裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

月曜日

『ファインディング・ニモ』に尾ひれをつけて話す。

 すごいんだ、魚たちが合体して巨大化するんだよ! 朝、グッスリと7時15分ころまで寝る。あわてて風呂に入り、30分、朝食。焼きカボチャ、ブロッコリの冷ポタ、バナナ、ナシ。ダイエット食のはずなのにこう書くと食い過ぎに見える。クリー ニング用のシャツとズボンを母に預ける。

 8時25分のバスで出勤。夏休みが終わって、またいつもの外人向け学校(幼稚園か?)に通う親子に再会するかと思っていたが、彼女たちの姿は消え、新しい親子が乗り込んでくるようになった。アメリカと同じ、秋に新学期が始まるシステムで、あ の子たちはもう卒業したのか。

 ビジネスマンらしい中年二人が携帯サイトのデータを見せ合っていた。まだぎこちないが、使いこなしているのは立派である。そう言えば昨日、と学会の二次会に行く地下鉄の中で、カップルが痴話ゲンカをしていたが、その原因が、男が携帯であるサイトを女に見せようとして、うっかり別の女から写メールが送られていたのを見せてしまったことらしかった。男の方はゆずの片割れみたいな、ちょっとナンパな感じの色男だったが、女性は、私が映画監督ならストーカー女の役にぜひ使いたいと思うような感じの顔で、どうしてこの二人がつきあうようになったのか、ちょっと不思議。女にとっては自分のレベルでこれだけの男を捕まえられたのは奇跡、という認識でいるらしく、とにかく顔を引きつらせ、必死の形相で、隠そうとする男性の携帯を押さ えつけて、その相手の名前やアドレスを確認しようとしていた。

 午前中は気圧乱れひどく、心身ともに全然動けず。午後になってやっとエンジンかかりだし、アンソロの作品解説書き始める。一本々々の枚数は短いが、それが15本もあるとなるとなかなか。昼飯のオニギリ一個、囓りながら。具はタラコ。

 エイバックO氏より電話。例の販促企画の話。実際にどういうところに着地するかはわからないが、かなり前向きな方針で行きますという感じの話。また、O氏にも、FRIDAYがかなり積極的に動くことを伝えているらしく、間接的にそのことを知れたのもよし。ただし最終決定というようなものはまだこの上になって先に延びる。 実にジレる。

 書いては送り書いては送りで、5時にやっと15本送り終える。すぐ竹書房Nさんからメール、入稿しましたとの報告。明日、あってゲラチェックなど含め打ち合わせすることに。扶桑社Y氏から電話、大阪のサイン会の件、それから『トンデモ本男の世界』打ち上げの件。ちょっと昨日の企画のことも耳打ち的に。メール、柳瀬くんからも。ちょっと彼の今、やっている仕事の件での相談。こっちもちょっと、いろいろ彼にやってもらいたい件、あり。打ち合わせの日取りを決める。北海道新聞のトンデモ本書評、担当が変わった時点での引継がうまくいかず、これまで放ったらかしみたいになって連絡取れずにいたが、やっと新担当からメールくる。不思議なもので、ひとつ、モノゴトは通りはじめると、連続してあっちもこっちも通りだす。

 雑用すませ、新宿経由で下北沢へ。少し早くついたので、新刊書店で買うものがあるので探すが、土地勘なく、書店がどこにあるかわからない。結局探し出せず。6時50分、また改札に戻り、村木藤志郎さん、土田さん、おぐりちゃんの三人を拾う。今日はちょっとこれからのうわの空関連企画の打ち合わせなので、久しぶりに『虎の 子』を予約したのである。

 キミさんに挨拶、ビールで乾杯。あと、前もってキープしてもらっていた『磯じまん』で、料理頼む。水ナスのサラダ(というか、生をただ切ったものに味噌をつけて囓るもの)、蛸と枝豆の梅肉和え、牛すじ煮込み、自家製スモークなど。村木さんは料理マニアで、自分で糠味噌漬けまで作る腕だが、スモークもやってみたいな、とここのスモーク(サバとカマス)を口にして言う。水ナスは、遅れてきた島さんが非常なる感心をしめす。おぐりはジャガイモのゴルゴンゾーラソースが気に入った様子。おいしいおいしいを皆連発するので私も面目をほどこすが、しかし確かに以前来てい た頃より味がアップしているような気が。

 お話はこれからの仕事の件。土田さんは私がうわの空に入れ込むことを感謝と共に申し訳ない、と口にするが、私は伊達や酔狂でここに協力しようとしているわけではない。ここの劇団を使えば金になる、と踏んで、商売として村木さんはじめみんなを“利用しよう”と目論んでいるのである。ただ、うわの空が好きなだけなら、毎月のライブと本公演に足を運んでいるだけでいい。うわの空は私の目から見て、十分に儲かる商品になり得るのである。もちろん、実際に金にするまでに、いくばくかの“お試し期間”がある。その期間はみなさんにもちと、安働きで我慢してもらわねばなら ないが。

 話はアイドル論から人物月旦、村木さんの演劇論にまで及んで、ムチャクチャに楽しく盛り上がる。飲むとついでくれるので、磯じまんが弾み、最後はかなりベロベロになってしまうが、まあ、醜態までは演じなかった……と思う。村木さんがこちらを心配して、“タクシー拾いましょう、タクシー”と、車中に押し込んでくれた。12時近くに解散。家に帰りつくと何故か適度に酔いも醒め、歯を磨いていたK子と無駄話などして、シャワー浴びて寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa