裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

木曜日

ホテル・カマホルニア

新宿二丁目のラブホ。

朝6時半起床、寝床で読書(太田典礼『日本産児調節百年史』)。7時半入浴。9時朝食。ピオーネ、黄リンゴ。ブロッコリスープ。『特ダネ!』でACCのCM大賞のブロンズ賞だかをとった関東地方限定の女性通販雑誌『セレクトビューティー』のCMをフルバージョンで流していた。

母親が急死した通夜で形見の首飾りの争奪戦をする姉妹。姉(だか妹だか)が片一方を突き飛ばして奪い取るが、すると棺桶の中から死んだ母親が現れて、娘に頭突きをくらわせ、首飾りをうれしそうに自分の首に巻く。親戚の伯父さんが田舎訛りまるだしで
「女はいくつになっても自分を美しく見せたいもの……」
と雑誌の解説をする。
http://www.credi-world.com/credi_hp/backnumbar/2006/060721_cm60.html#60
↑ここで見られる、はずなんだが何故か開かない……。

昼まで、ずっと講談社『モウラ』原稿。ネタ本はゲイ雑誌『さぶ』。
「パーティ用の金・銀色のロウソクでSMプレイをしてはいけない。ロウの中の金属紛が熱せられているのでやけどをする」
 などという雑学に笑う。必要な人には必要だがそうでない人には全く必要ないトリビア。

執筆途中でK子が仕事場から帰る。亭主の机の上に『さぶ』が転がっていて家庭争議にならない家も私の家くらいではないか。10時過ぎ、完成する。今日はこのあと、打ち合わせ三本という凄いスケジュールだが本当はさらにそのあと文サバのはずだった。11月は水曜の開講になったのでまず、助かった。10時、原稿アゲて編集部とK子にメールする。

11時、早いが弁当(新潟でファンからいただいたお茶漬け用シャケ)使い、渋谷へ。11時半に事務所に到着、NHK(相変わらずここは真向かいなのに電波状態が悪い)で佳声先生出演の『いっとろっけん』を見る。45分頃からの出演。うーん、前半の森下正雄さんに時間の多くをとられすぎ。まあ、あっちの方がNHK向き(闘病、街頭での昔ながらの形での上演、弟子との関係など)ではある。それでも、ちゃんと恵比寿での口演のことの告知もあった。

12時にロビーで待合わせ、の筈だったがオノから電話、半に延びた。25分くらいにロビーに降りる。ヒロックス・エンターテインメントU氏たち三人と、TBSテレビ『ワナゴナ』出演打ち合わせ。マンション下のベラミ(こないだYくんと入ってここが案外便利なのを覚えた)で。

この番組、中川翔子ちゃんの司会で、毎回ゲストを呼んでそのゲストの発案のいろんなものを作っていく、というコンセプトのものだそうな。じゃア紙芝居を、と思ったら、紙芝居は前回にもうやられていた。じゃあ、と次のアイデアを考えるが、向うが私の日記を読んでいて、なかなか面白げな企画を出してくれる。すぐノって、
「あ、いいねえ、じゃアこうやって、ああやって、あの人連れてきて、そこでこうで」
と、オチとその先までだだーっと話すと、向うも大ノリ。なんとマネージャー氏、
「半田健人を出しましょう」
と言う。アレ、お芝居の稽古があるンじゃなかったの? と訊くと、ちょうどその収録日だけ空いているそうだ。なんとも気前のいいことだが、かなりこないだのラジオが気に入ってくれているらしい。

いろいろ助演が必要になり、それならレイパー佐藤さん、橋沢進一さんも使おう、と提案。一回の打ち合わせで番組の大体の骨組みが決まってしまう。
「打ち合わせがこれだけ盛り上がれば絶対面白い番組になる」
と向うもいうが私もそう思う。ここ一年くらいでもっとも盛り上がった打ち合わせだった。

『ベラミ』を出たらそこにNHKのUさん。しかし、いくら勤め先と向かい合わせだとはいえ、彼とのバッタリ度の多さはすごい。何か縁があるのか?事務所に一旦戻り、30分もしないうちにまた出る。今度は時間割で、通販生活H氏と広島のインテリア関係株式会社社長、A氏。私のプロデュースで抱き枕を製品化する、という企画である。あ、もちろん抱き枕とは言っても一部オタ諸氏の溺愛するところである、特殊な萌え系枕ではない。為念。ベルリンで見かけた子供用抱き枕の話からはじめて、快適かつ現代人に受け入れられる抱き枕とはどういうものか、についていろいろとダベる。熱心に二人、聴いてくれて、それを元にまず、デザイナーにデザインさせるという。こういう展開、ちょっと面白いな、と思う。

また事務所に戻り、また30分たたずに事務所を出る。コマ落としで撮影したらさぞ滑稽に映るだろうと思うくらい。今度はオノと一緒に明日の『ポケット』収録打ち合わせ、時間割に入ったら、さっきのH氏とA氏、まだいろいろと打ち合わせしていた。

明日の橋沢/渡辺のいい声コンビの回と、その次の杉ちゃん&鉄平のコンビの回の打ち合わせも。私が来週はほとんど打ち合わせ時間取れない状況だからという理由で二回一緒くたに。例により、とりとめなくフックになりそうなコトバをポツポツと出し合い、焦点を定めていきながら、ある時点で“ソレダ!”というものが見つかると急速に収束していく。そう言えばオノもイニャワラさんの奥さんも『セレクト・ビューティー』のCMを朝、見ていた。

無事なんとかテーマ(らしきもの)決まり、デハ明日、と別れ、事務所に戻る。橋沢さん、レイパーさん、共に出演OK、幸先よし。出社していたバーバラ拾って、そこから新中野のわが家へ。母の料理につき、ある企画があって、バーバラと、とりあえず母を引き合わそうという食事会。

マドとも落ち合い、7時半、マンションへ。母のmixiの調子悪いのをマドに見てもらう。かなり苦戦していたが、なんとかなった(と、思ったらやはりダメだった)。

料理はスモーク・ペーパーを使った帆立の燻製(かなりいい出来)、レバーペーストのテリーヌ(風)、長芋とバジルの生ハム巻きがオードブル、それから頬肉のシチューと南瓜のニョッキ、牡蛎のピラフ、プロシェットとチーズとルッコラのサラダ、などなど。ニョッキが絶品であった。清流出版さんからいただいたワイン(赤・白)を開ける。それから芋焼酎『黒』(すこぶるうまし)、最後にデザートで出たオレンジのクレープシュゼット(大人気)を肴にテキーラ。11時半までワイワイとやって、母もごきげんで話はずみ、よき夜であった。自室に戻り、メールチェックのみやって就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa