裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

土曜日

ジブリも見えず雲もなく

鏡の如きアニメ界は曇り染めたり時のまに。
              (『宮崎駿奮闘録』)
朝10時過ぎまで寝ている。ゆうべは本当に久しぶりにヤバかった。やはり連夜の飲みすぎで体がやられている。2軒目の途中で記憶がアヤしくなるのはひどい。日記にこの2軒目をトルコ料理と書いたら海谷さんからネパール料理だと訂正が入った。しかもその後バーにまで行ったとある。一切記憶がない。変な汗もかくし、今日はアルコール抜き日と決める。

母が午前中出かけるというのでヨーグルトを分けてもらっていたので、そのヨーグルトだけで朝飯代わり。日記つけて、だらだらと過ごす。

昨日の日記に変なスパムのことを書いたが、その前日にも傑作なのが来ていた。『白液男優大募集』というタイトルで
※※
顔射のプロ 募集中(80名)
【1】20歳以上で健康体の男性
【2】0.5メートルの距離で15センチの的に確実に命中できる
【3】どんな体勢でも射撃可能 例:ブリッジ、三点倒立、
   全力疾走中等
【4】女子高生好き
【5】誰よりも早撃ちだ 
 
上記の条件を二つ以上クリアしている方であれば誰でも参加可能!!
拘束時間は1時間です。(顔は絶対に映りません。報酬は
一回につき10万円)
入り口:会員NO.99874KAZUMI
東日プロダクション
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“全力疾走中に顔射”というのが凄い。mixi日記にアップしたら“流鏑馬でしょうか”とレスがついた。東日プロダクション、というのをグーグルで検索してみたが一件もヒットせず。エロスパムであることはあきらかなのだが、こんなもので引っかかってクリックする人がいるのだろうか。

昨日橋沢さんから貸してもらったDVDであぁルナ『コムテツ』前半、見る。ミドリムシのセリフで爆笑。3時半、家を出て地下鉄で神保町へ。古書会館のぐろりや会古書市。久しぶりの古書即売会である。ああ、やはり落ち着く。この空間こそ自分のいるべき場所なんだなあ、とは思うが、しかしあまり買いたいようなものはなし。1時間ほどいて5000円チョイ。

でて、古書ソラリへ。ここも半年ぶりくらい。昔の遊園地のテーマソングのソノシートなどを買う。腹はそれほど減らず。小諸そばで冷やしたぬき。ここの蕎麦は立ち食い蕎麦にしてはうまいので有名だが、今日はこっちの舌の調子のせいか、あまりピンとこず。あと、某所でレトロエロ本などを買う。店を出たら女子高生がちょっと驚いたような顔をしていた。テレビで見た人がエロ本屋から出てきた、と思ったのかと、ドキリとする。まあ、そこは外観からはあまり露骨にエロ本屋とわからないのだが。

帰りの車中で、ちくま新書『ウェブ進化論』読了。各所でやたら評判の高い本ではあるが、グーグルの素晴らしさの喧伝などは以前からされていた説ではあるし、何か抽象的すぎ、“ロングテール理論”などは私のデビュー時からの基本業界戦略でもあるのであまり新味なし。

事務所で明日のと学会例会の発表物をピックアップ。7時、帰宅する。今日はわが家で植木不等式氏とマドを引き合わせ。マドにトンデモ本大賞のオープニング・ビデオを作成してもらうためである。母の室に行ったら植木さんと開田さん夫妻がすでに来ていて打ち合せ中。この打ち合わせは同人誌で開田さんたちが植木氏の未発表文集を出すため。

そうこうするうちマド、オノも来て、今度はそっちの打ち合せ。だいたい5分くらいで済み、後は食事会。王子のスモークト・サーモン、シーフードとセロリのバジルソースサラダ、香味野菜のゼリー寄せ、スープ二種類(豆とカボチャ)、ハマグリのニンニクソース、鴨のグレープ煮、ライスコロッケなどなど。植木さんはいちいち丁寧にメモをとっていたが、私は記憶で書いているので抜けがあるかもしれず。鴨の、普通はオレンジ煮なのをブドーでやったもの、豪華な感じ。ディアブロ(悪魔)焼きというやつで、上に重しを置いて焼き、脂や余計な水分を抜いているそうだ。

アルコール抜きと決めていたのでノンアルコールビールなど最初は飲むが、やはり料理があまりに赤ワインに合いそうなので、ちょっと飲んでしまい、完全アルコール抜きにはならず。もっとも、この数日連続の飲んだ量に比べれば文字通り、スズメのナミダほど。

話非常に盛り上がり、健康法論議やイワシの豊漁が赤穂浪士の討ち入りを歴史に残した論、時代劇の会話、ガメラの話、脱毛治療の問題点からペルーでは牛の血を吸わせたヒルを茹でて子供のおやつにする話などいろいろ。植木さんの持ってきてくれたベトナム焼酎ネップモイを飲んで、それまでおとなしくしていたマドが急に多弁、陽気になった。

11時半ころみな辞去、半身浴。浴槽の中でNHK新書『幕末単身赴任・下級武士の食日記』(青木直巳)読了。食に関する記録は読んでとにかく面白い。が、この本は資料をかいなでして説明を加えているだけで、資料の裏から浮かび上がってくる江戸の食生活に関する新たな姿への考察、といった知的興奮感に欠けて、ちょっと不満。これは著者のバックに例えば森浩一の考古学、石毛直道の文化人類学、小泉武夫の発酵学といった視点の基礎がないからだろう。所詮、食い物の話というのは通俗に流れがちなのである。その分、一般読者には面白い読み物だろうが。

上がって、冷えたコーヒー飲みつつ初めて自分の『ポケット』聞く。声は自分で言うのもなんだが落ち着いていていい。内容はもうちょっと練る必要があるなあ。さらに次回からはオトナ番組化を推し進めよう。海保アナのつなぎ、うまい! しかしこれは編集したI井Dのうまさかもしれない。しゃべったこっちが聴いてもちょっとどこをつままれたかわからぬ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa