裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

28日

日曜日

紀州のドナ・サマーお国入り

 本当は『ドナ・サマー弥次喜多』とかやりたかったんだけど、元ネタがマイナーだしな。朝、珍しく途中で芽を覚まさず6時半までぐっすり。入浴、歯磨、如例。7時半、朝食。春キャベツと梨サラダ。春キャベツが甘みがあって旨い。あと、昨日のカイテルでのポタージュに影響されて母がすぐ作ってみたグリーン・ポタージュ。家でのものだけに塩味を極端に薄くしてあり(母に言わせるとこれでもまだ塩っ気が多す ぎとのこと)、美味。

 日曜なれど通常の如く出勤。まだこの新中野の住まいにはゆっくりと休日を過ごす設備がない。私たちの部屋にはパソコンチェア以外の椅子さえ一脚もない。仕事場に出向かざるを得ないのである。弁当受け取り、バスに乗る。日曜でも朝は平日並みに バスが動いている。

 メールチェック。相変わらずウイルス系メール多し。水民玉蘭さんなどから、新ウイルス情報いただく。平塚くんに急いでチェックしてもらうが、マックには感染しないとのこと。それでもやはり不気味ではある。ニフティのウイルス対策サービスを利用したいのだが、私は旧ニフティ・サーブ会員なので使えない。アット・ニフティにするとパティオなどが使えなくなるし(まだ官能倶楽部がパソ通でパティオを利用し ているんである)。

 電話、平山亨先生から。何事かと思ったら、昔、NHKで島田正吾が主演していた時代劇、『十時半睡事件帖』のビデオがどこかにないかしら、ということであった。残念ながら私は録画していない。1994年放映の作品であるが、どなたか、お持ち の方がいらっしゃったら、ぜひご協力願いたい。CXP02120@nifty.ne.jpまでご連絡を。

 しばらく雑談。平山先生も『メレンゲの気持ち』をご覧になっていたそうで、お褒めいただき恐縮する。“出版なんて地味な世界にいると、テレビの影響力はちょっと怖くなりますねえ”と言うと、“そうかもしれないねえ。潮ちゃんとか見ていると、役者さんてのは人に顔を知られている、人が自分を見ているということを、ごく普通のこととして常に意識して外を歩いているわけで、僕らなんかもテレビ人だけど、ス タッフと出演者は全然そこらの認識が違ったものねえ”と。

 12時半、弁当。今日はイカと野菜のかきあげの天丼風。美味言語に絶す。中学生のころから、この天ぷらのおかずが何より一番好きで、今日は天丼弁当だ、と思うとどんな腹立たしいことがあった日でも、ニコニコと顔がほころんだものである。くわ えて大根とキュウリのぬか漬け、これがまた丁度いい漬かり具合。

 食べてすぐ、朝日新聞コラム稿書き出す。身の回りで見聞した小さいことから視野を広げていく、という趣旨のコーナーらしいので、そのスタイルにあった題材を選ぶのに一番時間がかかった。書き出せばこういうものは自家薬籠中。もしツマランと編集部に蹴られたり、あるいはネタがダブったりさえしなければ、森村泰昌、枡野浩一 両氏の文章と共に4月あたまに掲載の予定とか。

 ササキバラ・ゴウ氏から電話。以前からお願いしてあったコードフリー仕様の中国製DVDプレーヤーの件。いろいろこれまた雑談。ササキバラ氏、そう言えば某CG アートコンクールの審査員になったらしいのでそのことのお祝い述べると、
「ああー、そんなもんもありましたねー」
 という反応。とにかくああいうものに関する才能の受け皿がないと困るので立ち上げようという趣旨なので、全然どういうものになるかわからないとのことであった。あと、マンガ関係の話、収入の話。収入が少ない、ということもまた、創作へのモチ ベーション足りうるとササキバラさん言う。モチベーションの話になり、
「今のマンガの平均的なレベルのものを、毎週々々、何十ページと描き続けるということがいかに異常なことか」
 と話す。単なる創作意欲でとらえようとすれば、これはその意欲をそぐしかない状況であって、そこにはやはりある種のルサンチマンというか非常性というか、そのよ うなものが必要になっていくのではないか、と私は思っている。

 一日がやたら早く暮れる。残った時間で、漢字パズル原稿の方も、と思ったが、考えて見れば今夜は開田さんたちを招いて焼肉なので、7時に夕食なのであった。時間足りないのでそこで切り上げ、新宿までタクシー使う。そこから丸の内線、K子から早く帰れと催促携帯があったが、その前にとセブンイレブンで、予約したチケぴのチケットを受け取る。初めてこのシステムでの受け取りを体験したが、FAX/コピー 機を使っての予約確認、なかなか考えたな、という感じ。

 帰ったらもうすでに晩餐、始められていた。スモークサーモンに、新タケノコとワカメの煮物、それと松阪牛の鉄板焼き。見事に霜降りになっている肉をスキヤキ鍋でほんのちょっとのバタだけで焼き、塩胡椒で食べる。ひさびさに“肉”を食った、という感じ。あやさんのゆず絞り汁と醤油というのも試みてみる。夫妻がバザーで“一円”で買ってきたという本も見せてもらう。三遊亭圓歌がまだ歌奴だった頃に出した『ただいま授業中』(芳賀書店)、これ、今古書店で買えば1200円以上はする、と教えてあげる。能登で買った日本酒“あらばしり”を抜いて飲むが、何かやたら回 るような気が。

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