裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

水曜日

ドグマノコロスケ

 コロスケサンコロスケサンソレハアマリニキャウジャウテキデス。朝7時起き。朝食、スモークトヘリングサンド。美味。昨日の日記つけるが、やはり一日に三つも用事があると書くのに骨が折れますな。11時、歯医者に出かける。門歯の差し歯、ようやく入った。お値段十万円ナリ。帰りに西武で買い物。

 トラブっていた『創』、やっと学陽でのGOサイン出る。今回の連載は5月号で一旦終了し、夏あたりから新連載の予定。なんとか一番いいカタチにまとまり、ホッとする。松沢みたいに連載の最終回でほぼ毎度雑誌とケンカする、というのはイヤだからなあ。その最終回のゲラチェック。それから昼飯。西武で買ったウナギメシに昆布茶をかけて、ウナ茶漬けにする。太田出版から環ちゃん(一度あいさつ交わせばマブダチ扱いは業界の基本だあ!)の『戦闘少女の精神分析』が届く。楽しみに少しづつ読もう。

 食後ひと休みして、ナンプレ原稿ゲラチェック送り、さらにこないだの『望星』のインタビュー原稿ゲラチェック。やはり人がまとめたインタビューは読んでいてジレること多し。すでに編集者が印刷所へ入っているので、そちらの方にFAX。これで何とかGW進行の第一陣は乗り越えたか?

 恵贈本のいくつかに目を通す。岡田斗司夫『人生テスト』。こういうの考えるのが好きなヒトだなあ。連載時の『人生の取説』の方が岡田斗司夫らしいいいタイトルだと思うが。同じく岡田斗司夫と、山本弘、田中公平の『回収』。日記に送ってきてない、と書いたら出版社からすぐ送ってきた。前作『封印』もそうだったが、読むと大阪弁文化圏に生まれなかったことがくやしくなる。悪口芸の本。データ本として読むべからず(笑)。それと、昨日やっと届いた鶴岡の『マンガロン』。これを読むと、いや、東京系の悪口も芸になり得るか、と思わせるほどテンポがいい。悪口芸、それも自分を含めた四方八方への八ツ当たり芸であって、自暴ではあるが自棄ではないあたりの案配がよろしい。

 頭のいい奴というのは悪口がうまい奴の別名だろう。評論などというのはつまるところ“上手に語られた悪口”に過ぎない。暴言しか吐けないのは馬鹿だが、悪口には才能がいる。いつでもどこでも同じ悪口しか言えない奴がいるが、あれくらいTPOを必要とするものはないのであって、ある場合には絶賛することが最大の悪口だったりする。その使い分けにはやはり天性のセンスが必要なのだ。人間というのは大抵、褒められたイメージよりも悪口で形成されたイメージの方がキラキラ輝いている。上記二冊で実名、匿名で悪口言われた人たち、あなた方、すばらしく輝いているよ。以て冥すべし。

 テレ朝から電話。某番組で取り上げたいテーマについて教えてくれというので電話口でしばらくしゃべる。どうも、向こうの持って行きたい風には結論がならないらしく、“××ということはないんですか”“何か○○をした人物がいる、とかいうことは”などとしつこいが、そういう記録がないものはない。いや、金でもくれるというなら、資料をどうにでも恣意的にネジ曲げてそういう結論を出してやらんこともないが(笑)。タダでそこまでやってやる義理もない。

 教えると言えば、某編集部から『美童記』という本について知らないか、という手紙が来た。江戸時代の美少年について書かれた本で、今から25年くらい前に出ていたらしい、ということしかわからない。残念ながらまるで知りません。誰か、ご存じの方、もしくはそれは私の著書だ、とかいう方がこの日記の読者にいらっしゃいましたら、私のところにメールください。

 札幌の母、こないだは“私が素人の浅知恵でパパを退院させてしまったのがよくなかったのよ”とか嘆いていたのが、今日電話したら“医者はしばらく預かります、などと言ってるけど、五月までには取り返すわ”と旧に復して意気軒高。もう親父の看病はあなたの趣味の段階だから、活かすなと殺すなと好きにしなさい。

 夜9時半、夕食。生麸のチンジャオ、豆腐とイカ天の煮物、柱飯。今日も鍋でご飯を炊いたが、ちと水加減失敗でシンがあった。いいかげん炊飯器を買おう。ビデオで以前録画しておいた『生き物地球紀行』と、昭和35年のニュースビデオ。12時就寝するが、夜中、体のあちこちがジンマシンの如くカユくなり、目が覚める。今日の柱飯に使った貝柱のせいだな、と気がついた。春の貝類は好物なのだが、なぜかこの季節に貝を食べるとジンマシンが出るのである。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa