裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

21日

火曜日

腑分けのコーヒー二人で飲もうと

 解剖実習のあと、つきあってくれない?(法医学教室でのナンパ)。朝4時ころ、目が覚める。ネット少し。こないだから本を買おうとしてamazon.co.jpにつなぐと、いきなりブラウザが閉じて接続が切れてしまう、という状態になっていたのだが、ついに書評を読みに行こうとするだけでオチるようになってしまった。どういうことか。日本橋ヨヲコさんによると、スクリプトとクッキーを切って入れば大 丈夫らしいのだが、めんどくさい。

 5時半頃再度寝て、7時起床。ずっと寝続けているより、一度早朝に起きて二度寝して起きたときの方が、“ああ、寝た”という満足感がある。これは就眠時に入る深いノンレム睡眠のサイクル(約90分)を消化して目が覚めるからだろう。入浴、朝食。酒粕ソーダ一杯(なるほど便通は極めてよし)、スナックエンドウ三、四本に焼きカボチャ小二切れ、トマト二切れ。セロリの冷ポタにクダモノ。量が少ない分、種類を豊富にして飽きさせないようという母心。もっとも、朝食というものは単調でも 意外と飽きない。儀式的な色合いが強いせいか。

 児玉さとみさんからこないだのくすぐリングスの写真がメールされる。斉藤さんのスク水写真がもう、ハアハアものである。8時15分バスに乗る。毎度いろんな人が乗ってくるが、今日は幡ヶ谷原町あたりで、白いブラウス姿の女性が乗ってきた。ここらからは韓国系の人が案外乗るのだが彼女もそれっぽい顔立ち。美人ではあり、しかも誰かに似ている。ハテ誰だろう、あの系列の美人とはあまりおつきあいがないのだが、と、しばらく考えたが思いつかない。彼女が降りる間際になって、あ、と思った。切れ長の目、ちょっと唇を突き出した感じの口の結び方、目鼻立ち“だけ”を取り出して見れば、村木藤志郎さんに瓜二つなのである。村木さんの顔立ちは美人にはほど遠いが、あの顔から目と鼻をとってやや線を和らげ、女性の輪郭の中に置けば美 女の顔になるのか。

 窓から外をぼんやり眺める。東京オペラシティの近くの高速の下に、男物の靴が二足、転がっていた。なんで靴が転がっているのか。ちょっと不気味。仕事場着、メールいろいろ。打ち合わせの件など。打ち合わせというのはうざったいこともあるが、 とりあえずテンションはあがるもの。

 雑用かたづけている間にもう昼。オニギリ一個。具はシャケ。普段はこれで夜まで楽勝で保つのだが、今日は何だかやけにもの足りず、ホンコン焼きそばを作って食べてしまう。1時、時間割。エイバックO氏、制作会社ワークスのS氏、I氏、K氏お二人。10月からレギュラー枠を持つテレ朝土曜早朝(4時!)の番組『鈴木タイムラー』の打ち合わせ。この番組の中に毎週5分間の、雑学コーナーを持つのである。携帯で雑学四コマを見られるサービスをやっているのだが、そこの宣伝としてO氏がとってきたのがこの番組のこのワク。当然のことながら予算もない番組だし、この時間帯で果たして宣伝になるのか? という疑問もあるが、とりあえず、後のDVD化などにも含みを持たせて、受けることにした。私のアシ枠があるので、おぐりゆかをそれに起用すれば、編集するだけで彼女のプロモビデオにもなる、という考えもあったので。で、最初にその旨をS氏に伝えたのが先月の30日。いろいろとそれから待たされて引き延ばされて、やっと本日、正式決定という運びとなった。待ったことか な。フー、である。

 話も少しスケールアップしていて、最初はワークスの会議室を使って撮影する、という話で、それはあまりにショボいから、講談社(『FRIDAY』が一枚噛んでいる)のスタジオ使わせてもらって撮りましょう、と話していたのが、BS朝日のスタジオを使える(ただし、ラジオの、だが)使えることになり、また、小道具その他もある程度は揃えられるというので、やや気分が軽くなった。DVDの話も、ちょっと最初の話と変わっているのであせるが、より大きな企画が進展しているらしい。アヤしげなところもないではないが、まず話は小さいより大きいのがよろしい。そこらへんはOさんにまかせる。ただ、単行本の形式など、例により“著者の”私が知らない話がゾロゾロ。O氏の悪いクセで、これは困る。きちんと打ち合わせを定期的に持つか、さもなければ、MLを作ってそこで報告するか、話がきちんと通るようにしてほ しいものだ。まったく、動くと急、というのがこのテの話。

 何はともあれ、便秘が解消したような気分でちょっと爽快になる。さっそく仕事場に帰り、スケジュールの件など、おぐりと土田さんにメール。自分の中でいろいろと今回の仕事をどう発展させていくかの企画をまとめる。3時、再び時間割に舞い戻って、打ち合わせ。今度は中野貴雄監督と。来年の中野監督の新シリーズ企画に、ちょいと協力。質問に答え、ツナギをつけられる会社や人物の名前を教える。監督からも向こうの業界の情報などを。某制作会社社長の愛人話などが抱腹絶倒。

 帰ってまたメール連絡いろいろ。さっきのエイバックとの打ち合わせで、一応相手側に話を通しておかねばならないことが出来たのだが、しかしそれもまだ詳細は未定である。未定とはいえ伝えておかないとイザ本決定となったときに相手の都合がつかないというようなことになり、目もあてられない仕儀になる可能性はある。しかしながら、未定のうちに知らせてこちらにある種の責任が生じると、なにしろセンミツなのがこういう企画の世界なので、大変な精神的圧迫を感じざるを得ないことになる。ここらへん、大いに悩むところだ。これまでも(つい最近も)それで大いに神経を痛 めている経験を持つのである。

 などと悩みつつも、図版資料送付の手続きなどという仕事をこなす。全部済ませてまたまた時間割にとって返す。一日三回、時間割というのは新記録ではないか。竹書房文庫の件でNさん。完成見本を見せてもらう。なをきのイラストを使ってかなり黒を強調(なにしろ『怪奇トリビア』などで)した装丁で、結構である。印税割り振り の件など。なかなか好条件。その他、次の企画の話などをいくつか。

 また仕事場に戻り、芦辺拓氏、旭堂南湖師、扶桑社山野氏などと、いくつか連絡事項メール。今日は連絡と打ち合わせばかりで原稿書きがほとんど出来ぬ日であった。タクシーで帰宅。築地食材の会2。S山、I矢、高橋のび太、電脳丸三郎太各氏。なぜかソーセージの盛り合わせが出て、それからマグロのタルタルステーキ、ハマグリのエスカルゴ風など。酒、みんなが持ち寄りいろいろあり。K子がワイン飲んでご機嫌となり、歌まで披露するほどだったが、私はもう、疲れでベロベロになってよく覚 えておらず。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa