裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

3日

火曜日

ダメだ、ナンマイダ

亀田×ランダエダ戦が延期になって収入のあてがなくなったトトカルチョの賭け屋、自殺。

朝7時起床、入浴など。9時朝食、濃いアスパラガス・スープにオレンジ一顆、ブドー数粒。日記つけ。

臓器売買事件、昨日夜のニュース見て初めてわかって驚いたのだが私は最初、新聞をナナメ読みして、この容疑者が臓器提供者の女性に金を貸していて、彼女はそのカタに腎臓を売れと言われた、と理解していた。ところが実のところは、臓器提供者の女性の方が容疑者に金を貸していた、と。で、借金に上乗せして返すから腎臓を提供してくれ、と要求された、と。どう考えても虫のいい話で、こういう話にナンでこの女性がのったのだか、さっぱりわからない。よほど自分の体がどうでもいいと思う女性なのか。いくら二つあるからといったって、何ひとつくれてやる義理などないだろうに。記事によると、この容疑者はこれまでも借金返済の女性からの要求に全く応じていなかったとか。そんな奴をなんで信用して腎臓までくれてやったんだか、まったく理解の外。この容疑者も容疑者で、どうしてもっと安くて手に入れやすいインドやフィリピンのものにしなかったのか。牛肉と同じで国産にこだわったのか。移植した医者も、ここまでアヤシゲな人間関係くらい、なんで見破れなかったか。この事件の特徴をあげると、被害者加害者関係者、みんなそろってばかもばかりである、ということではないか。

『悪魔くん』『仮面ライダー』等を演出した東映テレビの演出家、折田至監督9月27日死去、72歳。潮健児の告別式で流された、『思い出の潮健児』のビデオを編集してくれたのが折田監督自身で、ご自分でビデオカメラをかついで(当時のハンディビデオカメラは大きかったのだ)葬儀の模様も撮影してくれた。葬儀を仕切りながら、あれ、焼香の順番なのに折田さんがいない、と思ったら夢中でカメラを回していたというようなことがあった。

このエピソードでもわかるとおり徹底した現場好きな人で、後にプロデューサーに昇進し、『宇宙刑事ギャバン』を皮切りとした宇宙刑事(メタルヒーローシリーズ)の路線を定着させた大功績があるが、プロデューサーを務めながら、『世界忍者ジライヤ』などを自分で演出していた。
「折田さんにもう少し欲があれば、平山亨〜折田至という撮影現場出のプロデューサーの路線が継承されて、××のような事務職あがりのプロデューサーにテレビ製作部門を壟断されなくてもすんだのに」
というセリフを東映の人たちからよく耳にして、私もそう思ったものであるが、しかし、この、エラくなっても現場に自ら立つという“生涯一演出家”的なところが良くも悪くも折田氏の折田氏らしいところだったのだろう。

浮世離れしたUFO研究などに没頭したところも、社内での栄達などというところを離れた趣味人としての面目躍如である。潮健児追悼ビデオの末尾に、折田監督自身によるテロップが流れる。
「潮ちゃんは生きています。スクリーンの中に永遠に!」
その言葉は、ご自身にもぴったりあてはまるだろう。私たちを“作ってくれた”テレビの画面の中に、折田至は永遠に生きている。

12時に恵比寿、テアトル・エコー前集合。よく晴れて気持ちがいい。I井くん、オノ、S川くん。熊倉一雄さんに9時台“ポケット”のオープニング・コールとジングルを録音してもらうのである。8階の第二スタジオで前回と同じく収録。イニャワラさん(今日は欠席)の書いたものに、私の方でつけ加えたもの(オノが口走ったアイデアが面白かったので採用した)を。
「おもしろいね〜え」
と言いながら吹き込んでくださる。

吹き込み最中にS川くんが10月からの新番組表を見せてくれる。証券会社が提供になってくれている。ブジオのときは×教×聞だったので、ちょっとうれしい(内緒)。以前のブジオの時間帯にはポッドキャストだけで構成した番組が始まるが、コンセプトとしては面白い。しかし、まったく内容が同じものがポッドキャストで聞けるのでは本放送を聞く意味がなくなるのではないか、という疑念もわく。

1時間半ほどで収録終わり。I井、S原両君もトンボ返り。私たち東文研組はまだ昼飯をすませていなかったので、オノが“激オシャレなレストラン”を見つけました、と報告した“TOOTH・TOOTH・TOKYO”に入ってランチ。この店は神戸資本らしい。吹き抜けの空間を地下に降りていく、スカした作り。かなり混み合っていた。ランチの明太子スパをとる。コショウが効いていてまあまあの味。他にパンと飲み物はフリー。食べながら、さまざまな人たちの話。

そこから渋谷仕事場に。連絡いくつか。書き下ろし本と某企画の、双方の大事な資料になる本をバッグと共に無くし、正直なところ途方にくれていたのだが、ネット古書店をいろいろあさったら、うれしや、一冊見つかった。大至急注文してホッとする。

気圧乱れて仕事にならず。一旦事務所を出て、マッサージ。揉まれながら、息苦しくなって困った。1時間揉まれて、事務所に戻り、原稿資料を持ってまた出る。東急本店地下で買い物。閉店10分前だったので、いろんなものが安くなっている。ゴボウサラダなど。

帰宅して、原稿。『Memo男の部屋』。冬支度というお題だが、普通に冬支度のことを書いては面白からず。ちょっと考えてカラメ手から書く。かなりのカラメ手だが。9時半までかかって5枚。
「今回はちょっとエグいかな?」
と書き添えてメール。

夕食、昼に食い損ねた弁当をつまみ代わりにして黒ビール、日本酒。茄子バタ炒め、生明太子、牛のツクダニ、ヤマゴボウ味噌漬けなど、酒の肴にいいものばかり。ご飯にはふりかけをたっぷりかけて。
DVDで『トラ! トラ! トラ!』を見る。アメリカ上映バージョン。渥美清の登場シーンがあちら版にはない、というのは知っていたが、山本五十六が天皇に拝謁する(出てくるのは玉座だけだが)シーンもないのには驚いた。芥川比呂志の木戸幸一も当然、出てこない。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa