裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

火曜日

幻の大怪獣阿含

星祭りの護摩の中にアロンに似た姿が!(でも腹が違う)

※帰京 『週末メランコリー』観劇

朝9時起床。
窓を開けたら、窓外の名古屋市街、霏々たる雪景色。
驚く。これは、予定通り三時ころまで名古屋見物していたら
新幹線の運行にどういう影響あるかと思い、早めに帰京する
ことにする。

風邪なのか、食欲なし。
朝食(パンと珈琲の無料サービス)は摂らぬことにする。
入浴も、さほど汗もかいてないし、東京に帰ってからにする。
もともと、こういうホテルの小さい風呂は苦手である。

仕度をすませ、9時半に駅に。
9時47分の新幹線に変更、急いでおみやげを買う。
赤福と守口漬を買っていたら、おばさん二人組に
「テレビでいつも見てます、頑張ってくださいね」
と言われる。髭も剃ってなかったので少々バツが悪い。

新幹線、発車直後から天候回復、窓外見事な日本晴れ。
富士山がまことにくっきりと美しく映えていた。
食欲なく、サンドイッチ買ったが一切れを口に押し込んだのみ。
ずっと東京まで読書しながら。

午前中にもう自宅に帰りついていたのには自分でも驚く。
名古屋って近いもの。
K子が、ガスレンジが調子おかしいからリンナイを呼んで
というが、見たらバーナーヘッドのキャップを掃除のときに
裏返しにしたまま火をつけているのだった。

SF関係イラストレーターの訃報連続して。
斎藤和明画伯、1月5日死去。交通事故。
中学1年生の頃、むさぼるように読んだ筒井康隆『SF教室』の
表紙、さらには初期ハヤカワSF文庫のスターウルフシリーズ、
時に忘れられた世界シリーズ、宇宙大作戦シリーズなどの表紙で、
いかにもSF々々したバタ臭いイメージのイラストを描いて
くれた人だった。私は“SFはバタ臭くなきゃダメだ”という
意見の持ち主で、日本SFはそのバタ臭いものを醤油臭い日本風土に
無理して置き換えた、そのズレを楽しむもの、という、いささかの
(いや、かなりの)偏見を持っている。その、“SFとはバタ臭いもの”
というイメージを形成した、まぎれもないお一人が斎藤画伯だった。
豊田有恒のヤマトタケルシリーズの、第一巻『火の国のヤマトタケル』
の表紙がこのバタ臭調だったが、第二巻『出雲のヤマトタケル』で
絵柄がまったく変わってしまったのは(デザインはやはりバタ
臭かったが)、やはり日本神話にバタ臭い絵は、との意見が
あったのだろうか。
謹んでご冥福をお祈りする。

さらに私の幼少時の少年誌の特集記事イラストレーターとして、
石原豪人、南村喬之、梶田達二などと共に忘れられない名前で
あった中西立太画伯11日死去、74歳。
何たる偶然か、ただいま資料として中西画伯の歴史画を注文している
最中だった。訃報に接し愕然とする。
最初にその名前を記憶したのは『ウルトラQ』のソノシートの
挿し絵であった。設定書などにかなり忠実にイラストを起す
南村画伯などに比べ、中西画伯の絵は怪獣たちを大胆に自分なりに
アレンジして描くことが多く、その分、子供の目にいささか
キッチュに見えたことは事実だ。しかし、その分、怪獣たちは
自在の動きを見せ、原作のテレビや映画を離れて独自の息衝きを
見せていた。そんな自在さを誇っていた画伯が、やがて資料的
正確さと芸術性を兼ね備えた軍事画、歴史画の分野でその後確固たる
地位を築かれたのは興味深い。まったくこの当時の画家たちは
緩急自在であった。
全く、今年に入っても訃報ラッシュ止まず。合掌。

風邪薬のんでベッドで『半日閑話』等読みながら休む。
朝日新聞から記事掲載予定について電話一本。
7時半開演のアーバンフォレストの舞台『週末メランコリー』を
観に行く予定なのだが、麻衣夢から、“千秋楽なのでかなり混むみたい
ですよ”と連絡あったので、早めに出かけることにする。
大塚の萬劇場、前に行ったのは何だったか。

麻衣夢と待ち合わせ、さらに会場に入ると親川がいて、
後からオノとマドもやってくる。
麻衣夢から、『トーキング・ウィズ・松尾堂』で彼女の曲を
流したお礼を言われる。11日の放送、イベントで聞き損ね。
もっとも、私は自分の出演した番組をほとんど見たり聞いたり
したことがない。

最前列で鑑賞。前説は作・演出の伊丹ドンキー氏自らがやっていた。
1月に8月の夏祭りの芝居をやる、というのはなかなか奮っている。
ドラマのスケールとしては小さいし、エピソードもとりたてて
飛び抜けたアイデアがあるわけではないのだが、アーバンフォレスト
のおじさん三人トリオ、魚建/渡辺シヴヲ/そのべ博之の
円熟した演技がたっぷり楽しめ、泣かせて笑わせる。
正月に観る芝居はこうじゃなくちゃ。
松ちゃんの芝居は久しぶりだったが相変わらずだったし、
シブヲさんの扮装は……愕然。
2月までに生えるのかなあ?

若手女優さんたち大活躍だったが、以前『NO BODY NO PARTY』で
売れっ子放送作家の役で出ていた冨田裕美子さんの名前が確認できた
のがうれしかった。本業は声優さんだそうだが、ごく普通のお嬢さんぽい
顔立ちで、何か気になるのである。
終ってシブさんの頭をみんなでぴちゃぴちゃ叩き、
記念撮影(常連の渡辺さんにお願いした)。
それから、マドお勧めの居酒屋『七味あっぱれ屋』にて、飲み。
料理うまく、焼酎類も豊富なれど、ホッピーあったので
そればかり。ワイワイと話はずむ。
途中でシヴさん、松ちゃんが打ち上げから抜け出してきてくれた。
12時、店を出て、最終ギリギリで新宿へ。
そこからタクシー。
帰宅する前に自販機でお茶とドクターペッパーを買う。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa