裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

4日

火曜日

アーチャリーちゃん

アーチャリーちゃんは桜貝小学校への入学を許可されませんでした。朝9時起床。改めねばいかんな。朝の1時間は午後の3時間に匹敵するくらい。遅く起きると一日があっという間に終わってしまう。

村上元三氏死去、96歳。いま、村上元三の小説ってどれだけ読まれているんだろうか。評価する人であっても、やたら多作で通俗的人気だった大衆作家、くらいの位置づけなのではないか。昭和30年代には大谷友右衛門や中村錦之介や鶴田浩二によって代表作が次々映画化され、さらに師匠の長谷川伸ゆずりで自ら脚本も手がけ(NHK大河ドラマの『赤穂浪士』は大仏次郎原作だが、脚本は村上元三が書いている)、時代劇の神様みたいな存在だった。

戦前を代表する剣豪小説が吉川英治の『宮本武蔵』なら、戦後を代表するのが村上元三の『佐々木小次郎』だった。敗者である小次郎をカッコよく描く、という斬新なアイデアは、まさに戦後(昭和25年連載開始)、敗戦国家として打ちひしがれていた日本の大衆の意識にマッチしただろう。挫折の美学、というものを日本人の意識に植え込んだ人かもしれないし、また吉川武蔵が剣のためには最愛の恋人・お通さえ捨てる求道の人、だったのに村上小次郎は行く先々で女に惚れられるというプレイボーイで、どこだったかの映画評で「これでは武蔵に負けるのも無理はない」と書かれていて笑ったが、そこらへんもアプレゲール的であった。

昼は弁当、ネギ入り卵焼き。黒豆納豆もちょっと。jyamaさんに昨日のお礼メール、それから猫三味線の記事を載せてくれた『ようかいどうかわらばん』の編集部のMさんにメール。この会社、なかなか面白そうだ。

『社会派くんがゆく!』更新用対談テープ起こしチェック。時間がちょっとかかる。気圧が急速に乱れ、昨日とはうって変わった不調ぶり。

出社、今日はバーバラ来ておらず。いくつかオノとスケジュール打ち合せ。ネット検索。なんかいろいろ話題になって一部でフレーミングもしているという『オタク女子研究』に、私の著書からの盗用疑惑があるとやら。ちょっと目を通してみるか。
原稿書けず。気圧のせい。もっとも、来るべきデータが来ないから、ということもある。『猟奇の社怪史』前書き1000字書いてもう死にそう。

8時、下北沢『虎の子』。K子が伊勢丹の物産展で買ったクジラを食べる会。と、言ってもさえずりのお造りにベーコン、塩クジラくらい。塩クジラはあまりの塩辛さに洗ってもらう。まずまず、食べられる。あとは黒龍、また焼酎『赤江』など飲みつつ、いつもの自家製スモーク、豚とキャベツの重ね蒸しなど。最後は春らしくフキノトウのパスタ。集まるもの、ナジャさん、I矢くん、みなみさん、のび太くん、しら〜さん。と学会の運営の話もちょっと。あとはのび太くんにK子が簿記の単語テスト。簿価という用語が出たので“簿価ぁ幸せだなあ”などとおちゃらかす。みなみさん、やっと就職決まったそうで、それにも乾杯。11時ころ変えるが飲み足らず、ネットなどみながらホッピー。最近の悪い癖。

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