裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

21日

木曜日

賀茂茄子不賀茂茄子

 昨日賀茂茄子食べながら思いついたシャレ。朝7時45分起き。朝から雨で、雨もさわやかな雨ならいいが、気圧がグルグル変化する中での雨で、体調最悪。朝食、イチヂクとヨーグルト、スープスパ。仕事する気にならず、パソ通のパティオなど回ってみる。開田あやさんは長年飼っていた愛猫を亡くして落ち込んでいた。親父が死んだ程度でこんなに悲しいのだから、猫が死んだらどんなに悲しいか。

 細胞の一個々々に水がダブついて、歩くたんびにガブガブと音がする感じ。それでも原稿は書かねばならぬ。幻冬舎のもの、予定していたカストリ雑誌からの資料の書き抜きが出来そうにないので、別のところに手を加える。小松左京の作品集からの引用が必要なので、書庫にもぐる。すぐ見つかったので機嫌がよくなる。昼は豚ロース薄切り二片をショウガ焼きにしてパックの麦ごはん。ああ、うまいとしみじみ思いながら食べる。高いものは高いなりに、安っぽいものは安っぽいなりにうまいものであ る。

 1時、時間割でFくん。向後は自宅勤務なのだそうである。なんか、彼の庭師転向までにこの本が完成するだろうか、という気になってきて、少しあせる。葬儀の花のお礼。他社の花がみんな会場の後ろの方に並べられていたのに比べ、海拓舎のはバスケットだったので、祭壇の脇に置かれて、一番目立ったことであった。

 雨はあがっていたが、頭はまだボーッとして、打ち合わせ後、買い物をしなくてはならなかったのをコロリと忘れ、家で1時間ほど横になる。コレデハイカンと起きだして、家の中を取り片付ける。麻黄附子細辛湯とアリナミンをのんだので、この労働で汗がグッショリという感じで吹き出す。今日は青林工藝舎と井上デザインが来るので、書庫から仕事場に昭和40年代〜50年代のエロ雑誌をひと山運びこむ。

 4時過ぎ、手塚・井上の二人来訪。さっそく読み込みにかかる。大のオトナ三人が真面目な顔でエロ本読みふけるというのもヘンな図であるな。もっとも、たった二○年前のものとはいえ、エロの分野の変化というか進化というかは凄いもので、今の目でこれらを見ると、珍奇な歴史資料としか見えない。まあ、だから本を出す気になるのだが。手塚さんが週刊誌、私は主に『ガ〜リ〜』『ヤングV』『LOVE』などのポケット雑誌を担当して、ヨサゲな記事や特集に付箋つけていくのだが、これがどれも面白いったらない。この時代はエロにまだマニュアルがなくて、好き勝手をやっていたのだ。こういう試行錯誤時代のものが私は全てのジャンルにおいて最も面白いと感じる。アメコミ調のゲイ漫画はあるし、精神病院の患者に書かせたというポルノ小説はあるし。大丈夫かいな。そうかと思うと、こんなB級エロ雑誌で、深井国&樋口太郎イラスト競作などという超豪華な特集があったりする。

 8時近くまでエンエンとエロ雑誌を読み込んで、ややゲップ状態。どうやらひと山にざっと目を通した段階で、花菜でK子と落ち合って酒。Yくんがスタッフ一行といた。ナニがアレしちゃったとのことで彼の番組、いま大騒ぎだとか。日本酒やたら飲んで、業界ばなしで盛り上がり、昼間の反動か大舞い上がりになり、楽しいといったらなかった。アレのナニが実はアッチのソレであった、などという話。ベロベロになり帰宅。ソバ食ったまでは覚えているが、ソバ湯飲んだかどうかは覚えていない。

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