裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

月曜日

夜寒かな

 朝、週刊アスキー一本アゲ。それから美術出版社のふくしま政美本解説。書いてる最中に1時になり、喫茶店で大和書房打ち合わせ。『唐沢俊一のB級裏モノ探偵団』見本刷り出来。派手な表紙でいかにもB級。雑多なテーマということでは私のこれまでの本の中でも一番ではないか。すぐに次の本の打ち合わせにかかるのがせわしない。
 打ち合わせ終わってから、宇田川町交番前の中華屋『兆楽』でチャーハンとギョーザ。ここの調理場というのはときおりメンツが変わるが、見事と言っていいほど全員がやさぐれた不良風の初老の親父たち。どういう基準で採用するのかな。
 帰ってまた解説と、対談のゲラチェック。資料用に梶原一騎関係の本を数冊手元に置いていたが、参照のためパラパラ見ていると、つい読みふけってしまいキー打つ手が止まる。生きている間迷惑を人にかけ尽くした人間の一生ほど、なぜ後で読むとこう面白いのか。
 ネットをサーチしてたら、『トンデモ怪書録』のあとがきに書いた“アンチ電子出版論”に反論しているサイトが二つほど見つかった。どっちもひどい誤読で、大いに喜ぶ(笑)。僕は何も活字文化信奉者ではない。古本マニアとして、物欲、所有欲、狩猟本能というキーワードから、電子出版にはこのような楽しみがないと指摘しているだけである。電子出版だけにショートサーキットがお得意か。
 誤読と言えば、日記を読み返していて、誤読を招くような表現があることに気がついた。『精神科に行こう!』の著者たちはきちんと向精神薬の副作用のことについても記述してある。ただし、その副作用に対し非常に楽観的に書かれており、医者の指示に従って服用していれば何も心配いらない、というスタンスなのが、ちょっと心配、ということなのである。向精神薬は体質で受け付ける人と受け付けない人の差が激しいし、私の見聞きした限りでも、体に合わない薬をのみ続けて悲惨な状態に陥った人をいくらも見ている。薬さえ出して貰えばすべてOK、と読める書き方は、楽天的で明るくていいかもしれないが、やはり片手落ちだんべえと思えるのだ。
 それと、これは伯父が事業に失敗してパニック・ディスオーダーになってひどい目にあった経験から言うけど、どんないい薬を出してもらっても、病気に原因がある場合、その原因を解決しないことにはどーにもなりません。
 夜9時、新宿の寿司屋。なんかマルチ商法やっている連中がいろいろアヤシゲな話をしていた。タコ刺し、ヒラメ握り、トロ、アナゴなど。寒いので焼酎お湯割り。

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