裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

月曜日

溶けたニオブにゃ未練はないが

 冶金業界向け駄洒落。朝、7時半起床。朝食、貝柱粥と梅干。果物はスイカ。昨日二度も買い物に出ていながら、牛乳を買っておくのを忘れたのでブラックコーヒーとなる。K子が、こないだ書いた講談社原稿は前とネタがカブってないか、と言うので不安になって、以前の原稿を見直すが別にカブリはなし。昔、アスキーで同じ場所に取材にいったことがあるので、それとゴッチャになったらしい。最近、ボケの徴候か人の名前などド忘れすることしょっちゅうで、ついに原稿でまでやったか、とドキリ とした。まずホッと安堵。

『クルー』原稿、執筆にかかる。ネタ拾いに書庫に行って、ここらにありそうだが、と思って当たりをつけたものをパラパラ。勘は確かで、一発で最高のネタにあたる。こういうときの原稿は書いていて実に気持ちがいい。1時半までかけて400時詰め2枚半相当のコラム一本。書き上げるのに45分、字数調整とそのあとの文の形をととのえるのに1時間。送り終わってふうと息をついてサイト巡回。山本弘会長の掲示板が、会長の病気を理由にもう何日も閉鎖中。そう言えばこないだの例会で咳をして いたが、大丈夫だろうか。ちと心配になる。

 昼は昨日の残りの冷や飯でカレー。いつもは温めた飯に冷えたカレーをかけるが、今日は念願の、というのもオーバーだが冷や飯に温めたカレーという組み合わせ。やはり、この組み合わせで食べると、昔ながらの昼のカレーの味がする。食べ終えたころに、知人某氏から電話。ずいぶんとソッケない感じで“なんにも連絡がないもんでかけてみました”とのこと。私がいろいろ世話をしたこともある人なのだが、ちょっと前、この人から金銭的なことで頼まれごとをし、その時電話口で一応無理っぽいとは伝えたのだが、くりかえし頼まれて、向こうの窮状も知っている身として、じゃアどうなるかちょっと算段してみます、と言って切った。それから、いろいろあれこれやってはみたのだが、某氏の頼みの額というのがちょっとまとまったもので、現在、うちは会社組織であり、金はあっても自分の自由には出来ぬ身、しかも金の出もとを握っているのがK子、という、とても協力は出来ない状態だった。相手が期待していると思うとかえってなかなか電話も出来ぬまま、時間がたってしまい、しびれをきらして電話をかけてきたらしい。やはりどうにもならんので、と恐縮しながら言うと、イヤ、もう結構です、私も新しい仕事が決まりましたし、と言う。その件で某社の雑誌のインタビューも受けるらしい。じゃあこちらの方でもマスコミなど紹介しましょうか、と言ったら、“イエ、こちらでやりますからいいです、では”と、切られてしまった。どうも徹底して信用をなくしたらしい。向こうの都合で頼み事をしてきて、それに応じられぬからと言って信用をなくすのも不条理な話だと思うが、確かに力に なれなかったことは事実。受話器握ってハア、とため息をつくのみ。

 4時、時間割にて村崎百郎さんと月例社会派くん対談。今月はおいしいネタ満載で話もはずむ。時代劇大ゴケの話題で、“大河ドラマの『武蔵』も歴代最低視聴率記録更新か、と言われているけど、アタリマエで、今のブームは『バガボンド』ブームであって、決して武蔵ブームじゃないんだよ。もっとも、武蔵ブーム便乗すら考えられずに武蔵に長塚京三なんかキャスティングする『魔界転生』はバカ以下”なんてことを話していたら、編集のK田くんがシーッ、と言う。ひとつおいた席で、NHKの脚本部らしい人が三人、『武蔵』のシナリオを前にして、ああだこうだ、ここで母とめぐりあうというのが……などと話し合っていた。たぶん、テコ入れ会議であったのだ ろう。久しぶりに、もう一人の担当のK瀬氏も顔を出す。

 対談最中に談之助さんから携帯に電話。日暮里サニーホール下見の件、それから何と、会場賃貸料のことでちょっとトラブルありとのこと。銭金のことはシャレでないのであわてる。対談終わったあと、すぐMLにメール。明日のスケジュールをちと変更の依頼、いくつか。それから声ちゃんにもメールしておく。間際まで、まったく気がもめることである。しかし、いろいろ作業しながら、今後のと学会活動について、ちょっと企画というか計画をぼんやりと思いつく。原稿書いているうち、かなり大きめの地震。急いでテレビつけて、地震番組ずっと見続け。

 9時半、家を出て大久保、久しぶりにグリーン食堂。K子とみなみさんがフィン語終えてここで食事というので。開田夫妻もまじって、盛大に犬鍋を食う。コンドロイチン分に飢えていたこともあり、巨大豚足、ネギチヂミ、犬鍋、それから生豆腐鍋、ともに大変おいしい。あやさんから自家製梅干をいただく。これでまたお粥が旨く食べられる。ワイワイと話していたら、なんとロフトの斎藤さんが入ってきた。近くの銭湯に行こうと思ったら、何かカラサワさんとK子さんの声が聞こえたもんで、という。やはりわれわれの声ってのは通るのかしらん。犬鍋のあとの雑炊、それから水冷麺でシメ。飽食の満足感。冷麺、以前のここのは水キムチの汁をそのまま使ったような感じだったが、コクのあるスープをそれに足したような味となる。おいしいが、何か幸永の冷麺と似た味のものになった。最近の韓国ではこれが流行りなのか?

Copyright 2006 Shunichi Karasawa