裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

月曜日

ダルメシアン、ダルメシアン、にらめっこしましょ

101匹相手だとにらめっこもな。

朝7時、コムテツの稽古をしている夢。なんたる単純なことか。しかし、実際の芝居にはまったくない、しかも私のものでないセリフを稽古していた。

思いがけない人からメール来る。若いが抜群の才能の持ち主で、しかも真面目な努力家で、絶対これから伸びると思っていたのだが、不幸な人間関係の事件で業界から消えて、ずっと音信不通になっていた。私のそれからも日記は読んでいたそうで、ひさしぶりにメールをくれた。幸せそうで、しかも考え方が本当に大人になっていて、朝からうれし涙を流した。すぐ返事を書く。

9時朝食、青豆スープにアップルマンゴー。南方系の果物というのは、今はもう慣れてしまったが日本人の食文化とは本当に対極にあるような存在である。

1時くらいまで家で原稿、のはずが、某週刊誌から電話。原稿はまだかという。何をいつどのようなシチュエーションで依頼されたかまったく覚えていない。最近は原稿依頼は全てマネージャー回しにしているのだが、そっちにも行っていないようだ。小パニックを起こし、何も手につかなくなる。

とりあえず、何か手がかりはないかと渋谷へ。仕事場の手紙類、ファックス類をひっかき回すが何も手がかりなし。オノも覚えがないという。仕方ない。あきらめて、さらに追っかけで催促来たときのことにしよう。この探しもので、無くしたと思って憂鬱だった書類が出てきた。これは怪我の功名。

コムテツ稽古で蓮根まで。まず神保町まで行き、地下鉄三田線に乗り換え。かなり遠いが、その分駅からは近い。今日も顔ぶれは大体そろっていて通しが出来るが、私のセリフ忘れ甚だし。明後日が初日だというのに。気分がどっと落ち込み、劣等感にさいなまれる。

途中で携帯にN田くんから電話。『ゲーテ』巻頭言、明日までに800文字欲しいとのこと。かなり何かせっぱ詰まっているようなので引き受ける。

菊田ちゃん、麻衣夢ちゃんなどと大木屋へ今度行こうと話す。二人とも小柄だが、食べる分量は大の男以上だという。ならあそこがオススメだろう、と大木屋のことを話す。橋沢さんも誘いたいがバタがダメだしな。

8時、早退させていただき、そこから日暮里へ。今日は瀧川鯉朝の襲名披露トンデモだが、着いたときにはほぼ終了していた。名古屋からゆめすけさんが来ているので、いろいろ世話になりっぱなしなので挨拶しなくては、と。コムテツのチラシをまきにオノも来ていた。トリの快楽亭の後半だけ聞く。

快楽亭は膝がまだ悪いらしく、高座に“腰掛けて”『開田乳房榎』を。ここで菱川師宣(開田裕治)殺害に心ならずも手を貸す気弱な下男の正助を春風亭昇輔でやっていたのだが、鯉朝になってしまったのでこのネタをかけるのも最後だとのこと。

IPPANさん、藤倉珊さんなど来ていた。浦山明俊とも久しぶりに話す。今度飲もうと約束。もっとも彼は一滴もやれないが日本海庄屋で打ち上げ。睦月さんとは一年ぶりくらい。安達Oさん、jyamaさん、ゆめすけさん、しら〜さん、こないだのK子の簿記弟子の人。人生初落語がトンデモだといったら談笑が
「初体験からアナル、みたいなもんですねえ」
と。

隣の座敷の学生たちの騒ぎが尋常一様でなく、わーっと騒いではどしーん、ばたーんと、取っ組み合いでもやっているのかという騒ぎ。談之助と手を叩いて
「伊八ィ、伊八ィ」
とやるがわからねえだろうな。ほとんど上半身裸体というにいちゃんが廊下をふらふらしていたが、それを追いかけてきた大柄な男が、いきなり彼を抱きしめてキスしていた。驚いて見つめてしまった。マジかね、あれは。

鯉朝はオタクばなし、談之助は皮肉の連打、談笑は鬼畜、いやもう、濃いの濃くないのという段でなし。jyamaさんがそれを聞いて愕然としているのを見て、睦月さん大喜びしていた。もっともこっちは芝居のことでやや、頭がアッチの方へと。

12時、解散。肝心のゆめすけさんとあまり話が出来なかった。睦月さんにちょっと内緒ばなし。驚いていた。jyamaさん送ってタクシーで下北沢。オノに
「先生、全然下北沢方面じゃないじゃないですか」
とツッコまれた。いや、今朝のメールのこと、ちょっとjyamaさんにも関係あることだったので、その話をしたくって。下心じゃありません(強調)。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa