裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

金曜日

あの時君はアカだった

わかってほしい 僕の思想を
小さな左を苦しめた
保守をうらまずにいておくれ

※『ヴァーチャルウォーカー』コラム・キャプション 楽工社ゲラ 『ホワイトソング』観劇

エロ夢二ツと、宴会の夢。
一年に一度、幽冥界から人を招いて行われる町田の
(なんで町田なんだかわからず)一軒家の庭を使ってのパーティ。
今年のゲストは本多猪四郎監督。
携帯で一緒に写真を撮らせてもらうよう頼むが、
携帯写真というものを知らない(亡くなった時代にはまだ
携帯電話がなかった)監督に説明するのに苦労する。

朝9時半起床。
ミルクティーと、ストロベリータルト。
元・中日ドラゴンズ江藤慎一投手死去の報。
山本正之の『少年の夢は生きている』が日本のそこかしこで
合唱されていることだろう。
山本正之の江藤慎一、河崎実の長嶋茂雄など、
幼い頃あこがれの野球選手に頭を撫でられたことを生きていく
はげみにする、という年代はどこまでを下限とするのか。
今でもそういう純粋な若者っているのか。
私は野球選手に頭を撫でられた経験を持たない。
力士なら、家のすぐ側に巡業旅館があったのでよく撫でられた。
しかしあまりに幼くて、写真は残っていても記憶にない。
有名人に頭を撫でられた記憶は、8歳のとき、家の隣の隣にあった
自治会館ビルで行われた『ウルトラマン』放映開始記念大会
(放映に先駆けて『侵略者を撃て』と『科特対出撃せよ』の二本を
上映した)で、会場を回っていたM1号のぬいぐるみに撫でられた
記憶である。あれだって人造ではあるが有名“人”には違いない。

企画関係メールくる。
スタッフの個人的問題でアリャアリャの内容。
もひとつ、こっちは不労所得に関する原稿。
企画も何かあったら、と求められる。

知りあいが緊急入院。
驚いて、奥さんに問合せた。
病名がわかって、ちょっと安心。
仕事のしすぎと酒だろうなあ。
人のことは言えないが、ソッチ系の病のケはないのでちょっと
安心している。油断に通じるかもしれないが。

角川書店『ヴァーチャルワールドウォーカー』原稿と、
図版キャプション。〆切を二日延ばしているので
急いで書く。とはいえ原稿内容はAクラスのもの(当社比)。
キャプションの方は手をつけるまでは途方にくれていたものだが
つけてしまえばさほど面倒くさいものでもなし。
そんなもんだ。

昼は冷凍庫にあったカニ爪を使ってカニスパゲッティ。
美味だったが、私は子ども時代からパスタ食いの不得手な子で、
具とパスタを一緒に食べることが出来ない。
ミートソースでもナポリタンでも、パスタを食べ終わったあと、
ソースや具が皿に大量に残り、最後にその具やソースだけを
さらって食べるハメになる。他の人たちが、うまく具とパスタを
同じく食べ終わるのを見て、いまだにどうやればいいのか、
不思議で仕方がない。

2時半、タクシーで事務所。
急に今日は温かくなったが、争われぬもので、
税務署角の二・二六事件碑のところの梅がほころんでいた。
オノに例の企画のスタッフ降板の件で、代理を依頼。
3時、どどいつ文庫さん来宅。
ちんちん先生最近顔出しませんねえ、と言ったら、
奈良の自宅で犬を飼ってしまったので、なかなか
上京できない状態になってしまったらしい。

どどいつさん帰ったあと、すぐ楽工社と学会年鑑のゲラがFAX
されていたのでゲラチェック。一ヶ所のみの訂正だったのでFAXで
返さずメールで。もともと、こちらに送られた筈の
ゲラが何故か届いていない状態だったためなのだが、メール終わって
オノの事務机を見たら、いま、そのゲラ原稿が届いたところ。
たまたま届いたときにこっちが事務所を留守にしていたためらしい。

朝日新聞原稿を書き始めるが、半分の時点で時間切れ。
バスで笹塚まで。
案外時間がかかるものなのだな。
車中、オノと事務所引っ越しの件の話。
某さんから呈示された場所・物件にオノも大乗り気。
今とは生活圏が全く変わるというのも気分転換になって
いいかと思う。

笹塚ファクトリーでROCK MUSICAL PROJECT #2
『ホワイトソング』鑑賞。橋沢進一客演の舞台。
出演者のほとんどが20代。歌い、踊るロックミュージカル。
ハッシーがキャスト中たった一人の40代。
しかも舞台内容もあぁルナの人間にはかなりアウェイである。
お父さん大丈夫かしら、的な感覚で観にいく。
会場には横森&永野コンビとおかおゆきさんがいた。
他に、ロックミュージカル大丈夫? 的なおばさま方の姿が
目立ったが(和服というおばさままでいた)これは出演者の
家族親族だろう。

内容は、まだ5日まで公演が続く舞台なので詳しくは書かない。
後で補筆する。とはいえ、若さあふれる舞台であった。
若さのうちには、エネルギー全開というパワフルでアグレッシブな
部分と、そのストレートすぎる情念が脳内をカユくする部分とが
あるが、後者の部分で、だいぶ座席に腰掛けながら、
尻のムズかゆくなる気分を味わった。
訴えるテーマがあるのはいいが、それをこうストレートに
出したら芝居を作っていく意味が薄れてしまわないか。
そこをあくまでストレートに訴えるのが若さなんだろうが。

ハッシーはクイズ番組司会者トリオのリーダー役。ハッシーと
同棲している女性役の子は劇団スーパーエキセントリックシアターの
団員だそうで、やはり彼らの演技が一番光る。
他のキャストの中でも、これはいいな、と思ったのが
やはりSETの劇団員だった。
ハッシーの滑舌はさすがだが、動きがいかにもキツそうで、
ちょっと本番中に足を痛めたらしい。

終わって、おかおさんがハッシーに
「よっ、東海林太郎!」
などとツッコンでいた。歌のシーンで、ハッシーは舞台中央、
マイクの前なので、直立不動になってしまっているんである。
横森さんがいろいろ話したいこと山積のようだったが、
仕事があるそうで別れ、オノ&マドと、京王線で隣駅の
幡ヶ谷。チャイナハウス。
金曜日で満杯、電話予約しておいてよかった。
とはいえ、廊下にテーブルを出す予備席。
ハッシーを待ちながら炙鶏、豆苗炒めなど。
まもなくハッシー来てお疲れさま乾杯。
いろいろ今回の舞台の話など。
IKKAN(怪人舎)のパーティに誘われている話とか。
オノとハッシーのやり取りがいつもながら漫才みたい。
料理、さらに冬瓜と干し貝柱の蒸し物、キヌガサタケの干しアワビ
スープ煮等々。
仕事疲れで殺気立っていたというマドが狂気していた。

白酒(パイチュウ)二種類、出されて、選択してくれと言われる。
これまで蟻酒に使っていた白酒が生産中止になったらしく、
新しいものに替えなくてはならないという。
試し飲みして、以前の蟻酒のベースにより近い方を推薦しておく。
勘定、だいぶまけてくれた。ありがたし。
タクシー相乗りで帰宅。
ヘトヘトだった。ロックあたりか。

某社、いろいろ事情あって支払いが遅れていた印税の振り込みが
決まる。これがまた延びたりしていたらK子に殺されるところ
だった(一歩手前のキーッとなったメモが机上にあった)ので
ホッと一息。

※写真は渋谷の梅と、中野通りで前を通るたび気になる雀荘+理髪店。
それと、蟻酒ベース候補。私が選んだのは、赤!(@『ホワイトソング』)

Copyright 2006 Shunichi Karasawa