裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

月曜日

エホバしげれる

エホバしげれる勧誘の 里の輸血の夕まぐれ

※『黄昏モンスターズ』4回目 『くノ一大戦争』観賞

朝9時半起床。
45分朝食。バナナダイエット。おこんの小柳津くんから
野菜がどっさり届いていた。

リーマン破綻というニュース、かなりな大問題なのだが
どこか間が抜けて聞こえるのは、リーマンという社名の響きが
サラリーマンの自嘲的略称に通じるからか。
創業者のリーマン兄弟ってのはユダヤ人だが、ユダヤ資本の会社が
破綻するというのはユダヤ陰謀論者にとってどういうことなのか。
日露戦争時、日本の軍資金調達依頼に応じたのもリーマン。
その多額の負債を返済するために日本は中国に進出し、
ユダヤ人を虐殺したドイツと同盟を結ぶ。
歴史の皮肉。

昨日の二日酔いがまだ残っていて食欲ないので、昼は抜かす
ことにする。下北沢に12時入り。
毎日自分のお弁当を作ってくる佐藤歩ちゃんにおこんの野菜を
おすそわけプレゼント。

黄昏モンスターズ、4回目。ほぼ満席の入りで結構。
最後に妖怪たちが一人々々(で、いいのかな。一匹々々か?)、
ナナに挨拶をして去っていくシーン。
何でこのシーンがやたら好きかというと、『オリエント急行殺人事件』
のラストシーンを思い出すからだ、と気がついた。
あの映画のあのシーンについて、監督のシドニー・ルメットは
「セレブレイションが欲しかった」
と言っているが、まさにこの芝居のこのシーンがそれ。

しかし今日のお客さんはいいお客さんだったなあ。
ギャグにいちいちいい反応をくれる。
オノ・ヨーコの名乗りや吠えのところでも笑いがバンバン来ていたし。
あと、以前関係していた劇団にいたOが来てくれた。
やはり泣いたそうで、鼻の頭を赤くして。
ひさしぶりのお芝居だったそうだ。
彼女は本当に演劇が好きで、芝居に体当たりで、しかも声優学校で
発声の基礎を学んでいるので、セリフの調子を一音々々で調整
できる技術を持っている子だった。
そんな子があんな不幸な退団の仕方をしてしまった
(せざるを得ない状況に追いつめられた)ときに
私は何も出来なかった。これはいまだに私の中の悔いである。
それでも、退団以降、劇場のある近辺にはPTSDで
足を入れられなかったのが、私の関係する芝居で回復したのは結構。
二人目の赤ちゃんをお腹に宿して、笑顔が輝いていたのがとても嬉しい。

終って、今日は早々と帰宅。
原稿(リーディングの原稿)を書かねば、と思うが一字も書けず。
脳の疲労かなりのもの。
8時に放擲して、夕食、晩酌。
茹で鶏アジアン風(これはテレビの料理番組に招かれたときの
私の持ちネタ料理になる)を作り、黒ホッピーで。
で、京極さんから送られた仮編集(音がまだ完成していないので
仮に他のものが入っている)版の『吸血ゾンビと妖怪くノ一大戦争』
(山田誠二監督、京極夏彦編集・音効・ナレーション)を見る。
私の出番は全部一日撮りで同じ洞窟(に模した喫茶店の二階)で
撮影したもので、京極さんも苦労して編集しているなあ、と苦笑。
アクションシーンとかにも出演したかったが、
前日の京都が大雨で、ロケ予定地の地盤が緩んで撮影ができなく
なってしまったのであった。

そう言えば山田誠二監督の『化猫少女魔界拳』にも私はやたら
セリフの多い役で出演しているがこの作品、スペインの
シッチェスホラー映画祭で招待作品として上映され、
向うでDVDも発売されているとやら。
私の演技はヨーロッパのB級ホラーファンに見られているようだ。
うーん、微妙な気分。

京極さんに、これは仮編集版で門外不出とのことだが
明日の下北沢で一部上映していいか、とメール。
そしたら速攻で、
「正式な音の入ったものが今日届いたので、明日、特別編集した
ものを持っていきます」
との返事。
「京極さんともあろう人にそんな面倒は」
という常識人的発想と、非常識演劇人の
「やった、これは目玉になる!」
という発想が頭の中でせめぎあい、結局非常識の勝ちとなる。

11時にもう眠くなり、就寝。日が変わらぬうちに寝られるとは
何というぜいたく!

Copyright 2006 Shunichi Karasawa