裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

月曜日

シースルー覚悟で進むべし

あそこの見ゆるそれまでは透けよや透けよモロ見えに。

朝7時半起床、入浴、洗顔その他如例。9時朝食、アスパラガスの濃いスープ、中国産オレンジ(甘く美味だが種やたら多し)、緑色のブドー。

一昨日の日記つけ、なかなか大作業となる。米澤さん死去について関係者の方々からメール。あと電話取材(幸福の科学アニメについて)申し込みあり。

マヒナスターズの三原さと志死去、71歳。何を隠そう私の幼少時の得意曲がマヒナスターズの『お座敷小唄』だった。スチールギターを使ったハワイアン和風という奇妙な歌で、歌詞は古くさくかつ辛気臭い歌なのに歌い方が明るくノンキで、一度聞いて全部覚えてしまった。

歌詞の“♪京都先斗町に降る雪も……”でポント町という奇妙な町名を知り、かつ、それが英語の“ポイント”(オランダ語で“ポント”)から来ているというような雑学もどこかで知って面白いと思ったことから、私の雑学好きは始まっているのかもしれない。“雪に変わりはないじゃなし”が文法的に間違っている、と騒がれたのも、私が国文法なんてものを耳にした最初じゃなかったか。死亡記事で初めて知ったが息子がコーネリアスの小山田圭吾だそうである。わかるような、意外なような。

弁当は焼きタラコと卵焼きの総菜。能登で貰ったふりかけをご飯にかけてみるが、濃厚なのりたまという感じでうまい。

2時、家を出て事務所。コミケ申し込み書の受け取り通知あり。主が亡くなってもシステムはきちんと稼働している。ちょっとしみじみ。
アマゾンで注文したCD類を片端から聞く。9時台ラジオに流す曲の選定である。

オノが“無理なスケジュールですいません”と言ったがなにしろ打ち合わせ、インタビューのたぐいがつまっている。3時から時間割で楽工社の単行本打ち合わせ、4時から同じく時間割でテレビマンユニオンと『週刊お宝テレビ』打ち合わせ、5時から7時の間でサイゾーから前記幸福の科学アニメへの意見電話取材。

楽工社Hさんとの打ち合わせ、いつも時間が大変長引くので1時間しかとっていないのはちょっと心配だが、まあ仕方あるまいと時間割に出かける。案の定、長くなる。『日本霊能史講座』の感想からはじまって、海外アニメ入門本の構成内容につき、考えていたものを叩き台として呈示。これまでの必見名作アニメと言われていたものの多くを排して、海外アニメに興味を持っている初心者が“見て面白く”その世界のとりこになるような作品を挙げて解説を加えるようなものにしたい。百目鬼恭三郎の『読書人、読むべし』を参考形にしたいと思う。

眠田さん担当のパーツとの兼ね合いや口述方法とその時期なども話し、あっという間に時間がたつ。やはり一時間では少ないなあ、と思っていたところに携帯で電話。テレビマンユニオンからで、
「打ち合わせの時間を1時間ほど遅らせてもらえないか」
との件。何たる偶然、というか、ちょうど霊能者の本のことを話していたこともあり、私の霊能が働いたか、と驚く。まあそのおかげでその他、懸案の企画の再始動のことや、新たにこちらから提案した企画のことなど、いろいろと話すことが出来、2時間半があっという間。5時半にバトンタッチで、テレビマンユニオンさんと打ち合わせ。今回のお宝テレビ、お題は『謎の転校生』。以前出ていたムックを資料として渡されてパラパラと読む。うーん、『タイム・トラベラー』のケン・ソゴルだった木下清、いま、トラックの運転手をやっているのか。
「俳優に向いてなかった」
と本人は言っているので、今の方が気楽なのかもしれないが細面でエリート顔のイメージとトラック運転手という職業がすんなり結びつかない。

終って事務所に帰る。さすがにバテた。オノから連絡、『大人の時間割』、私の第一回放送がナイターで地方放送のみ、となるようだと言われていたが、十中八九それは無くなったとのこと。やはり第一回からそれでは気分がそがれる。よかったよかったと胸をなでおろす。

7時、サイゾーから電話、20分ほど語る。語りながら池波正太郎『剣客商売包丁ごよみ』をパラパラ読んで、“あさりむき身と葱の煮物”がうまそうだったので、終ったあと、事務所を出、東急本店地下であさりのむき身と葱を買う。

自宅で原稿。フィギュア王七枚、3時間弱かかって書き上げる。ネタ本は昭和十年発行の吉井武平『大東京猟奇』。10時過ぎ、あさりと葱、それに豆腐も入れて料理を作り、酒にする。DVDで小林正樹『怪談』の、後半二話。『耳なし芳一のはなし』の寺のセットの巨大さに驚く。丹波哲郎が芳一を迎えに来る甲冑の武者の役で出ているが若くて細い。“奇跡的に発見された”オリジナルのマスターから起した映像だそうで、私も見た記憶のないシーンがいくつも入っているが、それにしても、パンフにキャスト・スタッフ表などが一切ないのはひどい。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa