裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

火曜日

犬の拳闘っす三世

 1198年ローマ法皇となり、法皇権の絶頂期を現出、コンスタンチノープルに動物の見世物を広めた。朝、やたら強烈な胸焼けで苦しむ。昨日、三人で二本、ワインを空けたせいか。7時15分起床、朝食は発芽玄米粥と梅干。果物はサクランボ。朝を粥食にしたためか、体重が1キロ減った。このままこれでいけばいいのかも知れないが、豆食のときもそうだったが、だいたい数ヶ月で飽きる。

 服薬、日記つけ、入浴、歯磨き等々如例。もうないと思っていたブッカー社の歯間磨き、最後の一本がまだ箱に残っていた。まあ、国産を使い出せばすぐそれに慣れてしまうのだろうけれど。天候、不順。気圧大きく乱れて、仕事にかかるも集中度ほぼゼロといった有様。と学会ML、一般会員の皆さんからも会の進行の改善案続々、ただ続々すぎてまとまらない気も。発表者に発表時間を守らせるためにカウントダウンタイマーを備え付けたらどうか、という意見の中に、某学会ではおそらく会場の大学の備品と思われるオーブントースターが使われていた、という書き込みがあった。タイマーはゼンマイ式なので、電源を入れないでも時間がくるとちーんと鳴るのだが、いかめしい学会の席に使い古されたオーブントースターが持ち込まれ、係がいちいち そのタイマーをセットしている図を想像すると妙に可笑しい。

 ロフトプラスワン斉藤さんから電話。嶽本のばらさんと対談しませんか、というような話。あと、8月に紙芝居やりましょうとの件。アスペクトの日記本のためにいろいろ作業。調べていくうちに、この日記、意外なところで意外な人に読まれているという例がいくつか出てくる。浅草キッドの水道橋博士が読んでいる、というのにはオドロイタ。例の『戦場のピアニスト』論争の際の私の論に賛同してくれている。しかし、“長老”って、どの世界の長老であるか? 柳家金語楼が喜劇界の長老、長老と呼ばれることに対し“人をチョーローした話だ”と怒っていた文章を昔、読んで笑っていたが、自分がそう呼ばれる歳になろうとは。
http://www.asakusakid.com/diary/0302-ge2.html

 昼は冷凍庫のラム肉を炒めてジンギスカン。肉の量が少なかったので、ほとんどモヤシ炒め定食。2時、家を出て、小田急新宿駅西口で声ちゃんと待ち合わせ。と学会東京大会のポスターを託し、まんだらけに貼ってもらうようお願いする。それから地下鉄丸の内線、半蔵門線を乗り継いで(赤坂見附駅での乗り換えの延々と歩かされるのに閉口した)、神保町カスミ書店。6部ほど託し、存じ寄りのところに貼ってもらえるようお願い。明倫堂、大雲堂などちょっと寄って(何も買わず)、三菱銀行のク イックコーナーでどどいつ文庫さんへの振込みをして、帰宅。

 カスミ書店を出たあたりでお天気雨のかなり強いのがバラバラとあった。濡れずにはすんだが、気圧は乱れに乱れて、体が鉄アレイをくくりつけられたように重い。たまらず、新宿に行き、マッサージ頼む。ここ、経営が変わったことは前に記したが、それまでは若い女性店長だったのが、阿部能丸くんが老け役をやっているような感じのおじさんが店長になる。たぶん、親会社の某ホテルから左遷されてきたのだろう。まだ慣れていないせいもあるが、いかにも使えない、という風で、サウナの後、人が冷水浴している浴室内にいきなり入ってくると、テスター使って隣のジャグジー槽の水質チェックをはじめた。そういうことを普通客が入っているときにするか、と呆れる。マッサージはいつも軽めにしかしてくれない、気の弱い男の先生。しかし、揉まれているうちに失神、という感じでオチる。やはり体力が極端に落ちていたらしい。

 開田さんから、食事を誘われていたのでそこに直行の予定だったが、携帯に遅れると連絡が入ったので、一旦マンションに帰る。共同通信のネットニュースで、埼玉の小学校校長(58)が、生徒に『ドレミの歌』の替え歌で
「ドはどくろのド、レは霊柩車のレ……」
 と歌って、“シは死人のシ、さあ死にましょう”とやって問題になっている、という馬鹿々々しいものがあった。しかし、ここまで歌詞が書かれていると、全曲知りたくなる。共同通信はそこらが親切でない。朝日の方を見たら、
「ミはミイラのミ、ファはふぁかば(墓場)のファ、ソは葬式のソ……さあ、死にましょう」
 と、いくぶん詳しいが、死にましょうが死人のシにつながるということを言っていない。大体、どっちにも書いてないがラがなんだったのか、非常に気になる。ファがふぁかば、というのも苦しいが、ラで始まる縁起の悪い言葉を考えたものの、ちょっ と思い浮かばない。果たしてなにか。文字に出来ない例の病気か?

 8時、雨はほとんどやむ。渋谷細雪でK子、開田夫妻、原口智生氏と会食。原口氏の新作映画『跋扈妖怪伝 牙吉』のことから、映画で使われたガトリング砲の歴史のことになり、今の日本映画の悲惨な状況のことに及び、さらに樋口真司、品田冬樹両氏のうわさばなし。ひごろ無口なイメージの原口氏が、今日は映画があと音楽を残すのみになったせいか、ハイになってどんどんしゃべり(6年前にガイナ祭で対談して以来、初めておしゃべりなこの人を見た)、それがまた辛口月旦ばかりで、あやさんが大喜びしていた。腸詰、揚げ餃子、レバ唐揚げ、馬刺、台湾奴、ビーフン炒めなどなど。生二杯、紹興酒男三人でボトル一本。立川流前座の試験が今日だったが、結果はどうなったか、という話も出た。帰宅して調べてみたら、談修のみが合格とか。破門とか再試験とかということ自体が、談志の気まぐれ以外に意味がないと思えて仕方ない。

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