裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

11日

月曜日

若い夢をドスパソスドスパソスドスパソス

 サインはU(SA)。もちろんジュン・サンダース追悼ダジャレ。しかし、改めて聞いてみると名曲だねえ、この元歌。作曲の三沢郷という人は他にも『ジャングル黒べえ』『ミクロイドS』『デビルマン』『エースをねらえ!』などの主題歌で、子供向けにしてはかなり難度の高い(歌うのに技術を要する)名曲を作っていて、これも文字通り第一次オタク世代を“作ってきた”人なのだが、ナニを思ったか突然作曲家をやめ、アメリカに渡って映画俳優になってしまった。

 朝、8時起床。朝食、K子にマッシュポテト炒め、私はコンソメスープとロールパン一個。日記つけ、洗顔、入浴、歯磨如例。岐阜県薬剤師組合のKさんから見事な富有柿が届く。もう岐阜で講演したのは三年も前のことだというのに、いまだにこうして毎年送っていただくのは恐縮。

 髪が伸びすぎて、うつむくと口の中に入ってくるようになった。考えてみると、最後にヘアカットしたのが8月のコミケ前である。なんだかんだそれから忙しく、切る暇がなかった。鬱陶しくなっていたので、カットサロンを予約。“しまった、だったら朝、洗髪しなきゃよかった”と言ったら、K子が“ケチくさ〜”と呆れた。しかしこういうときってくやしいではないですか。

 札幌の薬局にクスリを注文していたら、K子のところに豪貴からメールで、“カルシウムの摂りすぎ(カルシウム製剤を頼んでいた)は脳溢血になりやすくなる”と注意があったそうである。親父がそれで倒れたものだから、私もそれで倒れるとみんな思っているらしい。私は体質としては父より祖父に似ているので、80近くまでは大丈夫だと思っているのだが。

 12時に出かける。若いヒゲ面のあんちゃん、ではない先生が担当してくれる。私の格好を見て、カタギでないと見たか、“お仕事なにやってらっしゃるんですか”と訊いてくる。“ものを書いてる”と答えたら、“へえ、何に書いてらっしゃるんですかあ”と好奇心示してくる。ちょうど目の前の鏡台のところにモノマガジンがあったので、“これとか”と言う。そうしたら“わっ、マジすか。見ていいですか”と言って手にとり、私の名前を見て、“わっ、ホントだ、凄いナー”と、何が凄いのかわからないが、えらく嬉しげにキャッキャと喜んでくれて、そのあとずっとニコニコ笑いながら髪をやってくれた。6500円。

 カットハウスを出て、その足で銀行へ。入金(ずっと誤って引き落とされていた金の返金)を確認するが、まだ入っていない。おかげで、カードの支払いのときに残高が足りなくなり(会社にしてからこの口座はクレジットの引き落とし分ギリギリだけを入れているので)、カードが今日から失効してしまう。腹立たしい限り。カード会社に電話してその旨を伝え、明日、別途振り込む算段をする。

 帰宅、昼飯。昨日の残りご飯一・五杯。メザシ、コブツクダニ等で。いただいた柿を食う。甘さは大したものだが、まだ固い。もう少し置いて柔らかくなってからが食べ頃だろう。今後の仕事のスケジュール立て。飛び込み原稿依頼一本、TBSからのスケジュール確認一本。昨日やりかけた仕事机まわりの整理を、やってしまおうと決意。細かにやっていると絶対片づかないので、大雑把にザクザクザクとやる。資料用に買って、もういらない本もどんどん出てくる。霊験あらたかで、探していた本も、まったく記憶になかった場所にまとめてしまいこんでいたのが見つかる。早川書房A氏から、電話で写真図版のこと相談。K子からも電話、その後やっと振り込み、あったとのこと。

 8時、『船山』で夕食。五周年記念のコースを宣伝したら、先週は忙しくて忙しくて目が回りそうだったとのこと。今日はまあ暇だが、それでも私らの前に女性客5人連れ、後で同じく女性客2人が来ていた。女性をねらわなくてははやりこれからの飲食業はダメであるか。先付の白子ポン酢、烏賊の刺身、がふぐの唐揚げ、甘鯛のかぶら蒸し、そしてしらすとイクラの小丼、いずれも絶妙濃厚芳醇甘美たる味で、舌上に乗せてうならざるはなかったが、だが、いかにも女性向きにコンパクトで、食べたあと“ああ、これをもう二鉢くらいもらえたら”と思ってしまう。

 五周年記念ふるまい酒ということで、加賀の菊姫という蔵本の銘酒、菊理媛(ククリヒメ)の11年ものというのを猪口に一杯づつ、もらう。端麗な酒である。一升が5万円という高級酒である。菊理姫と言えば昔、オカルト関係者たちといろいろつきあいがあったときによく耳にした名前である。天の支配神である菊理姫命と、地の支配神であるガマ竜王とが合体して、この世の建て直しに動きはじめられました、いまこのお告げがあったので、すぐカラサワさんにお伝えしなくてはと思いまして、と夜中に電話してきた人もいたな。

 ところで、この蔵本・菊姫のパンフレットを見せてもらったら、その最後に、ここのテーマソング(?)が楽譜付きで載っていた。『菊姫大頌歌』というタイトルも大仰でいいが、一番が造り手篇、二番が飲み手篇、という風にあって、四番が“大酩酊 篇”とある。一番は
「寒さ身に沁む冬の夜育つ麹に添寝して仕込むいのちの酒造り杜氏の心知るや君ソレ男酒ヤレ女酒いとしや加賀の菊姫」
 という、まあ普通の歌詞なのだが、四番が酩酊篇だけあって凄まじい。
「酒は世界の合い言葉 西も東もあるものか いざこいバッカスウロボロス どっこい意地の飲み比べ ソレ男酒ヤレ女酒 ハレルヤ加賀の菊姫」
 というもの(記憶で書いたので“どっこい〜”の段はあやふや)。“いざこいバッカスウロボロス”なんてのは日本酒の歌としたって滅多に書ける歌詞じゃないと思う(大体、ウロボロスというのは酒に関係あるのか?)。CDになってないだろうか。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa