裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

12日

木曜日

河内のオシアンの唄

 アイルランドから来たんけ、ワレ。朝7時45分起床。天気はいいが寒い寒い。朝食、オニオンスープに温泉卵落としたもの。この温泉卵は地卵だそうだが、なるほど濃い風味である。果物はポンカン。新聞、昨日読みのがした夕刊から読む。林真須美被告の毒入りカレー裁判は、裁判長が主文を後回しにして判決理由の朗読から始めたために、この夕刊(4版)の段階では判決まで間に合わず、“厳しい量刑が予想される”で記事が終わっており、今朝の朝刊でやっと死刑判決の報告。

 食後、服薬如例、ロシア語。“私はロシア語が話したい”は“ヤ ハチュー ガバリーチ パルースキー”。机の前を少し整理して、ゆうべ遅くに電話のあった北海道新聞原稿(また誰かが落としたのか、〆切を早めていいか、の問い合わせ)用の資料メモを探し出す。電話、石原さんから。幻冬舎との会合、いい具合にいったらしく、張り切っている。結構なことである。

 やはり調子でず、困り切っていたら、実家からクスリ類届く。救心をのんだら、気分の問題か俄然調子出てきて、SFマガジン原稿10枚、どんどんと書き出す。3時昼食、ハチバンラーメンのミソ。牛肉細切れとホウレンソウの炒めたのを上に乗っけて栄養のバランスを考える。食ってる最中に快楽亭から電話。例の企画のこと。

 海外のニュースMLがいろいろ配信される。村崎さんとの対談などに必要だと思って、猟奇ニュース系のMLを一時期やたら申し込んだのだが、中にネット事業関係のニュース専門のMLがあって、なんでこんなものをとったのか、自分で申し込んだものながら不思議に思っていた。どうやら、あてずっぽうに“WEIRD”と名のつくMLを片っ端から申し込んでいたときに、読み違えて“WIRED”ニュースを申し込んでしまったらしい。英語力のないことである。

 SFマガジン原稿、5時にメール。そのあと、今度は講談社Web現代用の原稿にすぐ、かかる。資料並べたのみ。早川S編集長からキャプションと近況原稿がまだです、とのメールが来て、急いで書いて送る。6時、家を出て、イラストの井の頭こうすけ氏に図版ブツを宅急便で送る。送ってから、ブツの内容と送ったキャプションが食い違っているのに気がついた。今夜急いで変更メールを送ろう。

 タクシーで幡ヶ谷。チャイナハウスで上海蟹を食う会。出るとき、マンションのエントランスで熊倉一雄氏にバッタリ。“先日のお芝居、見せていただきました”と挨拶する。到着すると植木不等式一番、私が二着。氏、私ら夫婦、談之助夫妻、開田夫妻、それに井上デザイン井上くん、曙、ナワー(練馬に住んでいるインド好きなのでネリーというインド人ぽいアダナでK子が呼んでいたが、最近高輪に引っ越したのでナワーになった。全然インドぽくない)の三人、都合十人の大所帯となる。厚切りの見事なチャーシュー、タラの芽とエビの炒めもの、タケノコとスッポンの炒め物、というか煮物というかの、中間みたいなもの(十人で食べるとあっという間なのでおかわりした)、金針菜とホタテ、クワイと鹿肉、上海蟹(酔蟹)の盛り合わせ、フクロタケ、それとリーメン。いずれも絶にして妙。食い足りないな、と思ってしまったのは植木さんの爆食がのりうつったか。

 いつものように紹興酒を飲みながらとめどなくバカばなしをしたが、途中から、中国ではマオタイ酒の次に位地するという白酒が出て、これはビンの底に少しづつ残っているのをサービスに、という感じで出してくれたらしいが、これを主に植木さんとウマイウマイと飲みまくって、ついに一本新しく栓を抜いてしまって、最後には何がなんだかわからなくなる。でも、お値段がいつものチャイナ値段の倍くらいしたこと(やはり蟹は高いね)は覚えているから、それほど酔ってもいなかったか。談之助さんと本の企画。これも楽しいものになりそう。快楽亭との本の件を、井上くんにイッチョカミしないかと持ちかけたが、“○○くんに回せばどうですか”とつれないお返事だった。あやさんからは冬コミ同人誌の委託を依頼される。今回、開田さんのところは壁際がとれてバンザーイと思っていたら、なんとやおいのど真ん中で、まず怪獣などは見向きもされない(怪獣ファンも恥ずかしくて近寄れない)場所なのだということが判明したとのこと。確かに毎回、特撮と耽美が近くに位地される傾向がある。と、いうか、すでに特撮はやおいの一分野に吸収されているらしい。次回ゴジラは釈由美子とかでなく、ジャニーズJr.を主役にしたらヒットすると思う。いや、これ冗談でなく。ハム太郎は子供向け、ゴジラはお母さん向けで。

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