裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

1日

火曜日

t.A.T.uの落とし子

 パチの少女デュオがぞろぞろと。しかし、今回のミュージック・ステーション出演ドタキャンは痛快でした。私にとっては彼女らの歌というのはどこがイイのかさっぱりわからないので、ちゃんと出て歌ってくれるよりこういう騒ぎを起こしてくれた方がずっと面白いし、ファンたちはこの行動、いかにもタトゥーらしい気まぐれで大喜びだろうし、円稼ぎたさに日本のロートルミーハーに媚びを売るローリング・ストーンズなんかに比べて、いかにも外タレというワガママさが懐かしいし、“若者はオトナの権威や常識を無視してこそ”とかいまだに思っている青春至上主義者にとっちゃこれであたふたするオジサン連中の怒り狂うのが痛快だろうし、オジサン族はオジサン族で、スポーツ新聞の記事なんかで読んで“なんだかよく知らんがやっぱり今の若いもんは仕事を真面目にしないらしい、けしからん”と若い世代の悪口が言えるし、 八方万々歳だと思うのですが、何か問題が?

 7時半、起床。昨日飲み過ぎで、二日酔い。いや、二日酔いというより、脳がアルコール漬けになったような感じで、平衡感覚が狂い、4時ころ目が覚めてトイレに行こうとしたとき、足元が定まらないで困った。アタったんじゃないか、と一瞬思ったほどだった。朝食、貝柱入り粥、梅干。ゴールデンキウイ。キャサリン・へプバーン死去。キャサリン・ヘプバーンとくれば『旅情』を語らねばならないのだろうが、私が学生時代に池袋の文芸座でこれを観たのは、『事件記者コルチャック』のダレン・マクギャビンが出ていると知って、いったいどんな役で、と、それを確認するためだけであったので(もちろん、まっとうに感動もしたのだけれど)、あまり語る資格はない。むしろ、もっと年をとってからの、『オレゴン魂』での気の強いおばちゃん、『冬のライオン』での怖いおばあさん(王妃さまだ)といった役が印象に深い。

 雨、降り続き体調極めて悪し。植木不等式氏から扶桑社本のあとがき原稿がメールされる。こちらも書き上げたばかりのまえがき原稿メール。スケジュールを確認したら、植木氏とはこの週末から三連チャンで飲み会の予定が入っている。体調を整えねばと思う。仕事ででなく飲み会で決意することもないか。ネットでと学会東京大会の感想などを探していたら、アマチュアのチューバ奏者の人の感想が見つかった。なんでも、東京大会で受賞作発表のBGMに使った『威風堂々』の演奏は“とてつもなくうまかった”ものなのだそうだ。確かに壇上で聞いていても燃えたが、あれ、確かひえだオンまゆらさんが提供してくれた、販促用音楽集のCDに入っていたもので、他に軍艦マーチなども入っていたやつの一曲なのだが。なぜ、そのように質のいい音源が使われていたのだろうか。

 原稿、Web現代をずっとやる。進み具合がいつもの半分のスピードである。途中でマンション下のソバ屋に行き、まずいカツ丼で昼食。食ってなお落ちた執筆スピードで、それでも3時半には11枚、書き上げて、編集Yくんとイラストのソルボンヌにメールする。それから、六本木へ出て、雑用いろいろ。交差点角の誠志堂書店が無くなって携帯ショップになっていたのに驚く。まあ、あおい書店にABCという大型店に張り合うには無理があったのだろうが、オノプロ時代からおなじみだった店だけに、かなり寂しい。

 帰宅、今度はアスペクトの村崎さんとの対談原稿ゲラに赤入れ。これもかなりの分量である。生原稿売却事件のことなどに、少し手を入れる。6時完成して返送。もう今日はそこで限界。急いで新宿に出て、サウナ&マッサージ。無念無想でサウナで汗を流す。一緒に入っていたおっさん二人は、札幌からの旅行者らしく、懐かしい北海道イントネーション(懐かしいと言っても私はこれでしゃべらなかったために転校した小学校で生意気だと思われてかなりひどいいじめにあった)バリバリの会話。札幌は温泉付きホテルが大流行であっちでもこっちでも掘っているので、最近、地盤沈下がひどくなりはじめているという。

 マッサージ、例の感動家先生。あれ以来、私の原稿の載っている雑誌を探しまくっているそうである。今度単行本でもあげるか。凝りがこんがらかって、背中が痺れるような感じである。この先生はいつでもサービスがよく、1時間と頼むと1時間15分くらい揉んでくれる。ありがたいが、その後の予定を立てているときにはちとあせることになる。今回も急いで出て、タクシーで渋谷へ戻る。

 9時にNHK前の花菜でK子と待ち合わせ、の筈がなんと、日曜でもないのに店が閉まっている。K子に携帯で電話し、隣の焼き鳥屋『パパズアンドママサン』。何かずいぶん久しぶりのような気がする。店の生ビールの銘柄も変わっていて、バドワイザー、と頼んだらレーベンブロイになったと教えられる。豚串、手羽、レバ、ナンコツなど、焼き物は変わらずおいしい。K子にパソコンでプリントアウトした暑中見舞い葉書を見せてもらう。最初、暑中見舞いの枚数を100枚くらいのものだろう、と思っていて印刷したのだが、チェックしてみたら軽く100人を越してしまい、足りなくなったのである。業界も15年いると、いろいろつきあいが増えるものだ。

 帰りに見てみると、花菜は開いていた。嶋ちゃんが独立してしまったので、大将が用事でいないと店を開くことが出来なくなっているのであろう。帰宅、黄連解毒湯を二服、のむ。Web現代Yくんから原稿受領のメール。こないだ二回連続でやった、夏のスタミナ食の原稿の評判がいいのでまたやりましょう、とのこと。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa