裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

水曜日

うつの子に限って!

「そんな躁病的な行動をするなんて!」(母親・談)

※楽工社図版スキャン 朝日書評原稿 朝日送別会

今朝から母は札幌へ孫の顔を見に帰省。
10時近くまでそれをいいことにベッドでだらだら。
朝鬱、例によってひどいため。
どうしたものかなあ。

下半身に汗をかく。
寝巻きのズボンがぐっしょり濡れるほど。
まあ、これはいつものことだが。

起き出して、台所で朝昼兼用の食事。
ソーセージを炒め、パンにはさんでホットドッグ。
キャベツも炒めてカレー粉をふり、ソーセージの寝床に
する、藤原伊織風。

昨日送った楽工社原稿の引用部分ページ数が抜けていたと
いうので、どこだったか、と探すが、これが見事にみつからない。
薄い新書版の本だったが、2回、頭から読み返してみつからない。
3回目にやっと見つけてホッとする。
さらに図版をスキャンしてデータで送るが、これを保存したものが
何故かパソコン画面上に表示されない。
探し回る。まあ、そのおかげで、半年くらい前に、文書データが
全部消えた事件があったが、そのデータが意外なところに
保存されていたのを見つけた。

それらのドタバタの後、原稿書き。朝日新聞書評。
800字。半分くらい書いてから、冒頭のフック力が足りないと
不満を感じ、全部最初から書き直す。
3時に書き上げて、すぐメール。

その後雑用いろいろやって、6時過ぎ、銀座へ。
書評委員退任送別会。三笠会館へ。
今回退任の私、香山リカ、赤沢史朗、橋爪紳也、久田恵の5人が
挨拶。2年間、あっと言う間であった。橋爪さんは私との花丸対決が
二回連続であったのが一番の思い出、と。

本人の挨拶の後に、担当編集者からの一言があるのだが、
Nさん、
「唐沢さんの原稿は冒頭の一行が毎回凄まじく凝っていて、
さっきいただいた書評もやはり冒頭が傑作で、この冒頭の工夫が
毎回楽しみでした」
と言ってくれたのにちょっと感動。今日の原稿の一件があった
だけに。

佐久間編集長からこの一年の、各書評委員の書評冊数データが
呈示される。私が何とトップであった。一年に25冊。
一ヶ月2冊ちょい強。仕事したもの。
この二年で記憶に残るのは、一旦放出したものを、編集長(前)に
直訴して取り上げ、500字書評では奇跡的な内容量、と
編集のKくんに言われたブラックバーン『刈りたての干草の香り』
http://book.asahi.com/review/TKY200804220086.html
それからカニバリズム小説なのに、朝日の規定で“人肉食”という言葉が
使えず悲鳴をあげながら書いた『カニバリストの食卓』
http://book.asahi.com/review/TKY200809020153.html
といったあたりか。『カニバリスト〜』は書評委員の間で
「他紙にも書評が載ったけど、唐沢さんのが一番面白かった」
と言われてホッとしたものである。

三笠会館の料理はちょい本格なフレンチで、
オードブルがホワイトアスパラと魚介類のサラダ、伊勢エビのビスク
スープ、金目鯛のソテー、牛フィレ肉のミニヨン、イチゴのデザート。
なかなかおいしかった。

それから地下のバーに場所を移して二次会。
柄谷先生から握手求められる。
天児先生はじめ、有名大学の教授たちがかなりはしゃいで
笑い合っているのがなかなか面白い。
私の一生で最も大学の先生方と知り合い、話し合った2年間で
あった。

11時過ぎ、ハイヤーで送られて帰宅。
Nさんから、夕方に送ったのだろう、原稿のゲラが届いていた。
冒頭の一文、さてどんな効果が出ているか。

資料用読書などしつつ、ホッピーで酔いを調整。
2時ころまでうだうだと。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa