裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

16日

日曜日

Oリングストーンズ

体にいい波動の出ているものだとミック・ジャガーのくちびるが閉じたままなんです。

朝7時半起床。寝汗でズボンがぐっしょり。失禁でもしたかと思うほど。この寝汗癖もいいことがひとつあって、起きて入浴し、汗をシャワーで流し落とすときの快感といったらない。

FRIDAY『トリビアな日々』ネタ出し。K子がアシスタントからもらったという『第三文明』(創価学会の雑誌)を見たら、なんとかつて聖教新聞に掲載されていた『バリバリ君』が載っていた。しかもリニューアルされてタイトルが『バリバリ君Jr』になっている。あのバリバリ君が結婚してできた、その子が主役なのである(ジュニアなら“Jr.”と省略記号のピリオドを入れないといけないと思うが)。そうか、ここで生き残っていたのか。

内容はまったく『バリバリ君』と同じ。学会特有の言葉、価値観を“基準”にして話が展開するため、無関係なわれわれにはどこが面白いのかさっぱりわからない。典型的な宗教漫画である。ふつう、ギャグマンガというのは一般常識を読者と作者が共有していることを前提に、そこから外れた事象、行動を描いて笑いとするのだが、この作品を非・学会員が読むと、いったいどこに常識の線があるのだかがまるで見えてこず、しかし作者も、また学会員読者たちも、それを常識として笑っているんだろうな(少なくともギャグとは認識しているんだろうな)と考えるとき、いっそシュールに見えるのである。しかし、バリバリ君をバカにはできない。最近は一般誌のマンガにも、どう考えても宗教マンガとしか思えない作品があったりする(喉元まで作品名が出かかっているがやめておこう)のである。客観の目を失ったとき、全てのマンガはバリバリ君化する、とも言えるだろう。マンガ関係者なら『バリバリ君』は自戒のためにも読んでおくべきだと思う。

しかしこの『第三文明』、初めて通して読んだが、いい記事もたくさん載っているのだ。こないだ見たばかりの梅垣義明こと梅ちゃんのインタビューも載っていた。最初のライブで大ゴケをし、二度と一人ライブはやめようと思っていた彼を劇団のみんなが後押しし、三ヶ月後に二度目のライブを開催、“もうお客さんから逃げないぞ”と決意したという。それがあの、執拗なまでにお客いじりをする芸風につながっていったわけだ。……うむ、この雑誌の変なイメージの原因は、宗教色のある記事とない記事の落差が激しすぎることだな。前者の方が質が高いというならともかくだが……。
朝食、9時。豆のスープ、バナナ一本、タンカン(のときもあったが最近のはセミノールかなにか)半顆、イチゴ2粒。

昨日夜、落ち込んだ書き込みをmixiにしてしまったので心配してくれるメールやコメント多々。お心遣いいただいて申し訳なく思ってはいるが、落ち込むこともまた精神のリフレッシュと思っているので落ち込んだ気分になるときは遠慮なく落ち込ませてもらっているので悪しからず。

日記つけ、旅行(火曜夜から熱海に一泊)スケジュール立てる。12時から久しぶりに代官山エド・エドで散髪(どうもヘアカットだのへアセットだのというと感じがでない)なのだが、もう出ないと予約時間に間に合わない時間になっているというのに、日記のタイトルのダジャレが思い浮かばない。ギリギリでなんとか思いついて、家を出る。予約に遅れた理由がダジャレというのではカッコがつかぬと思ったが日曜で道が空いていて、なんとか間に合った。

菅原センセイ、ちょっとこれまでの髪形と変化をつけてくれる。と、言っても普通の人が見るとどこが変わったのだかさっぱりわからぬだろうが。

タクシーで渋谷まで。東急ハンズ並びの『唐めん』という九州ラーメンの店に初めて入る。メニューはラーメンとつけ麺(タレは同じ)のみ。なるほど、スープは白濁したトンコツであるが臭くなく、マイルドで、飲み干したくなる味。結構だが、麺が私好みでないということで減点。

事務所に行き、ちょっと雑用。2時45分、オノとNHKに歩いていく。『BSアニメ夜話』の『ヤッターマン』の回、収録。今日は初めて、これまでの収録とは別の、東棟のスタジオ。アマゾンとNHKのスタッフたち来て、うちあわせ。そのあと、収録開始まで1時間もある。仕事場と近いだけに、いったん帰って原稿書きたくなる。しかしながら、畳敷きの和室に半寝ころびの状態でオノと雑談しているうちに、映画のストーリィの新バージョン(最初のはどう考えても金がかかり過ぎるとわかったので改訂した)の骨子が固まったのは収穫。そうそう、アレを利用すればいいのだ。

なんだかんだで雑談するうちに時間たって、収録。今日の席は岡田斗司夫と松村邦洋に挟まれるというずいぶん暑苦しっぽい席である。今回から岡田さんが司会進行からレギュラーコメンテーターの位置に移り、司会は里匠アナと中川翔子になる。それになんと主題歌を作曲、歌った山本正之さんがゲスト。アニメマエストロの氷川竜介さんは何だかコスプレさせられていた。氷川さんにこういうのは似合わないと思うんだけど、本当にフリーで食っていくというのは大変なのである。

松村さんがブッ飛ばしで行っているので、前半は私は抑えておく。今回はほぼ、打ち合せで私が提案した通りの流れで進み、最後の〆も私が受け持つことになっているので、しゃべる時間は十分にある。とはいえ、ことがヤッターマンであれば、しゃべることは十二分にあるので、徐々にエンジンがかかっていってしまう。

松村さんは奔放にギャグを飛ばしているようで、コメンテーターの中で唯一、進行表にいろいろと書き込みをし、自分のしゃべる場所、思いついたギャグなどを書き込んでいる。やはりそういう細かい努力、ことにメモするという基本事項はないがしろにするべきでない、と改めて思う。もっとも、何かを紙に書きつけるというのは松村さんの癖のようで、書くことがなくなると、端の席の岡田さんの似顔絵を描き初めた。

仕切りであるが、中川翔子ちゃんの使えることに驚いた。ちゃんとこちらのしゃべっている不規則発言的なヨタの中から、意味のある内容の発言のみを拾い、それを番組の進行につなげていっている。進行表に頼っていないのである。と、いうことは番組のコンセプトをきちんと頭の中に入れており、進行のイメージ作成が番組開始時には完了しているということである。アタリマエのことではあるが、これが出来る子は滅多にいない。

ああ、売れる子というのはやはり違うんだなあ、と思い、かつ、ちゃんとしゃべりやトークの技術を事務所がレクチャーしているなこれは、と思ってまた感心した(してないならしてないで凄いが)。里アナは進行表厳守派のようだが、“さっきの発言、次のコーナーに持っていくのでもう一度してください”と指示を出すなど、統括者としての仕事をきちんとこなしている。前シリーズとは面目を一新するのではないか。
生で山本正之さんの歌を聴けたし、私の常々思っていた主題歌のコンセプトが正しかったことも証言を得た。今日は実は瀧川鯉朝くんの真打披露の(このあいだは芸協主催だったが今日は彼個人の)パーティで、佳声先生が出ることもあり、是非とも出席したかったのだが、アマゾンが収録日を今日しか設定しておらず、泣く泣く欠席した。最初は蹴ってやろうかと思ったが、まあこういう体験をさせてもらえたら、まずそれでヨシとしなくてはならんだろう。

反省点はやはり、しゃべりすぎたこと。いや、松村さんの五分の一もしゃべっていないが、それでもしゃべりすぎ。しゃべる役割、笑いをとる役割の人が他にいるんだから、今日は私は押し黙って、必要とされることだけを語る役割に徹するべきだった。ついつい、根がおしゃべりだけに他人の語尾をひったくってしゃべってしまう。反省。

収録終えて事務所に行き、今後のスケジュールなどをいろいろ見る。FRIDAYコラム原稿書き上げてメール。マドが修理してくれたプリンターなどチェックするうちにすぐ9時。一日の短いこと。

帰宅し、母の室でメシ。ホッキ貝のバタソース、貝と小エビとセロリのサラダ(バジルソース)、焼豚、それにカレーライスちょっと。貝とバターというのはしかし合いものだなあ、とつくづく思う。春は貝の季節、食べ過ぎると軽いジンマシンみたいなものが出る体質なのだが、それでも食べずにはいられない。

自室に戻り、いろいろと考えをめぐらしつつ、水割り。ビデオで『宇宙大戦争』と『一寸法師』の、両方とも前半づつ。偶然だがどっちもヒロインが安西郷子だった。11時半ころ、ちょっと早いが就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa