裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

月曜日

シャトー・エイサク

総理大臣自らお持ちの葡萄畑で作られたワインで……、朝9時起床。起きたとたんに鳴る母からの食事のベルに、少し遅らせて、と頼んで入浴、連絡メール。10時朝食。コーンスープ、パイナップル、イチゴ1粒、伊予柑半個。

予算委員会の民主党議員の質問見る。やはり迫力不足の感否めず。原稿、『社会派くんがゆく!』ゲラチェック。分量多いこと多いこと。それから今日の『名もニュ−』ニュースチェック。

2時、渋谷仕事場。風強し。春一番か?仕事場着。オノとちょっと話す。とてもここに書けない某氏の行状について。いや、下半身は別人格とはいえ。ただ彼は女癖が悪いのではない。ただひたすら、ヌくことが趣味らしい。睦月影郎さんと話が合うかもしれん。その他、今後の予定いろいろ。スケジュール合わせがだんだん大変になってくる。アレをあっちにズラして、これをこっちに……と、まるでパズルのような案配。

3時、時間割へ。おぐりとS石くん、ねがっち。『名もニュー』対談。その前にS石くんからちょっと、と話。まことに申し訳ないのだが、と、週プレのコラム欄一斉リニューアルのため、この連載、3月いっぱいと告げられる。おやおや、という感じ。別に人気がなかったというわけでなく、コラム欄全部のリニューアルだそうなので、誰もうらめないが、1年続けた連載なので、いかにも突然。告知や企画持ち込みなどに週刊誌を一誌有しているというのは大きいので、すぐ代替案を出さねばなるまい。

ニュースの方はおぐりがいいククリ案を出したのですぐにまとまり、30分かからずに終わる。そのあと、スケジュールの件でおぐりと10分ほど打ち合わせ。おいしい話と劇団のスケジュールが重なっている件あって、かなり惜しがっている。だから連絡と相談は大事なのだよ。

そこで別れて、仕事場に戻り、すぐ某誌Yくんにメール。以前から次の連載を、と言ってお互い忙しくペンディングになっているところ。そしたらすぐ、電話本人からあってびっくり。たまたま、メール着いたときにパソコンの前にいたそうだ。名もニュー引き継ぎの話、したら向こうはかなり乗り気の模様。新担当に一両日中に連絡を取ると言ってくれる。こういうスピーディな展開はうれしい。ヤキモキしなくてすむ。

電話連絡いくつか。映画作品へのコメントの件など。そう言えば以前コメントを頼まれた『クラッシュ』がアカデミー賞で作品賞と脚本賞、編集賞を得た。自分がちょっと関係している作品が賞を得るのは嬉しいものだが、こんな地味な作品が三冠、というのはちょっと寂しい気もする。編集賞は確かにふさわしいけれど。

肩がバリバリなので、6時半、東急ハンズに買い物に出かけたついでにマッサージ。1時間のところ、サービスで1時間15分揉んでくれる。隣のベッドでの会話が聞こえる。このお客さんは整体師よりマッサージ師の方が格が上(専門学校での三年の学習の上、国家試験がある)と知って驚いていた。揉まれて帰宅、途中東急ハンズでカカト削りの刃など買い物。

原稿カジカジ。夜10時に銀座(有楽町)へ出る。駅前から少し歩いて、10時半にワインバー『清風明月』に、K子と待ち合わせて食事と酒。ワインは最初白、それから赤。赤は“奇跡のワイン”と呼ばれるプピーユ。店で飲んでも一本一万円しないの値段のワインなのに、ティスティング大会では数十万円台のワインと常に優勝を争うという意味での奇跡だそうである。飲んでみるに、なるほど、渋味が利いて(栓をあけてしばらくたつと今度はまろやかになる)非常にうまい。K子がこないだもここで飲んでうまかったので再度注文したものだが、名前を忘れ、
「ほら、ここでこないだ頼んだやつ」
というと、店員さんが
「ああ、確かキューピーさんという方が……」
と、笑いながら思い出した。
「非常にお名前と顔が印象的に結びつきまして」
と。そうだろうな。

料理もなかなか結構。フォアグラのコンフィ、スミイカのグリル、トリッパ(上品すぎるが大変に結構)、そしてコガモのロースト。最後にチーズ盛り合わせでブランデー。今同人誌置き場に使っているアパートの大家の婆さんが今年99でまだ元気で、“なかなか死ねなくて”と言っているという話など、ひさしぶりに夫婦で飲んでなんだかんだで話がはずみ、今日も昨日と同じく2時まで店にいた。二人でワインフルボトル2本とブランデーまで飲んだもので、帰りの車中でK子、苦しがって大騒ぎ。

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