のSくんがトップバッターだった。
入浴し、昼飯は、と思うが何も用意なし。
冷凍庫にあったフタエゴ(馬肉)ひとかけを40分ほど茹でて
ダシをとり、8番ラーメンで食べる。馬ダシ麺、なかなかうまい。
ただ、茹でたフタエゴも食えないかと噛ったら猛烈に固くて、
すんでのところで差し歯がグラつくところだった。

mixiの足あと表示機能がいつの間にかデザイン変更になり、
しかもヘンな機能がついた。自分が相手のところにつけた足跡を、
“月10件に限り”消去することができるという。
ストーカー用機能か、と最初は気味悪かったが、まあ、よく考えて
見れば、ニュースサイトなどから飛んだ日記が勧誘サイトだったとか、
あるいはヤバい精神状態の人のところだったとき用の、エマージェンシー
機能なのだろう。そういう用途なら、なるほど確かに必要かも。
……とはいえ、一番使われるのはストーカー用だろうが。

『吸血鬼ドラキュラ』のレコード聞いたりする。
書庫整理で出てきたLP(写真)。
1972年のもので、4チャンネルステレオの普及宣伝のために
制作されたらしいRM方式ドラマの見本版。
きちんと発売されたのかな?
どこかの古書市で買ったものと思われるが記憶になし。
脚本は吉岡オサム、演出はコロムビアの三浦芳之、音楽は神津
“メイコの旦那”善行。
出演はドラキュラが小松方正、ヘルシング教授が戸浦六宏、
ルーシーが小山明子、ルーシーの婚約者テイラー(オリジナルの
キャラ)が渡辺文雄と、大島渚の創造社のメンバーが出演。
創造社は72年に解散しているから、その最晩期の仕事になる。
小松方正のドラキュラは品にいささか欠けるが迫力は十二分、
戸浦六宏のヘルシングはこれはまさにハマり役。渡辺文雄の声が
若いなあ。彼だけ“ドラキュラ”を必ず“ドラキュラー“って
延ばして発音している。昔の日本人にはよくいたんです、
キャタピラーとかコカコーラーとか、ケツを延ばさないと発音
できない人が。落語家の古今亭志ん五も、笑点に出ていた頃、
“落語界の「ドラキラー」”と自称していた。
ドラキュラ配下のオオカミにも十字架が有効、というのが他の
ドラキュラものにない設定ではあった。

資料読書進めたりしているうち、もう4時半。急いで出かける
用意をし、初台のオペラシティ、リサイタルホール。
風呂本佳苗(芦辺拓氏夫人)さんのピアノリサイタル。
東京創元社のFさんとまた一緒になる。
「芦辺さんとはお会いになりました?」
「いつもは受付のところに立ってるんですが今日はいませんでしたね」
「いま、ウチの原稿の〆切が火を噴いているところなので姿を
現さないのかも」
などという会話。

佳苗さん、3日、4日と兵庫、名古屋でリサイタルを行い、
今日が最終日で東京という強行軍なるも堂々としたもの。
『夜を聴く』というテーマで、ベートーヴェンの『月光』を
はじめ、ドビュッシー『月の光が降り注ぐテラス』、バルトークの
やたらリアルな再現音楽『夜の音楽』、山田耕筰の『月光に棹さして』
など。予定になかったリストやフォーレの曲も演奏したのは
儲けた気がしたが、予定が変更になってラヴェルの『夜のガスパール』
“オンディーヌ”のみになったのはやや、残念(まあ、新年早々“絞首台”は
ちょっと、という配慮だったんだろうが)。
風呂本さんの演奏は弾き終りのところに特長あり。
途中のトークで、知りあいが英国で体験した怪談ぽい話をしていたのが
面白かった。

休息時間に中野晴行氏と話す。風邪をひいているらしいので、
私もゆうべまで大変だった、と話すと、どうもコミケでこれは蔓延
したコミケ風邪らしい、ということ。
終って、佳苗さんに挨拶。“怪談苦手だとおっしゃっていながら、
ご自分で話されてるじゃないですか”とツッコんでおく。

新宿までタクシー、しばらくぶらぶらして、紀伊國屋書店前で
ゆめすけさん待ち合わせ。まちゅくみさんも参加してくれて、
三人で『上海小吃』。ママさん相変わらず。
香肉鍋を注文。まちゅくみさん、ひえー、わんこ飼ってるのに〜と
言いながら食べている。
はれつ氏も参加、台湾で見た『タイガー&ドラゴン』の話題。
話題いろいろ、話つきず、楽しかったが、病み上がりで、
酒をここ数日ロクに飲んでいなかったせいか、紹興酒が回ってしまい
中盤からテンションがヘンになり、はれつ氏なみの大声になる。
いやー。外で飲むときは注意が必要。早々とタクシーで帰った
つもりだったが、帰ってからのmixi書き込みが1時42分で
あったところをみると、もう午前様であったか。時間すらよく
わからんでいた。反省々々。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa