裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

月曜日

ワンギリ頭を叩いて見れば

アダルトサイトの音がする。朝8時15分起床。ゆうべが遅かった割にはきちんと起きられた。入浴洗顔その他如例、9時朝食、バナナ、ブドー。ガメラ本の後書き催促、金曜に来たのを失念していた。あわてて書いて送る。と、いうか、日記に書いた追悼文を整理したものだが。

おぐりに今後の仕事などにからめてお疲れさまメールを出しておいたのだが、返事ナシ。1時半、家を出るが弁当を忘れてしまった。2時にそのおぐりと週プレの最後の対談。腹が減ってはがんばれぬと思い、近くのパパス・パパスに行ってランチパスタ(ワタリガニのクリームソース)を頼むが、持ってくるのが遅く、2時ちょうどに供されたそれをざるそばの如くススリこんで時間割に向かう。5分遅れ。

対談、いつものように変化なく。終わったあと、稽古に行くおぐりに“返事くらいよこせよ”と言ったら、困った顔をしていた。担当S石くんと打ち合わせ。こちらのお願いごと、プッシュだけはしておくが連載が終わってはなかなか難しい。二の手を考えておかないとダメかも。ちょっとうつむき加減で店を出て、気を取り直して本を数冊書いて、事務所。

今日はオノは代休。新刊ニュースから電話、酒井“まけ犬の遠吠え”順子さんと対談してほしい由。こういう仕事だけはどんどん来る。

6時、大久保まで。『東京中低域』のレコ発ライブ。場所がイシモリ楽器本店地下のホール。駅前で、地図片手にサテどこだろう、とうろついていたら、カラサワさん、と声をかけられた。見ると松本健一さんだった。彼につれられて会場までたどりつける。なかなかしゃれたライブスペース。
「ミュージシャン志望の若者の膏血を絞り取って建てた自社ビル」
などと言われてもいるが(笑)。

会場に入ったら見知った顔。談笑さんの会の常連のHさん。『鍵屋』という会社でカルト芸人のDVDなどつくっている女性である。
「これはまた意外なところで」
「なんでここに?」
「今度の中低域のCDのオビ、僕が書いているんですよ」
「えーっ、私の高校の友達が域員なんです」
聞くと柴野曜さんらしい。柴野さん来て、
「カラサワ先生は最初、ウチのCDを通販で買ってくれて」
と話す。注文書の名前を見てビックリしたらしい。

 橋沢進一さんも来る。隣に座って話するうち、演奏開始。おなじみのボレロから。『十一種』に入っている曲の他、今日は超絶的技巧のテンポの早い曲が次々に演奏され、大満足。10本のバリサクによる伝言ゲームも笑ったし、水谷さんのいつもの脱力系トークもよし。
「あ、母さん、僕、今佐渡にいるの。お金振り込んでくれない? ……違うよ、サギじゃないよ」
には爆笑。

終わって松本さんに挨拶、橋沢さん誘って新大久保の方まで歩き、タイ料理屋『ソムオー』に入る。以前、富翁があったところである。シンハビールで乾杯して、いろんな話。舞台のこと、映画のことなど。前向きな話に後ろ向きな話もちょっと。あと、乾恭子ちゃんを某氏が“存在感が絶対的”と評している、と言っていたと伝えたら橋沢さん、大変に喜んでいた。最近、とにかく彼女にオーディションなど受けさせて外に出そうとしているらしい。大変に結構。

派手な店内でメニューもファミレスっぽかったので味が心配だったが、まずまず。珍しいタイ米のもち米蒸しなどもあり、コームーヤーン(豚肉の網焼き)、ムール貝の蒸し物、トムヤムクンなど食べる。メコンウイスキーがおいしくて何杯もおかわり。
12時近くに出て、勘定を払っているとき、
「カラサワさん!」
と声をかけられる。
一瞬、誰だかわからなかったが
「アビコです!」
と。安彦麻理絵だった。

「マリエか〜! 懐かしいな〜!」
と思わず肩を抱いてしまった。なんだかんだ言ってアウェイ感覚が抜けなかったあの頃(10数年前)の仲間が顔を覚えている(声をかけてくれるくらい親しげに感じてくれている)のはうれしいもの。タクシーで帰宅。12時45分とはいえ、今日も午前様更新中。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa