裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

水曜日

爆心地山下

 AVを撮ってるちょうどその真上に爆弾が落ちましてねえ。朝7時半起床。鼻炎薬のせいかよく眠れた。これが効いたかニンニクか、はたまたマッサージか、鼻水と軽い頭痛は残るが、まあ症状的には快復。目がゆうべイガついて、また結膜炎かと心配したが、それも今朝の段階では何ともなし。ただし、少々しぶり腹。朝食、K子にはチーズの焼きサンド。私はスチームしたモヤシと菜の花、青豆の冷ポタージュ。果物は昨日中野で買ったイチゴ。

 昨日、夜の中野〜渋谷をタクシーで走ったが、人通りが意外に少ない。クリスマスというと、深夜もそこらじゅうを酔っぱらったサラリーマン同士が肩を組んで、しかもどちらかは必ずキャバレーのパーティでかぶった三角帽子を頭の上に乗っけたままで、手にはケーキのおみやげを持ち、千鳥足で“♪じんぐっべー、じんぐっべー、じんぐーおーざえー”などと歩いている、というのがイメージだったんだが。ところでこの“じんぐるべー”の曲を聞くと、“ファニー”“ブライト”とか言う歌詞が耳につく。まあ、クリスマスなんだから、そりゃおかしくて明るいよな、と思っていたのだが、歌詞を見てみたらfunnyじゃなくてFANNYだった。唐突に、歌の中にFANNY BRIGHTさんという人名が出てくるのだな。

 A day or two ago
 I thought I’d take a ride
 And soon Miss Fanny Bright
 Was seated by my side;
 The horse was lean and lank;
 Misfortune seemed his lot
 He got into a drifted bank
 And we,we got upsot.(二番の歌詞)

 たぶん、韻をあわせるためだけに持ち出された人名なんだろうが、われわれ日本人には、このミス・ファニー・ブライトなる人物はいったい何物なのか、と首をかしげさせるところである(そもそもこの歌、ソリ遊びの歌でクリスマスとは関係ない)。

 幼稚園はミッションだったので、クリスマスには必ず生誕劇をやった。2年保育であったが、私はここで2年連続、東方の三博士の一人を演じた。2年目あたりはヨセフの役をやりたかったのだが(なにせ女の子と堂々手をつなげる)、“カラサワくんは博士”と、最初から決めつけられていた。昨日、聞いたら快楽亭も、幼稚園では三博士が持ち役であったとか。日ごろませていて、知った風な口を聞く子が、この役をふられるのかもしれない。で、そういう子は往々にして成長後、噺家になったりモノカキになったりするのである。

 昼に青山まで出かけ、夕食の材料を買い込む。モノカキになってからはそう言えば年末進行で、クリスマスらしいクリスマスをあまり体験していない。コミケに参加するようになってからはなおさらである。帰りに、税務署前のバス停のところを歩いていたら、談之助師匠がバス待ちをしていた。NHKに用事があって来た帰りだとか。ちょうど、コミケの入場チケットを手渡す都合を問い合わせていたところだったので家に来てもらって、手渡す。昼食は買ってきた炒飯で。風邪がまだ残っていて食欲なく、半分残す。食ったら眠くなり、横になったら4時過ぎまで寝てしまった。

 起き出して、今日じゅうに出さねばならぬWeb現代原稿を書く。なにせ、明日でもう担当のYくんは休みをとってしまうのである。7時までに書き上げて、メール。何とか年内のノルマを果たしてホッと一息。ついでに、ちょっとお願いの件があったのだが、これも無事、通してもらった。細かい用事がひとつづつ片づいていくのはいい気分のもの。

 夕食の準備にかかり、メシを炊き、コンニャクと里芋、オクラの煮物。それと、今朝AIQから恒例で届いたお歳暮の牛肉を野菜と一緒に炒めて。帰宅したK子が“全然クリスマスっぽくない”と文句をタレるが、肉を一口ほうばって、さすが、と機嫌がなおった。まあ、七面鳥はコミケの前夜祭用にとってある。DVDで、今年最後の『サインはV』。ジュン・サンダースはビル工事現場で上から落っこってきた建材が肩にあたり、それが元で骨肉腫になる。一応、元から骨肉腫があり、それがその事故のショックで発症した、という設定らしいが、どう考えてもウソくさい。漫画やテレビでは単に骨肉腫、と言っても読者にピンとこないから、“絵になる”事故の場面を入れる必要性があったのだろう。それにしても、この数回はスピンボール開発、そのモデルとなった鉄と五郎の友情物語、特訓、ジュンの病気の発見と入院、その穴を埋める新キャラの登場、新聞取材との争いなど、盛りだくさんな内容である。連続ドラマはこれでなくては。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa