裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

土曜日

ヒエラルキまんまん

ええい、オットセイの分際で主人に向かって。

朝6時ころ、なんとも嫌な臭気で目を覚ます。湿気で、台所の生ゴミが腐って臭っているのであった。ビニール袋の口をギュッと閉じてまた寝るが寝つかれず、変な夢ばかり見る。7時半、仕方なく起床。ゆうべの就寝時間(3時)にしては早起き。自慢すべきか、今日は一日眠いぞと暗澹たるべきか。

入浴、『コムテツ』公演時に差し入れで貰った汗止め用のシャワローションを用いてみる。9時朝食、青汁、スイカ、ニンジンのスープ。トイレ読書はちくま新書『子供が減って何が悪いか!』(赤川学)。前にも書いたが“トンデモ少子化論”“トンデモ学説”など、トンデモという用語を何の説明もなく使用して、著者も読者も不都合と思っていないところが興味深い。ネットで調べると、この本を取り上げた学術報告書の中でも、
「(赤川は)これらのデータをトンデモとして切り捨て」
などと書かれている。

風邪、まだノドのいがらっぽさがとれない。何度も咳払い、タンを切る。咳や鼻水に症状が至っていないだけいいか。風邪グスリのんだせいで頭がボーッとしている。細かいこと、考えられず。空模様もどうもスッキリせぬ。

日記つけ、12時に弁当使って、だらだら。4時まで『ポケット』の挨拶文書いたくらいで、大きな原稿に手をつけられず。明日の名古屋で会う予定の人たちとメールやりとり。

3時、家を出て渋谷。仕事場でファックスなどチェック。Yくんの奥さんからハガキが届いている。筆まめだなあ。半田健人事務所からは昭和歌謡ライブのお知らせ。こういうことまでやっているのかと、その趣味人ぶりにちょっと驚く。

4時、時間割。『社会派くんがゆく!』対談。頭のボーッとしているのを振り払ってしゃべる。途中で入ってきた男女三人が、いやに早く出ていったのは私たちの(大声の)話の内容が耳に入ったからではないか、と思って気になって仕方なかった。

終って、眠気さしてたまらなくなり、家でしばらく横になる。今日は7時から大塚ジェルスホールでカウンタックーズ・ライブなのだが、ちょっと出るのが遅れて、二十分ほど遅刻。入ると、遅れてきたのが惜しいほどの満場大爆笑。『ドラキュラとせむし男』『床屋』『パンツマン』など、疲れるんじゃないかというくらい、客が爆笑につぐ爆笑。観客を舞台上にあげる『かぐや姫』などのネタが多いのも特徴。橋沢、佐々木のコンビは特に客いじりがうまい。『フェロえもん』で久保くんが出てきたときはオノが笑いすぎて涙を流していた。あと、『チャコの海岸物語』みたいなサーファーもの、橋沢座長自らが2人のサーファーに恋心を寄せられるヒロイン(!)優香を演じてすさまじいインパクト(カツラではなく、段ボールを黒く塗って切ったのを頭の両側にビニールテープで貼っている)。

ここのコントの持つ“軽み”は凄いと思う。あまりの軽さゆえに、観たあと、見事に何にも残らない。劇団のコントというのはお笑いのコントに比べどこか泥臭いというか、何か“意味”を持たせてしまうものだが、このカウンタックーズは、そしてこれまで観た中でも特に今日のは、最高クラスに“純粋な笑い”で、ホントに何も残らない。商品化が難しいけれど、これはどうにかこのまんま、産地直送で地方のお客に伝えたいものだ。

終って会場のみんなに挨拶。劇団員のみんな、白夜書房のTさん、パンパンもTさんとのバンドで来ていたがひさしぶり。ラジオライフのTくんもほぼ日参しているよう。でんたるさんも二回目。麻衣夢ちゃんや松っちゃん、ダンサーのみんなも。会場ほぼ満席、やはり打ち上げはこないだと同じく一休。

橋沢さん、テンションが高くてよほど今日のコントが楽しかったか、笑ってばかりいたが、疲れがたまったか寝てしまった。菊ちゃんが途中から打ち上げ参加。和服姿。バーのママみたい。そう言えば麻衣夢ちゃんも浴衣姿だった。そういう季節なのだな。白夜のTくん、ラジオライフのTくんという、両Tくんとラジオばなし。2人とも『金曜ブジオ!』『ポケット』を絶賛してくれている。

モヤシくんに、せっっかく“あぁルナ20周年記念”なんだから冬コミに記念同人誌出したらどう? と話す。
「えー? ブースに入っちゃうと広場(コスプレ広場)とか行けないしなー」
「売り子は若手にさせればいいんだよ。出せばサークルチケットで入場できるよ」
「やりましょう!」
となる。その場にいたマド、オノ、ラジライTくんたちと大いに盛り上がり、
・内容構成・原稿集め/モヤシくん、
・ページ構成・総監督/マド
・台割り・編集/Tくん
・総合監修/唐沢
というスタッフが決まる。マドとTくんはもうすでに手帳を取り出して、定価がいくらいくらなら総ページ数これこれ、部数はウン百部では少ないですかね、などと打ち合わせしている。プロがこれだけ関与するってのは凄いものが出来そうだ。

11時ころ、私とマド、オノ、Tくんと四人、出て、腹がまだ十分でなかったので、“寿司食いに行こう”と誘う。
「確かこのへんに『築地すし好』があったように思ったんだけど」
「あ、そうですね、ありましたよ、ワタシも見た記憶あります」
とオノと話すが、駅の近辺を歩くが、それらしい店無し。交番にまで寄って訊いたが近くにはないという。あの、2人で見たすし好は何であったのか。寿司が食いたいという食欲が見せた幻だったか?

仕方ない、焼き肉でもいいか、とウロウロするうちに一軒、小さな寿司屋を見つけたので飛び込む。爺さんが1人でやっている店で、どうかなと思ったがネタはよく、ちょいとアタリ。タイ、コハダ、とろ鉄火、ウニなどいろいろ。マドはアジが気に入ってお代わりしていた。日本酒お燗して。暑い日だったが、ビールやホッピーばかり飲んで胃が冷えていたせいか、熱燗が美味い。一合徳利を5〜6本ばかり、主に私とオノで空にした。2時半、タクシーで帰宅。明日は名古屋。どうせまた飲む。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa