裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

8日

木曜日

ザルカウィ農村

追悼記念ダジャレなので苦しいなどと言ってはイケナイ。

苦しいと言えば、昨日の日記タイトル、最初思いついたのは
「性どうなとせい障害」
だったのだが、“どうなとせい“という言い回しがすでに死語ではないかと思って、シャレ的には落ちるがどうにでもせいと置き換えた。いろいろ苦労するのである。

7時起き。外はどんよりだが時折まだ陽もさす。入浴してメールチェックその他。9時朝食、セロリとカブのスープ、スイカ、キューイ。読売新聞に大東両先生の訃報記事あり。ちゃんとガンダム紙切りのことも載せている。この先生の本当に貴重な持ち芸に後ろ手で紙切りをする“座頭切り”という芸があったという。こっちはビデオなどに残っているのだろうか(元・談号の雷門幸福のHPにありとの情報がmatuさんから寄せられた)。

本日は午前11時から仕事場でNIKKEINETインタビュー。と学会のmikipooさんの紹介仕事で、某社のコンパクトスキャナーを使用してのコメントをK子と二人、夫婦でインタビューされるというもの。

K子は先に仕事場(中野の)に行き、そこから。私は10時半、家を出てタクシーで渋谷へ。降りたとたん、東武ホテルから打ち合わせ終えてやってきたK子と取材班一行に出会う。なんと総勢9人という大所帯。NIKKEINETの人、取材ライターさん、スキャナーのメーカーの人、編集プロダクションの人、カメラマンさん、なんだかよくわからない人、などなどなど。仕事場には座る椅子もない。オノも驚いていた。

さっそくK子のモバイルにスキャナーをつなぎ、デモに入るが、なかなかモバイルがスキャナーを認識しなくてメーカーの女の子がちょっとあせる一幕もあったり。その間にわが家のニューメディア機器類導入の歴史を話したり。
「こんな関係ない話ばかりですいません」
というとライター氏、
「いえいえ、とんでもない。モデルさんなんかをインタビューする仕事ばかりやっていると、こういういろいろ話してくださるインタビュイーは大助かりです」
と。本などをそのままスキャンすることは出来ず紙モノだけなのだが、表裏スキャンを一度でできて、画像として取り込んだものの中から文字を読み取ることもできるという。古ビデオコレクションのパッケージジャケットのスキャンにいいのではないかと思い付き、やってみるとなかなかいい。読み取った文字から“監督”“出演”などでチェック、整理することも可能という。これは便利ですねえ、と言うと、これで記事がまとまる、とみんな拍手。

12時半ころまででインタビュー終了、嵐が去ったようにみな帰っていく。それでも応接テーブルが用意された後だったのでまだよかったが、早く事務所の上フロアだけでも事務所らしく整理しないと。

事務所でひさしぶりに弁当、牛肉のオイスターソース炒め。『男の部屋』原稿をガリガリ書く。最初に頭の中でまとめた内容とは書いているうちにかなり違うものになったが、かえって面白いものになったのでOK。

そこで2時。肩が凝ったのでタントンに行く。曇天、極めて空が低い。ポツポツといつ来てもおかしくない。揉まれながら半分意識を失っている。

帰宅、催促電話数件。河崎実監督から電話がインタビュー中にあったというが、それきりかかって来ず。5時に出て、『コムテツ』稽古。目黒油面住区センター。向田邦子が子供のころ、この油面の尋常小学校に通っていたという。アブラメンとはユニークな地名である。調べてみたら昔、ここらは菜種油の生産地で、祐天寺などに灯明用の油をおさめるため、業者への税を免除されていた。そこで“油免”と呼ばれていたのが地名となり、やがて免が面の字に変わり油面となった、ということだが、そんなことを地名にするかフツー、という感じである。しかし、さすがに中野だの新宿だのと違い、目黒は歩いただけで昔ながらの東京、という感じがして気分がいい。

稽古、私が明日と明後日参加できないので、私の演じる役柄から立ち稽古、始める。役づくり、まずまずと橋沢さんに認められた。乾恭子ちゃんのアドリブのヤケッパチ的凄さに驚嘆。この子は狂気が演じられる。ついつい、まだ役になりきらずに三分がカラサワシュンイチの目で見てしまっていて、アドリブにボケで返すこと出来ず。私と同じ客演の原田明希子さんのブリっ子演技にNC赤英がまったく台本にない(しかもつながらない)アドリブを仕掛け、見ていて抱腹絶倒と共に、本番で大丈夫かと心配になる。

かなり完成型は台本と違うことになりそうだと予感させながら9時終了、権之助坂にある飲食店ビル内の『北海道』で飲み。YAGIさんの作成したコムテツのサイトのデモ画面、カッコよし。盛り上がるが“今日は電車で帰ろう”と12時でお開き。仕事場に忘れ物をしたのでタクシーで渋谷。結局待たせておいてそのまま新中野。K子起きていて、いろいろ雑談、大笑い。

「ああだけどこんな僕でもあの子らは舌這わせてくれる」
というエロダジャレをK子大喜びして、明日の日記に使えるよう今すぐメモしろ、と言う。しかし、こういうダジャレは酔った勢いで言うから苦しければ苦しいほど面白いが、字にするとシャレにもなんにもなってない。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa