裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

11日

月曜日

ダッチワイフ天満宮

 お参りすると夜の学問に強くなります。朝7時半起床。朝食、オニオンスープ、モンキーバナナ。大エンタテインメント、鈴木宗男証人喚問でワイドショーもちきり。街も人もみんなワクワクして、何か闘牛の日みたいである。ここまで騒ぎが大きくなると、もう本質はどうでもよくなり、後はイベント性の方が強くなる。問題を本当に解決するのにはこれは実はあまりいい方法ではないのではないかと思うのだが、今の日本ではマスコミが騒がないものはそもそも国民の大多数が知らない。ムネオくんもここは開き直っていい牛役を演じていただきたいものである。せめて政治に娯楽性くらいは期待したいではないか。

 メール十通近く、仕事関係。いずれも返事したりなんだり。神田陽司さんからも来場のお礼とリンク依頼。先日の会のアンケートに“あれでは大石はテロリストではなくロマンチストだ”とあったというのは書きやアがった、という感じでよし。植木不等式氏からも『恐竜・怪鳥の伝説』のお礼メール。氏の日記を見たら、私がこないだ呼称した“食い過ぎ日記”がサブタイトルとして記載されていた。恐縮ではあるが大笑い。この上はクイスギ謙信と名を改め、“毘”ならぬ“胃”の旗印をかかげてグルマンディーズ(大食い)界の天下統一を目指し、突き進んでもらいたい。太り過ぎには注意して。

 昨日、二行書き残したタイムボカン原稿を書き上げて送る。それから海拓舎原稿。やりながら証人喚問をテレビで見る。能率がはなはだしく落ちるが、見ないでいるのも気になって困る。まあ、大体予想通り。鈴木宗男も小物、野党の方の質問もまるで迫力不足。共産党の佐々木憲昭って人は、と学会のグッズ担当のSさんに似ているなあ、というくらいの感想しか浮かばず。最後に煽るだけ煽って、何とか鈴木氏から感情的発言を引き出した辻元清美議員が、一番パフォーマンス政治というものをわかっているという感じ。もちろん、イヤなパフォーマンスだが。

 12時、五穀ごはんにサバの味噌煮、根深汁で昼飯。缶コーヒー飲んで仕事続行。アスペクトのK田氏から催促が入り、あわてて『ウラグラ』ゲラに赤を入れ、FAXする。3時、時間割。廣済堂出版Iくん。エッセイ集刊行用の未発表原稿一束を手渡す。それから雑談しばし。雑文ライターというのはコストパフォーマンスが非常にワルいです、というような内容。まだ私などは一応、景気よかった時代からの人脈も信用もあるからいいが、これからライターになろうという若い人は、仕事が来るのをただ待っていては餓死するだけだろう。自分で企画・構成・取材・編集までこなせる能力と、なにより営業の才能がなければ生き残っていけまい。文章力ははっきり言って邪魔である。いや、無くていいわけがないのだが、なまじ文章がうまいと、ソッチの方のプライドが今の我が身の不遇感に耐えきれず、この仕事を続けていく気力を失ってしまう。下手でもバイタリティがあり、あちこち業界を駆けずり回り、時には編集部に自分から仕事を世話していくような、そんな人物が必要なのだ。これを要するに文章業界では、今、一番鈴木宗男的な人材が求められているのである。

 帰宅したらフィギュア王からメール、タイムボカンの方でない連載原稿がまだ届いていないとのこと。しまった、字句にちょこちょこ手を加えていてメールするのが延び延びになっていた。大急ぎで送信。ワープロソフトが何回かフリーズして、非常にイラつく。パソコン通信で警告が出まくりなのもずっとそのままだし、一度総点検してもらう必要がありそうである。海拓舎、H社長から電話あるが、結局本日は出せずとなる。トホホ。

 8時、船山でK子と食事。春のコースとかでいろいろ出るが、刺身がとにかく美味でうなる。どういうものか、最近刺身依存症のように突如刺身が食いたくなるのである。特に真鯵が甘くて歯にプリプリとあたり、食べていてむーと鼻を鳴らす。酒はあまり飲まずにメシに専念。それでも帰宅時には眠くなって困る。仕事でエネルギー使い果たしているのか。(株)東京文化研究所社長兼経理部長のK子から、初の経理報告。ノーザンクロスからの印税がもう入った。最短記録である。驚いたが、正直なところ、大変に嬉しかった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa