裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

日曜日

慌ただしくもまた雑感多し、の記

朝7時起床。夢の中でウナギをつかめる新式道具の説明を受ける。普及型のベジ型と、改良型のペンシルバーガー型。入浴(夜半身浴してまた朝入浴するのは無駄みたいだが、寝汗が気持ち悪いので)して朝食、カレーパンとアップルパイ。

メールチェック、電話など。ちょっとどうかなと疑っていた例の件、やはりというかなんというか電話しても留守録ばかりでナシのつぶて。人任せはいけません、やはり自分で動かないと。で、自分で動くなら自分のフィールドを作らないと。人の範囲中で何かやろうとすると一生懸命やればやるほど齟齬を来す。出て池袋。

シアターグリーン3日目。ダメ出しいくつか。私個人にとっては不満のある直しも多いが、最初の登場シーンでもひとつセリフ増える。昼は近くの西安刀削麺の麻辣麺。2時マチネ。

客入りよく、みんな気合入る。今日は昨日からのシャツを例のロンドンの蟻シャツにして、他の下町の住人たちとの違和感を強調。違和感、異物感を武器にすると私は強いと思う。小泉型キャラなのかも。

真奈美師匠を演じる林さん、ブチ切れシーンが日々派手になってくる。母さん役の川瀬さんも存在感をどんどん増している。客演の役割というのは劇団の色に合わせながら自分の色を消さず、結果として劇団の笑いやキャラのバラエティを豊富にすることなのだなあ、と思うのである。

やっと『雑学授業』『名もニュー』と物販物も揃った。B書房Mさん、と学会FKJさんなど来てくれて少し話す。昼と夜の公演の間が一時間半。

半チクな時間なのでどう過ごすかあぐねる。三橋さんは近くの銭湯に行ってきたとか。いいねえ、公演中にぜひ行ってみよう。

近くの喫茶店でほりかわさんとちょっと話す。やはり話題はこれからどうここを売っていくかについて。広告を打ちやすい形式、マスコミが食い付いてきやすい形式の公演というのはどういうものか。ここらへんが課題だよね、やはり。差し入れのメロンをみんなで食べる。冷蔵庫で冷えていたのでうまし。

夜の部、座長言うところの前売りのデッドポイント。連休の日曜の夜というのはみんな予定を入れているのである。とはいえ、ひょっとすると昼間より沸きがいいのではないかという好反応。最前列に座っていたお客さんの一人が、どうもラフィングリーダーになってくれているようだ。

一般の人というのは、面白いと思えることを見ても、それを声に出して表明することに慣れていない。誰かナビゲーター役が笑ってはじめて、
「あ、笑ってもいいのだな」
と判断するのだ。海外もののコメディ番組で笑い声が入るのもこの効果をねらってである。歌舞伎で昔から見巧者と呼ばれる人は木戸御免にして、掛け声をかけたりしてムードメーカーになってくれる役を引き受けてもらっているように、笑いの先導役になる一定層をまんべんなく各回に配置したいものである。

もっとも、入れ込むあまり舞台にツッコミを入れ続ける人というのも(トンデモ本大賞にもいっぱい来ていたが)いたらしく、これはこれで、なのであるが。阿部能丸くん、ベギラマ、来てくれる。あと、アニドウ上映会の常連の新潮社Hさん。

「おぐりさんの舞台でのキャラが、ふだんテレビとかで見ているのと全然違うので驚きました」
と言っていたが、本人も帽子などかぶって、ふだんとイメージが全然違う。
「私も違ったでしょう」
と言うと
「うーん、アヤシサ全開というのはいつも……」
と。苦笑。

8時終了、下北沢に出てK子と待ち合わせ、虎の子で食事。亭主が金にならぬ芝居にかまけて申し訳ないことである。ひさしぶりのカウンター席だったが、両隣りがいずれも何か凄く暗ーい会話をしていたのが面白かった。

金目鯛のスモークうまし。あと舞茸の豚肉巻き、牛筋煮込みなど。

先に帰宅、半身浴して、原稿小さいのをひとつ片付けてと思ったが体力的限界。落ちるように眠る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa