裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

土曜日

ファットマン・リターンズ

せっかくダイエットしたのにまた太っちゃったよ。朝7時半起床。 入浴、洗顔。トイレ読書『ジャズで踊って』(瀬川昌久)読了。

戦前のタップダンス史、ジャズバンド史、ダンスホール史、 ジャズ 歌手史、音楽レビュー史、ひっくるめて舶来音楽芸能史。乏しいものだと漫然と思っていた日本の大正・昭和初期の 西洋大衆音楽の歴史がこうも絢爛で豊かなものだったことに驚く。すぐに川畑文子のCDを買おうとアマゾンで検索したが残念、品切れ。

9時朝食、ヒタシマメのスープ。日記つけ、玄関に山積みになっていた紙袋を整理。主にブジオの放送中、いろいろもらいものをしたり放送に使うものを持って帰ったりした紙袋が、そのまま、毎回のものが堆積して、出入りに不自由な程になっていた。これを整理。
「あっ、なくしたと思ってたらここにあった!」
というようなものも多々。

3時、家を出て、神保町に久しぶりに買い出し(古書の)に行こうかと思ったが今日の夜の会食の予定が神保町。原稿仕事もあり、とりやめて新中野の蕎麦屋で昼食、失敗。

気圧、いまいち。仕事場でメール文案作成するもなかなか進まず。アマゾンで資料買い込み、ワンクリック押すこと押すこと。6時半出て青山一丁目から半蔵門線で神保町、一ツ橋『徳亭』。よく行っていた蕎麦屋『夜咄乃むら』の向かいの店。『乃むら』は店名が変わったような……。はれつさんと待ち合わせて飲む。まあ、内容は例のことの報告。いろいろはげまされ、また説教される。私自身の今回の失敗への分析と反省は下記の通り。

これまで与えてきた仕事一件々々に対して、きちんとその達成度確認と問題点、今後の課題と改善ポイントなどのフィードバックをやらせなかった(一緒にしてこなかった)ことで、ひとつひとつの仕事が単なる通過点となってしまい、その経験を次の仕事に生かせなかった。

また、目標地点の具体的な図示が出来ぬまま、相手側にもこちらにも明確なイメージを持たずに見切り発車で行ってしまい、後からそれに気づいて打ち合せを重ねようと提案したが、向こうサイドでその必要性を感じていなかった(一件々々の仕事を単に“おいしいもの”という低レベルでとらえ、連続した計画性を持ったものという意識がなかった)。

結論:プロジェクト発足時から明確な目的設定をしなければ後からの補正は難しい。また、プロジェクト主体者の意識を最初に改革させることが肝要だった。

「とはいえ、やっていて楽しかったでしょ」
とはれつさん。それは確かで、途上のいろいろな思い出はその反復だけで数年は楽しめる。才能ある者の近くにいるということはそれだけでこちらをハッピーにしてくれるものだ。その件に関してはいくら感謝しても足りない。また、以前楽工社のHさんにも言われたことがあるが、クリエイターはときどき、このように自分の精神をアンコントローラブルな状態に置くことが必要な商売でもある。その証拠に、遅々として進まないプロジェクトとは裏腹に、本業の執筆業や文化人業においてはその間絶好調であった。

『徳亭』の料理、こんな話しながらでなければまずまず。さすがはライブドア神保町ランキングで一位の店だけのことはある。お造りの白えびがねっとりとして最高。豆ごはんもうれしい。もっとも酒がやはり足りず、チャイナハウス行こう、と店のハシゴ。笹塚まで地下鉄で。

三号店で紹興酒(はれつさん胃潰瘍気味だというのに飲むこと。やはり彼にも忸怩たる気持はあるらしい)。やがて本店終えたマスターとジュンさんも来て、いろいろと話す。この三号店、ビル取り壊しにより近く閉店、新しい店舗を探しているとやら。蟻酒(こっちの店にもあったか)で乾杯重ね、かなりフラフラになる。今日の悪酔いはまあ、想定内のことではあるが。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa